今年もMARTECHに参加していますので現地からレポートをしたいと思います。
MARTECはマーケティングテクノロジーに特化したイベントで、世界中のマーケティングテクノロジーベンダーとマーケターが集まるイベントです。5年目となる今年はカリフォルニアはサンノゼにあるマケナリーコンベンションセンターでの開催です。昨年まではホテル内のボールルームでの開催でしたのでますます規模が大きくなっていることが伺えます。
マーケティングテクノロジーランドスケープ2018が公表 6,829のベンダーを掲載
初日のキーノートは、今年も発起人のスコットブリンカー氏によるキーノート。風物詩となっている「Marketing Technlogy Landscape Supergraphic」の更新版が公表されます。MARTECHを知らなくとも、このスライドをみたことがある、という方は多いのではないでしょうか。
2011年からブリンカー氏が監修を始めた「Marketing Technology Landscape Supergraphic」(元祖カオスマップと言っていいと思います)は、7年前には150程度。年々大幅に増加し、2016年には3,500を突破し、昨年は5,000となりました。
そして公表された2018年のMarketing Technology Landscapeは、昨年より27%増加し、6,829に。
既にランドスケープの図は、拡大しても読めない程に細かくなって久しいですね。1つ1つのツールやカテゴリを精査してもしきれないため、全体傾向が解説されます。
まず、「全体として27%の増加」は、昨年よりも成長率で比較すると低くなっています。これを成長鈍化と捉えるかどうか。
スコット氏は基調講演の中で、「成長率は昨年より微減だが、30%近い成長率が続いている市場は世界で最も成長率の高い領域であり、まだ鈍化と考えない方が良い」「マーケティングテクノロジー企業へのベンチャーキャピタル投資は2017年に最高を記録しており、今後も多くのマーケティングテクノロジー関連スタートアップが増える可能性は大きい」と話していました。
昨年(2017年)のランドスケープから削除されたテクノロジーはわずか4.5%。これは業界の専門家が予想していた数字を大きく下回るもので、多くの人が「カオス化したマーケティングテクノロジー業界はコンソリデート(統廃合)に向かうと思っていた」そうです。
注目領域は、Predictive Analytics、Bots & Live Chat、Privacy領域
特に成長が著しいのが、「CDP」「GDPR/プライバシー管理」「Predictive Analytics(予測分析)」の3つの領域です。特に「GDPRは欧州でビジネスをする企業だけの問題ではない。これまで重要視されてこなかった顧客のプライバシーに対して企業がきちんと向き合うべき」という声が強くなっているようです。
今年もStackie Awardには50社以上が応募、5社がアワードを受賞
MARTECHのもう一つの注目イベントは、Stackie Awardと呼ばれる授賞式。これは、企業が実際に利用しているマーケティングテクノロジーを自社のビジネスをアナロジーに一枚のスライドにまとめるというもの。そのクリエイティビティの高さが秀逸で、毎回大変盛り上がるイベントになっています。
今年も50社以上の企業が応募しましたが、昨年よりも大手企業の割合が高くなっているような気がします。シスコシステムズやサーモフィッシャーサイエンティフィックなど大手企業からの受賞もありました。
マーテクはロングテール、Best of Breedの傾向が強く
最も興味深かった議論の1つが「Best of Breed(良いツールをメーカーを問わずに採用する方針)」と「Suites(様々な製品がパッケージになった1つのベンダーのものを採用する方針)」に関するものです。
下記のスライドは、これまでStackie Awardに応募された企業のスライドの中に描かれているマーケティングテクノロジーをベンダーごとに集計したグラフです。
Stackie Awardのスライドに描かれたスライドを見ていると一見どの企業も同じ様なツールを使っているように思えるのですが、こうして集計してみると、各社各様でテクノロジーを選定していることがわかります。
昨年までのMARTECHでは、「Suits vs Best of Breed」という議論が多くありました。しかし今年はどのセッションを聞いても、基本的にはBest Of Breedで自社ならではのテクノロジーを採用し、組み合わせていくかが大事である、と主張している企業担当者が圧倒的に増えたと感じます。
今後もマーケティングテクノロジーの領域はカオス、ロングテール、スタック戦略(組み合わせの方針)が大事になっていきそうだ、と改めて感じました。