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  • 次世代的なCRMツールとしての「プライベートDMP」を考察する

 
本サイトの人気記事「DMP」と「プライベートDMP」の違いが分かれば、データ・マネジメント・プラットフォームは格段に理解しやすくなるを踏まえ、プライベートDMPについてさらに考察を深めていきたい。 今回は、これまでのCRMの文脈の中に“プライベートDMP”を置いた際に見えてくる、顧客情報データの変化にフォーカスを当てた。

デジタルマーケティングの中心に存在するCRMという思想

先ずは、マーケティングのこれまでと現代を分けて考えてみたい。昔は、一方向的・洗脳的なマス媒体を介したプロモーションを重視し、企業/ブランドを消費者に啓蒙することを第一目的にしたマーケティング活動が数多く見られた。そうした一昔前とは異なり、企業の消費者志向や顧客のネット環境が普及した現代では、「声なき存在」だった顧客に一定の主導権が渡ったという見方もできるのではないだろうか。すると、企業は「どのような顧客とどのように付き合うべきか?」という視点で、顧客との双方向的なコミュニケーションを重視するようになる。
 
このように、消費者のデジタルな体験を包含した関係性構築を目指す現代のマーケティングにおいて、CRM―顧客とのリレーションシップ構築をテーマにしたマーケティング活動―という考え方はフィットしやすいものであることが良く分かる。 そして、企業は「リレーションシップ(若しくは関係性)」という非常に抽象的・定性的な概念を評価すべく、顧客情報を何らかの指標として数値化・定量化することとなる。そのため、顧客情報の点数化・スコアリングを進め、効率的にデータを管理することが求められた。その手段の一つとして、顧客管理システムが存在したのである。

プライベートDMPの中のデータがCRMを変える?

結論から言うと、変えるに違いないだろうと筆者は考える。その根拠となるのは、プライベートDMPが保持する豊富な顧客情報のヴァリエーションとボリュームだ。CRMで取り扱う顧客情報データには、大きく下記の3つの種類がある。
 
・デモグラフィック属性:年齢、学歴、性別、収入、世帯規模、職種、役職、クレジットカード番号など
・サイコグラフィック属性:活動、興味、意見、考え方、意思決定の基準、他者への影響力など
・ビヘイビアル属性:問い合わせ数、資料請求数、購入数、離反率、Webサイト閲覧、デジタル広告との接点など
 
これらの中でも、特に「ビヘイビアル属性」に蓄積されるデータの中にある、顧客が企業との接点として持ったデジタルな体験のログ(Webサイト閲覧、デジタル広告との接点など)。これが、プライベートDMPがCRMに齎す転換の根拠だ。 無論、これらのデータはプライベートDMPがあることで取り扱いが可能になった訳ではなく、これまでもこれらのデータを統合・マーケティングに活用してきた企業も少なからず存在する。しかし、プライベートDMPという機会があることで、統合型のマーケティングを実践に移す可能性がより高まった、ということだ。

これまでの顧客管理システムの弱点を補完するプライベートDMP

では、プライベートDMPは、既存のCRMにどのような転換を齎すのだろう?
 
それは、これまでの顧客管理システムが“できなかった”領域を可能にするような転換だ。そしてそれは、プライベートDMPで保持できる顧客体験のログの中に、未だ自社と取引を持たない顧客の情報が含まれていることがポイントだと筆者は考える。 これまでの顧客管理システムでは、自社との取引のある顧客でないことには、その顧客情報データを取得することはできなかった。とはいえ、一度接点を持った時に豊富なデモグラフィック情報・サイコグラフィック情報を取得することができたため、その後の取引履歴からパーソナライズされた質の高い顧客接点を持つことにつながっていた。
 
一方、プライベートDMPを介せば、(自社との取引の有無に関係なく)ただ興味本位で自社のWebサイトを見に来た「一見さん」ですら、CRMの対象となるのだ。こうなると、さして購買接点に近くもなかった潜在見込顧客を、初めて接点を持ったところから育成して購買に至らせしめる、リードナーチャリング的なアプローチを実現できるようになる。 つまり、これまでのCRMで使われてきた顧客管理システムを自社の既存顧客データ基盤だとすると、プライベートDMPは新規顧客を含めたより広い顧客データ基盤だと考えることができるだろう。
 
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