2018年も6月が終わり、早くも折り返し地点を過ぎました。
今回の記事ではデジタルマーケティングジャーナル2018年1月〜6月の人気記事から最近のデジマケ業界のトレンドを紐解きます。
デジタルマーケティングジャーナル2018年1月〜6月人気記事ベスト10
1.GDPRの具体的対応〜不測の流出を防ぐためにピギーバックを理解する〜
2.ターゲット企業を狙い撃ち。営業・マーケが一体となって進めるABMの基礎的な考え方とは
3.第3のプラットフォームとは?モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルがイノベーションを牽引
4.増え続ける「CXO」。その増加の背景およびビジネスに与える影響とは
5.Domoで挑戦、神エクセルを駆逐する
6.MARTECH 2018 マーケティングテクノロジーランドスケープ2018公表 ベンダー数は6,829に
7.CDP(Customer Data Platform)とは?〜できること、導入・活用のポイント
8.CMSと一緒に考えたいマーケティングテクノロジー6つの領域
9.DOMOPALOOZA 2018 イベントレポート 〜前編:DomoがBIツールと呼ばれなくなる日〜
10.Think Big ,Start Small,Scale Fast,組織にMAを浸透させるために大事なことは?
※本記事では2018年に公開した記事を対象に総PV数が多いもの=人気記事と定義しています。そのため直近に公開した記事ほど、ランキング的には不利になるという事実はありますが、ここでは考慮しません。
※イベントスケジュールをまとめた記事は今回のトレンドを考察する趣旨とは異なるためランキングの対象から除いています。
2018/5/25に施行され、対応の必要に迫られているGDPR
GDPRに関する記事が1位にランクインしています。前期のGDPR関連記事も、ランキングの上位に食い込んでいました。
GDPR(EU一般データ保護規則)とは5月25日に施行となったEUにおける個人情報・プライバシーに関するデータ処理・管理に関する新たな枠組みのことです。
EUで定められたルールで有るにも関わらず、EUに商品やサービスを提供していたり、EU圏からWebサイトにアクセスがある日本企業はGDPR対象となる可能性があります。
また、GDPRへの違反企業への罰則は、全世界の年間売上高の4%もしくは2000万ユーロ(1ユーロ125円とすると25億円)のどちらか高い方を上限とする制裁金が課せられる可能性があります。
GDPRへの企業の対応は遅れており、5月に発表されたあるEU一般データ保護規則(GDPR)に関するユーザー企業の実態調査によると「対応済み」と回答したのは10.0%にとどまり、現在対応中(19.7%)を合わせても3割に満たない結果となっています。
EU一般データ保護規則(GDPR)対応に関する実態調査を発表
企業もようやく重い腰を上げて対応を検討するための情報収集を始めたという言い方が正しいでしょうか最近ではGDPRに対応支援のソリューションも多くリリースされており、GDPRとして一つのマーケットが出来てきている印象でこの流れはしばらく続きそうです。
関連記事
GDPR「EU一般データ保護規則」とは?覚えておくべき3つのポイント
GDPR(EU一般データ保護規則)対策・サービス
CDP/ABM〜情報という資産を活かすデータマネジメント
2位にランクインしたABMの記事をはじめ「散在するデータをどのように統合し、可視化し、活用するのか?」というテーマは近年特に注目が集まり、取り組みが進められているテーマです。
このテーマが注目されている背景としてはデジタルの活用が企業でも進み、デモグラフィックデータのみならず、IP、Web行動データ、購買データ、位置情報データ、趣味嗜好データなど、様々なデータが収集できるようになったこと。これにはオンラインのみならず、オフラインデータも含まれてきています。
また、様々なマーケティングテクノロジースタックを企業が組み合わせ、マーケティング活動を推進していくようになり、収集したデータを統合する必要が生まれています。「どう収集・統合・分析し・アクションにつなげていくのか」がますます注目されています。
さらに、昨今耳にするようになったAIや機械学習などの自動化や未来予知の領域も元となるデータの精度によってその利用価値が左右されます。良い(精度の高い)データからしか良い(精度の高い)予測は導き出せないからです。 そういった意味でも企業は情報という資産をどうビジネスに活かしていくのかは重要なテーマです。
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カスタマーデータプラットフォーム(Customer Data Platform、CDP)とは?
デジタルを推進するための人材・スキルが不足している状況
4位にランクインした記事ではデジタルトランスフォーメーションの進化ともに増え続ける経営幹部の役職名(CXO)について取り上げています。
人手不足はデジタルマーケティング業界に限った話ではありませんが、デジタルを推進するための人材が不足しているという課題を感じている方も多いのではないでしょうか。
しかもデジタルを推進するためのスキルが不足していると感じつつも、どのように教育すればよいのかもわからないという状況です。人が足りないから自社内で育てよう、でも育てるための教育スキームの目処も立たないという二重に困った状態に陥っています。
ガートナーの調査でもデジタル推進する人材の不足が明らかになっています。
ガートナー、テクノロジ人材のスキルに関する調査結果を発表「リーダーシップ」が5年以上連続で最も改善したいスキルに
調査の中で、企業がデータ活用などデジタルの必要性を感じている様子が見て取れますが、30%もの企業が専任組織の必要性を感じておらず、設置を検討している企業もわずか2%に留まります。
企業の中で専任組織や担当者の必要性が理解されておらず、デジタル推進をミッションに持つ人がいないため具体的な取り組みを進められていないというのが現状でしょう。
まずは経営層など上層部にデジタル活用の重要性・価値、そしてそれを推進するための人材と部隊が必要であることを説いて、意識を変えてもらう必要がありそうです。
テクノロジーの進化が先行、その価値や意義の理解が追いつくのはまだ先か
今回取り上げた3つのテーマとその状況から、「テーマに対して自社・自部署として対応する必要性はなんとなく感じているが、どうやって対応していいのか(なぜ対応すべきなのか)わからない」という印象を持っている担当者が多いということが見えてきます。
テクノロジーの進化は進みますが、それに伴って浮き彫りになってくる課題への対応方法がわからないため、後手後手に回ってしまう現状が記事の傾向から読み取れてきました。この手のテーマはまだまだ新進な状態ですので、イベントやセミナーなどに参加して情報収集をする、あるいは、直接専門の会社に問い合わせをしてしまうのも良いでしょう。