Webガバナンスとは
Webガバナンスとは、デジタルマーケティングに関する様々な取り組みを、企業全体の視点で最適化していく仕組みのことだ。
ガバナンスとは「統治」という意味であり、基本的には「ルール」を策定してそれらを「遵守していく/させていく」ことを手段とするが、ルールを決めることで逆に自由に行える部分を定めることも意味する。
Webガバナンスの考え方は、企業がWebサイトを立ち上げ始めたインターネット黎明期から存在する概念ではあるが、それが意味することは市場環境やテクノロジーの発展とともに大きく変遷してきている。
それらをWebガバナンス1.0からWebガバナンス3.0への変遷と捉え解説してみたい。
Webガバナンス1.0 : ロゴやデザイン、ドメインなど見た目が中心のガバナンス
初期のWebガバナンス(ここでは「Webガバナンス1.0」と呼ぶ)は、「見た目を統一する」ことを中心としたガバナンスであった。
マーケティングにインターネットを利用することが普及するに従って、1つの企業内で様々なWebサイトが運営されるようになる。従来の紙媒体であれば、CI・VIマニュアルが整備され、然るべきプロセス・チェック体制を経て顧客に届けられていたものが、Webサイトやそこで発信するコンテンツに対しては同様のプロセス・チェック体制を経ずに利用が始まったケースも多く、担当する部署や人によって全くバラバラに運用されることになった。
商品毎・事業部毎・キャンペーン毎・国や地域毎・・・ 同じ企業・ブランドにもかかわらず、「異なるドメイン」で「異なるロゴの使い方」「異なるデザイン・レイアウト」のWebサイトが濫立し、統一的なブランドを顧客に伝えることができない・ブランド毀損のリスクを抱えるといった課題が浮き彫りになり始めた。
そこで、Webガバナンスとして「CI・VIマニュアルに準じたロゴの使い方」「Webサイトの立ち上げ時のドメインのルール」「統一すべきレイアウトやデザイン(主にヘッダー・フッター・ナビゲーションエリア)」などを明文化し、それらを各担当者に周知し、遵守させるといったものがWebガバナンス1.0だ。
こうしたルールはガイドライン化されるだけでなく、HTMLのテンプレートなどの形で各部門に配布され、コーディング・画像単位で統一されたWebページを全社最適で実現しようされてきた。
Webガバナンス2.0 : 運用・更新業務の最適化、インフラ統一、品質ルールの適用
次に、「Webガバナンス2.0」だが、これは「見た目だけでなく、裏側の運用・更新業務も含めた最適化」「インフラの統一」「顧客体験やコンテンツ品質の基準統一」などが中心となったWebガバナンスの取り組みだ。
Webガバナンス2.0は、ちょうど企業がWebページの制作・更新をHTMLコーディングを中心とした手作業からCMS(コンテンツ管理システム)を利用した半自動作業に置き換えて運用・更新業務の効率化を目指した中で行われてきた。
運用・更新業務とは、例えば「コンテンツ公開時の承認プロセス」「新規サイト立ち上げ時の申請プロセス」「緊急時のWebページ更新・アップロード方法」などを全社で定め、業務プロセスを最適化する考え方である。
また、インフラ面でも、「サーバー・ネットワークの仕様に基準を設ける」「セキュリティ基準を定め、ルールをクリアしたもの以外使えない」「全社で1つのインフラに統合し、勝手にサーバーホスティングを行わない」といった統制ルールが定められるようになった。
これらは、万が一の事態を回避する予防的なメリットもありつつ、コスト面での最適化という観点でもメリットとなってきた。
そして、対顧客では「ユーザビリティ・アクセシビリティなど最低限の品質基準を設け、顧客体験を損なわないようにする」といった取り組みも行われてきた。
こうしたWebガバナンスのルールは、ガイドライン化されるだけでなく、CMS(コンテンツ管理システム)というシステムを通じて実現されてきたことも、Webガバナンス2.0の特徴だ。システムで強制的にルールを徹底できる・担当者がルールを意識する必要がない、といったメリットが享受できた。
Webガバナンス3.0 :マーケティングテクノロジーや顧客データ、マーケティングファネル・KPIの最適化、グローバルWebガバナンス
近年のマーケティングにおいて最も重視されるものが「データの分析・活用」であり、それらを支えるマーケティングテクノロジーの活用だ。
Webサイトも従来のカタログ型の構造を脱却し、新規顧客を創造する(マーケティングの売上貢献)ことができるデジタル接点となることが求められ、マーケティングファネルにおけるKPI・KGIの達成が厳しく求められ始めている。
こうした背景を受けて、昨今のWebガバナンス(「Webガバナンス3.0」)では、Webガバナンス1.0、2.0の「守り」の要素に加えて「マーケティングテクノロジー」「顧客データ」「顧客やファネルの定義・KPI」といった「攻め」の要素をどのように最適化していくのかが重要になってきている。
「攻め」の要素としては例えば以下のような論点が挙げられる:
・事業部ごとに異なるテクノロジーをバラバラに導入するのではなく、全社で統一のマーケティングプラットフォームを構築してコスト・効果を最大化する
・マーケティング施策の効果を最大化するために、様々なメディア・チャネルから得られる顧客データを統合管理し、事業部や製品を跨いだデータ活用を促進する
・全社共通の顧客育成・ファン化のKPIを持つために、自社がリードとする対象やそのステータスをマーケティングファネル上で明確に定義する
また、最近では飲食・食料品・小売・サービスなど、これまで日本のお家芸であった製造業だけでなく様々な業態の企業が、買収や拠点構築によって海外市場開拓に取り組んでいる。
これは、人口減少・成長鈍化といった課題を抱える国内市場から、様々な業態の企業がより大きなマーケットを目指して海外市場に販売機会を求め始めたことにも起因する。
このようにグローバル規模でビジネスを成長させる際、まずは現地拠点を持ち製品やサービスを売ることが優先されるが、追って必ずWebサイトやデジタルマーケティング施策の実行が必要になるため、Webガバナンスをグローバルで推進していく必要性が広く認識されてきた。
以上、Webガバナンスを1.0から3.0までを眺めてみると、Webガバナンスがカバーすべき要素は以前よりも遥かに広くなっていることがおわかりいただけたと思う。
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