2016年4月26-28日にラスベガスのMGMグランドで開催されたオラクル社のマーケティングクラウドに関するカンファレンスイベント「Modern Marketing Experience 2016」に参加する機会を頂けたのでイベントのレビューをまとめてみたい。
ここ数年で、Eloqua、Responsys、Bluekaiなど多くのデジタルマーケティング関連テクノロジーを買収しているオラクル。昨年からは大きく事業の軸をクラウドに据え、Modern Marketing Experience(MME)はEloquaのイベントではなくOracle Makreting Cloudのイベントとなっている。
優れたマーケティング成果をあげた企業を表彰するMarkie Award
Markie Awardsは、クライアントのマーケティング成果を表彰する一大イベントで、Eloqua社がオラクルに買収される前から行われており、今年で節目の10回目を迎えるイベント。
Best Data Activation、Best Email Campaign Program、Best Revenue Impact など各カテゴリ毎にノミネート企業が5-6社発表され、その中から受賞企業(Winner)が1社選ばれる。
驚くのはそのエンターテイメントとしての徹底ぶり。サーカスや大道芸から、有名人による受賞者発表、GooGooDollsのコンサートまで雰囲気はレッドカーペットそのもの。MGMのボクシング会場を借り切って行われたイベントはこれでもかというほどのアメリカンエンターテイメントを感じられる受賞式だった。
今年はDell社が複数のアワードを受賞し、海外企業のベストプラクティス企業としてその名を大きく轟かせる内容だったが、アジアパシフィック地域からも初めて格安航空会社のJet Starが受賞したりとグローバルにマーケティング活動の成果が共有されるイベントとなっている。 日本からも数社がエントリーしたとのことだが、残念ながらノミネートはされず。日本企業の受賞はまだないとのことで、来年こそはと息巻く日本人参加者もちらほら見受けられた。
単に事例を発表するというだけでなく、このような公式の場でマーケターが表彰され、マーケティング活動の発展に寄与していることを多くの人で共有しようという試みは日本のマーケティング業界でも参考にすべきだと感じられるイベントだった。
テクノロジーリテラシーが非常に高いイベント参加者
MME参加者の多くがクライアントサイドのマーケティング担当者。来場者の7割が女性であった。 驚いたのは、華やかなマーケティング担当者達の集まりといった雰囲気にもかかわらず、ワークショップ・セミナーはその多くがかなりテクノロジーリテラシーが必要なものだったことだ。
そして、多くの人がそうした詳細なテクノロジーに関する講演内容を十二分に理解している様子。会場では講演者への質問や聴衆者同士のディスカッションがひっきりなしであった。
国内のデジタルマーケティングのカンファレンスと比較すると参加者のITリテラシー、テクノロジーリテラシーが非常に高い印象を持った。 それを最も物語っていたのが、マーケティングオートメーションツールEloquaのマニアックな小技を説明した「10 Eloqua Hacks」というワークショップ。 もっともマニアックだと思われたワークショップが一番人気で、会場でもっとも長い列ができていた。
テクノロジーの前に、実行したい具体的なマーケティング施策への強いWill
ITリテラシーの高さが非常に高い一方で、マーケティング施策そのものに対する具体的なWillを持っている担当者が多いと感じることも多かった。
マーケティングオートメーションやDMPのできることできないことを語る前に、自社としてどんなキャンペーンを行いたいかを具体的にイメージしているという議論が行われるものが多かったからだ。
あくまで実現したいマーケティング施策の実現手段としてのツール・テクノロジーであり、やりたいこと達成したいことは、テクノロジーとは別に明確にあるという意気込みを感じられる講演が多くあったように思える。