内容をサマリすると、下記の様な内容である。
・マーケティング1.0:製品中心のマーケティング(コンセプトはR&D)、マーケティング2.0:消費者志向のマーケティング(コンセプトは差別化)、次いでマーケティング3.0:価値主導のマーケティング(コンセプトは価値)。これが、現代までのマーケティングの遷移。
・マーケティング3.0では、価値こそが利益の源泉である故、企業はすべてのステークホルダーに向けて一気通貫したビジョンを発信し、優れたコア・バリューを大切にすべき。
・マーケティング3.0の要素とは、次の3つ。
(1)ある企業が他企業や株主、チャネルパートナー、社員、消費者と協働する「協働マーケティング」、(2)テクノロジー化とグローバル化が引き起こす世界規模の文化的な課題をビジネスモデルの中心に据える「文化マーケティング」、(3)企業の理念と事業の妥当性、将来のビジョンが消費者にどのような影響を与えるかという視点を取り入れる「スピリチュアルマーケティング」―これらのバランスを適正に保ったマーケティング活動こそが、マーケティング3.0のあるべき姿なのだ。
さらにコトラーは、国連ミレニアム開発目標を例に挙げ、CSRとマーケティングを融合させること(=コーズ・マーケティング)がマーケティング3.0時代の処方箋になる、といった趣旨の発言をしている。国連ミレニアム開発目標とは、2009年9月の国連サミットで189ヶ国の代表が合意した下記8つの目標とターゲットのことを指す。
1.極度の貧困と飢餓の撲滅
2.普遍的初等教育の達成
3.ジェンダーの平等と女性の地位向上
4.乳幼児死亡率の削減
5.妊産婦の健康の改善
6.HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止
7.環境の持続可能性の確保
8.開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
煎じ詰めれば、本書では「企業の存在理由と存在目的を体現する企業活動を継続させるべき」という、精神論に近い内容を提唱しているに過ぎない。だが、この提言の背景には、現代はそのような企業活動を求められる時代であり、また各企業のふるまいを消費者が簡単に知りえる時代となったことが挙げられる。悪いことをしていれば直ぐに糾弾される一方で、良いことをしていれば共感は波及し、善意は増幅される。 では、どうすれば自社に向けられる不特定多数の善意を最大化できるか?というテーマに、現代の企業は対峙していると言えるだろう。
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