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「エクスペリエンス」という言葉を耳にすることが多くなった。CMS(コンテンツマネジメントシステム)はWEM(ウェブエクスペリエンスマネジメント)と呼ばれ、顧客行動プロセスやペルソナはUX(ユーザーエクスペリエンス)フローと呼ぶ企業が増えている。
 
その中で最も多く使われているのが「カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)」だろう。IBMもオラクルも富士通も“重要なのはカスタマーエクスペリエンスである!”と主張している。

Oracle Customer Experience Solutions | Oracle
IBM 格別なWeb エクスペリエンス 予測し、簡素化し、つなげる – Japan
カスタマー・エクスペリエンス / 個客を知り、洞察を深め、豊かな価値体験を提供 競争力を高める“攻め”のデータ活用とは? : 富士通

 カスタマー・エクスペリエンスとは

カスタマー・エクスペリエンスをどのように理解すべきか。
カスタマー・エクスペリエンスは、「顧客経験価値」と日本語訳されることが多い。「おもてなし」などという日本語訳が適切だ、という主張もある。最も引き合いに出されるカスタマーエクスペリエンスに関する言葉は、バーンド・H・シュミットによるものだ。

顧客は商品を購入するだけではなく、商品を購入する経験を得ている。つまり、安く買えるという経験、新しい商品を知るという経験など、顧客が体験するさまざまな経験を価値とする。

Web担当者Forumにおけるカスタマーエクスペリエンスに関する記事では以下のような定義がされている。

「カスタマー・エクスペリエンス」とは、商品やサービスの購入前後のプロセスや利用時に顧客が体験する、「心地よさ」「驚き」「感動」「誇らしさ」などの、感覚的だったり感情的だったりする付加価値のこと。

感動、感覚、感情など、なかなか定量化しにくいキーワードが並ぶため明確なイメージがつかみにくいかもしれない。大げさな解釈かもしれないが、ここでは、「単に購買した/リピートしたではなく、買って良かった/とても満足した、とポジティブな感情を顧客が意識する状態まで持っていくこと」と定義してみたい。

企業の8割が優れた顧客体験を提供していると思っているのに、顧客の1割もそうは思っていない

しかし、注目とは裏腹に企業と顧客とでカスタマーエクスペリエンスに対する認識には大きなギャップがあるようだ。

ハーバード・ビジネス・スクールのJames Allenによれば、「企業の80%が優れたカスタマーエクスペリエンスを顧客に提供している、と考えている一方で、顧客の8%しか優れたカスタマー・エクスペリエンスを体験できていない」と認識の齟齬を指摘している。

それを反映しているのか、オラクルが実施したカスタマー・エクスペリエンスに関する調査によれば、以下のような結果が出ている。
 
・カスタマー・エクスペリエンス未整備による平均的損失は年間売上の20%
・経営層の93%がカスタマー・エクスペリエンスの向上が、自社の今後2年間の優先事項の上位3位に入る
・経営層の49%が不十分なカスタマー・エクスペリエンスによって顧客がブランドを乗り換えると答えた
・実際にカスタマー・エクスペリエンスの質の低さが理由でブランドを乗り換えた顧客は89%に上っている
 
約9割の顧客がカスタマー・エクスペリエンスの質の低さでブランドを乗り換え【オラクル調査】

顧客ニーズ把握だけではなく、予測と先回りがテクノロジーに求められている

カスタマー・エクスペリエンスを提唱するITベンダーは、どのような形でカスタマー・エクスペリエンスの向上を実現すべきだと主張しているのか。共通するのは以下の3点だ。
 
1:様々な顧客データの解析によって、顧客すら認識していないような本質的な顧客ニーズを把握できるようになるはずだ(顧客ニーズの予測)
2:顧客接点では、顧客に探させる、買いたいと言わせる前に、企業から先に商品・サービスの提案をする(先回りの提案)
3:Webチャネルにおけるカスタマー・エクスペリエンスの向上が重要(デジタルチャネルの重視
 
これらは簡単に実現できるような提言ではない。
 
ただ、EコマースにおけるAmazonのように顧客ニーズを先取りした商品提案が既に実現し、顧客に支持されていることを考えると、テクノロジーに対する期待が大きくなることも理解できる。
 
IBMや富士通など、基幹システムを中心にテクノロジーの導入を支援してきたITベンダーがWebチャネルでのカスタマー・エクスペリエンスの向上を主張するようになってきたことは、顧客接点と企業活動のギャップを埋める可能性を高めるものとして期待も高まるだろう。カスタマー・エクスペリエンスに関連するトレンドや事例にも注目していきたい。

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