今朝の毎日新聞に出ていたゆるキャラ予算執行調査に関する記事が、マーケティングROIやデータドリブンマーケティングへの取り組みがなかなか進まない企業のマーケティング活動に重なってみえる部分があるのではないか、と感じたので紹介してみたい。 予算執行調査:ゆるキャラ乱立、財務省が見直し要請(毎日新聞 Web版 2014年7月2日)

独立行政法人(98法人)の関係機関でマスコットキャラクターを作製しているのが105機関に上り、大半の作製目的があいまいで効果を上げていないことが1日、財務省の予算執行調査で分かった。

「目的があいまいで効果を上げていない」とあるが、本質は「目的が設定されていないので“効果を測りようがない”」ということだろう。 元祖ゆるキャラとしてキャラブームの火付け役となった「ふなっしー」が、全く効果がなかったと言い切る人は少ない。船橋市の認知、船橋市を訪れる観光客の数、船橋産の農作物や土産品の販売額などへの間接的な効果は大きいはずだ。「くまもん」然り。

キャラクターを導入した理由は「広報一般のため」「他が導入しているから」などと、あいまいな回答がほとんど。

ところが、2番煎じ3番煎じとなるとそうした劇的な効果は生み出せなくなってくる。となると「ゆるキャラ導入後のイベントへの参加者数」なり「ゆるキャラを通じた認知率」なり、なんらかの指標の変化を見ることは重要になる。 こうした独立行政法人の活動を「税金を無駄にしてけしからん」と一蹴するのは簡単だが、自社のマーケティング活動を振り返ってみると耳が痛いという企業も多いのではないだろうか。(もちろん、企業の予算と税金は全く異なるものであり、一概に同じに扱うべきではないという意見はある) 特に「他が導入しているから」という言葉は、予算承認時における“マジックワード”になっている場合は多いはずだ。

財務省は調査結果を今後の予算編成に反映させる方針。出番の少ないキャラクターについては「引退」(廃止)を含めて見直すよう求めていく。

これは、米国において「マーケティングROI(ROMI)」という言葉が注目され始めたときを彷彿とさせる。 「マーケティングROI」という言葉は(もちろん以前から存在していた言葉ではあるのだが)、特にリーマンショック後に米国で注目を集めた言葉だ。
 
当時、予算削減にやっきになっていたCFOがCMOに対して「マーケティング予算の費用対効果(ROI)を明示せよ」と予算の正当性を要求したことから注目されるようになったという。 マーケティングや広報活動は、なんでもかんでも定量的な効果があるかないかだけで測れるものではない。とは言え、官民問わず「目的」と「効果指標」を要求される時代になってきているのだと感じる。

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