Site Catalyst、Google Analyticsなど…アクセス解析ツールについてもその名称に市民権が出てきた昨今。ここで今一度、「何故、アクセス解析なのか?」を問うてみたい。
デジタルマーケティングの調査・分析の手段としての”守りの”アクセス解析
目的は、マーケティング予算投資先の最適化。これは誰もが肯くところだろう。社内の各事業担当者向けにそれぞれの業務週次、月次で定常的なデータを取得したり、年次目標に向けた数値改善のためにWebサイト、バックエンドの運用・ツールを見直したり・・・
出稿した広告の投資対効果を測定するために、集計結果の数値をオンライン・オフライン問わず相関性分析・重回帰分析に掛けて「どの媒体が」「どの程度、ブランド認知/理解/興味喚起(≒ブランディング)・プロダクトの売上(≒パフォーマンス)に貢献したのか?」という問いに答えることもあるだろう。
いずれにしろ、これらの営みの行き着くところは未来予測モデルの構築と作業のルーティーン化・自動化だと推察される。できるかぎり少ない労力でデータを抽出し、次の打ち手を導出することが求められる。
データマイニングの素材としての”攻めの”アクセス解析
目的は、リードナーチャリング。アクセスログの中には、「(IPアドレスとの紐付けから)どこからアクセスしているのか?」という情報も含まれる(ただし、ツールによっては取得できないものもある)。したがって、自社はどのような潜在顧客を抱えているのか?という問いに答えることができるだろう。
Webサイトの訪問者から潜在顧客となりうる企業群を抽出し、営業推進に役立てる―このような取り組みをしているto B企業も少なくない。サイト訪問時のユーザー行動をスコアリング(例:「企業名で検索流入」=+1、「ソリューション名で検索流入」=+3、「客単価が一定水準以上のプロダクト情報ページを閲覧・滞在時間が1分を超える」=+2、「初回訪問から再訪問までの間隔が半年以上」=-2など)・企業を評価することで、より成約に近いクライアント予備群を洗い出すのだ。
こうした取り組みは、広報・PRを専門にする部署と営業を専門にする部署の距離を縮めることにもつながる。企業内のセクショナリズムを溶かし、共通の目的のために協力体制を組むことは、全社的な事業戦略を現実のものとすることに寄与することだろう。
目的があってこそのデータ・ドリブン
このように、どんな調査・分析も、目的次第で大きくその意義を変える。「こういうことができますよ」「こんなこともできますよ」というツールやベンダの提案に流されるのではなく、「何のために?」「何故このツールを使うべきなのか?」という問いを常に持つことが大切だ。