ニュースサイト、ブログやFacebookなどを閲覧していると、過去に自分が閲覧したECサイトの商品、不動産物件、中古車などがディスプレイ広告として表示された経験がある方が多いと思いますが、そういった広告のことを一般的に動的リターゲティング広告(動的リマーケティング広告とも呼ばれる)と呼びます。動的リターゲティング広告の特徴としてはパーソナライズしていない静的なディスプレイ広告よりもコンバージョン率が高いところです。
今回紹介する動的リターゲティングEメールは、ディスプレイ広告としてではなく、Marketoから配信するEメールにユーザーが閲覧した商品を動的に表示させるものです。毎週、何種類もメルマガを配信しているマーケ担当はメルマガ地獄から開放され、Eメールを受信するユーザー側としてもパーソナライズされたコンテンツをレコメンドされるのでWinWinな関係であると言えます。
動的リターゲティングEメールの仕組み
誤解がないように事前に説明しますが、この動的リターゲティングEメールはMarketo単体の機能では配信不可能で、前提条件としてシステム開発が伴うものです。今回は具体的なシステム開発についての説明はWebサイト毎に異なるため割愛させていただきますが、システムを一度仕組みを作り上げてしまえば、Webサイトの仕様に変更がない限り自動で動的リターゲティングEメールが配信されるので検討の価値はありそうです。
さて、本題ですが動的リターゲティングEメール配信までのステップを確認していきましょう。
1. カスタムオブジェクトを作成
2. ユーザーのアクティビティを記録
ユーザーのアクティビティを記録するといってもMarketoのトラッキングタグの「Munchkin」で記録されるアクティビティではなく、サーバーサイド(Webサイト)側で記録するアクティビティを指しています。
まずはユーザーの商品閲覧履歴をユーザーに紐づけて記録するためにセッションIDを利用します。Webサイトの仕様によりますが、一般的にWebサイトのログインIDがメールアドレスであることが多いため、セッションIDとEメールアドレスが紐づきます。あとはセッションIDと商品閲覧履歴「商品名、価格、画像URL、リンク先URL」を紐づけて記録していけば問題ありません。
後ほど重要になってきますが、サーバーサイドでセッションIDとEメールアドレスを紐付ける必要があるのは、Marketo側でリードオブジェクトとカスタムオブジェクトをリンクさせるのがセッションIDではなくEメールアドレスを利用するからです。
3. カスタムオブジェクトにAPI経由でアクティビティを書き込む
ここではAPI連携のシステム開発については触れませんが、システム開発が完了してユーザーのアクティビティを整理してカスタムオブジェクトに書き込むと下記のような状態になります。
ユーザーが商品を閲覧していくと履歴が増えていきますので、カスタムオブジェクトはユーザーのEメールアドレスと商品閲覧履歴の商品名、価格、画像、リンク先URLが最大10件ずつ記録されます。URLが書き込まれているフィールドに「https://www.domain.com」が含まれていないのはMarketoの仕様上、後々に問題が発生するので除いています。
ここで注意しなくてはならないことがいくつかあります。
1.ユーザーの商品閲覧履歴が増え続ける
2.価格が変更される
3.商品が非掲載になる
4. Eメールテンプレートを作成
カスタムオブジェクトが最新に保たれるようになれば、動的にコンテンツを表示するためのメールテンプレートを作成します。テンプレートとしては冒頭に紹介した物件情報が記載したコンテンツイメージをHTMLで静的にコーディングします。
物件情報のコンテンツ部分にはMarketoのメールスクリプトトークンを利用してカスタムオブジェクトに書き込んだ商品名、価格、画像、リンク先URLを変数をHTMLのタグと一緒に書き込んでしまいます。作成したメールスクリプトトークンをテンプレートに設置すれば作業完了です。
参考情報(リンク先は英語):Marketo Email Scripting
5. メール配信設定
テンプレートが準備できれば、スマートキャンペーンでユーザーの商品ページへのアクセスをトリガーにしてメールを配信するだけです。ポイントとしては初回の商品ページ閲覧をトリガーにしてメールを送信してしまうと、メールテンプレートに掲載する商品が1件になってしまうため、閲覧履歴を蓄積させるために待機用のキャンペーンとメール送信のキャンペーンと分けて作ることが重要です。
簡単に説明すると、待機用のキャンペーンは商品ページ閲覧をトリガーにして待機を開始した後、メール送信キャンペーンをキックさせるイメージです。商品閲覧から数時間待機させれば、カスタムオブジェクトに追加されていく商品閲覧履歴をメールテンプレートに反映することができるでしょう。
まとめ