爆発的に増えるマーケティングテクノロジー Marketing Technology
「Marketing Technology Landscape 」という名前に聞き覚えがある人は少ないかもしれない。だが、「マーケティングテクノロジーの”カオスマップ”」という呼び名で下記の図を見たことがある人はたくさんいるはずだ。
これは、chiefmartecというサイトでScott Brinker氏が毎年発表している、マーケティングテクノロジーの相関図(マーケティングテクノロジーのロゴをカテゴリー毎に分類したマップ)だ。
当初Scott氏が2010年の春にマーケティングテクノロジーの分類を始めた当初は、100程度の企業が存在していた。それが6年後の2016年には、3,874ものテクノロジーが集められており6年間で38倍となっている。毎年約2倍になっている計算だ。
※2017年9月追記
2017年、現在マーケティングテクノロジーのカオスマップには5,000以上のテクノロジーが集められている。
関連記事:マーケティングテクノロジーランドスケープ2017年版公表 ベンダー数が5,000を超える
大手ベンダーによるマーケティングテクノロジーの買収もどんどん進んではいるものの、それを大きく上回るペースで新たなマーケティングテクノロジーが生まれる状況が続いている。
複数のマーケティングテクノロジーを活用する企業が激増している
実際、企業のマーケティング活動においてもマーケティングテクノロジーの採用がどんどん進んでいる。
Eメール、CRM、分析、広告、パーソナライゼーション、A/Bテスト、DMP・・・ 顧客との接点がますますデジタル化しているデジタルシフトが進む中で、マーケティング活動も大きくデジタルに舵が切られつつある。そして新たなデジタルへの取り組みに際して、先進的なテクノロジーを活用しようという動きが広まってきている。
TealiumのCTO Mike Anderson氏は、先日のTealium Digital Velocityの講演の中で、企業は平均して20以上のテクノロジーを既に利用中である、と述べている。
また、Walker Sands Communications による 調査レポート 「State of Marketing Technology 2017」によれば、88%のマーケテターが複数のマーケティングテクノロジーを日常的に利用しており、42%のマーケターが4つ以上、14%のマーケターが6つ以上のマーケティングテクノロジーを日常的に利用している、と公表している。
先日の記事(マーケティング部門のテクノロジー投資は売上の3.2% – 2017年にIT部門のテクノロジー投資を上回る見込み)でも紹介したとおり、マーケティング部門のテクノロジー投資は今後ますます大きくなり、2017年には、IT部門のそれを超えるだろう、との予測も発表されている。
マーケティングテクノロジースタック(Marketing Technology Stack)とは
そうした中、増え続けるマーケティングテクノロジーどう組み合わせて活用していくのか、というテーマが注目を集めている。マーケティングテクノロジーを組み合わせてうまく活用していく=マーケティングテクノロジーのポートフォリオとでも呼ぶべき、それが「マーケティングテクノロジースタック」である。
「スタック」とは元々「積み上げる」というような意味の英語だが、IT業界では特にOSやアプリケーションの組み合わせの意味でよく用いられてきた。例えば、オープンソースを利用してWebサイト構築を行う際に利用される
・Linux(OS)
・Apache(Webサーバー)
・MySQL(データベース)
・PHP(アプリケーション)
をそれぞれの頭文字をとって「LAMPスタック」などと呼んでいる。
同様に「どのようなマーケティングテクノロジーの組み合わせで一連のマーケティング活動を推進していくか」を「マーケティングテクノロジースタック(もしくはマーテクスタック)Marketing Technology Stack / Martech Stach」と呼ぶ人々が増えてきているのだ。
例えば、
・Salesforce Marketing Cloud/Exact Target(Eメールマーケティング)
・Google Analytics(Web解析)
・Drupal(CMS)
・TreasureData(1stParty DMP)
・Optimizely(A/Bテスティング)
のような組み合わせのイメージだ。
マーケティングテクノロジーに関する世界で最大規模のカンファレンス「Martech」では、「Stackie Award」と称して、こうしたマーケティングテクノロジーの組み合わせ(スタック)がどうマーケティング効果の最大化につながるかなどをコンテスト・表彰を始めている。
マーケティングテクノロジーは、今後も増え続けることが予想されている。1つ1つのテクノロジーだけでなく、全体でどう組み合わせるのか、という視点も持っておくことが求められるだろう。