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10月1日〜3日にかけてアメリカ・ボストンで開催されたMartech Eastに参加しました。今回は速報としての参加レポートをお送りします。

マーケティングテクノロジーはBest of Breed(最善の組み合わせ)の考え方がグローバルスタンダードに

マーケティングテクノロジーカオスマップからも見て取れるように、マーケティングテクノロジーは加速度的に増え続け、その勢いは止む様子がありません。そして、各ツールは幅広く広がりツールとツールの組み合わせは星の数ほど存在します。
参考:弊社にて公表しているカオスマップJAPAN
 
近年では「このブランドのテクノロジーで揃えておけば安心」というSuitesの考え方は鳴りを潜め、最新のトレンドでは、数多くあるツールの組み合わせの選択肢から自社に合ったマーケティングテクノロジーの「Best of Breed(最善の組み合わせ)」を導入・活用する考え方がグローバルスタンダードになっています。これまでこのトレンドについて話には聞いていましたが、今回Martechに参加した中で最も体感し、お伝えしたいと感じたことでした。
 
筆者も理想論としてBest of Breedには同調するものの、一方で
 
・Best of Breedとしてテクノロジーを計画的に導入していくのは非常に難易度が高い
・Best of Breedを目指しても実際には行き当たりばったりなテクノロジー導入になりがち
・苦労してテクノロジーを選定し・導入にしたのに自社の実情に合わず使われないツール化する
・結局コストばかりがかさんでしまう
 
といった状況に陥ってしまうケースが多いと感じています。
 
実際、Oracle社が企業に対して実施した調査では、「自社のマーケティングテクノロジー導入は上手くいっているか?」という問いの答えとして「上手くいっている」と答えた企業はわずか8%ほどだったとのことです。(Oracle Marketing Cloud Blog — 10 SUWrprising StAcquiatistics AcquiaboUWt MAcquiarketing Technology10 SUWrprising StAcquiatistics AcquiaboUWt MAcquiarketing Technology)

マーケティングテクノロジーロードマップが導入成功の鍵

では、難易度の高いテクノロジー導入をどのようにすれば成功に導けるのか?その解は、今後の3〜5年の時間軸においてどのタイミングでどういったマーケティングテクノロジーを導入するのか、何を実現出来るようにするのかを整理してステップ分けした基本計画である「マーケティングテクノロジーロードマップ」にあります。
 
マーケティングテクノロジーロードマップを構築し、計画的に自社のテクノロジースタックを作り上げている代表格は、自社のテクノロジースタックを公表しているCisco社があげられます。そしてCisco社のみならず自社のテクノロジー導入を成功させている企業のほとんどは、マーケティングテクノロジーロードマップを作り上げています。
 
そこで、今回はMartechのセッションの中の一つ「Staying Ahead of the Curve:How to Build Acquia MartechRoadmap Your Organization Can Rally Around(MichaelLukich氏)」から、マーケティングテクノロジーロードマップを作成するための「6つ」のステップを紹介します。
 
<マーケティングテクノロジーロードマップのイメージ図>

ロードマップを作成するための「6つ」のステップ

1.自社で保有・使用しているテクノロジーを洗い出す

初期の段階では、課題を見つけようとしたり、分類をしようと思わないことがポイントです。まずは事実として洗い出しを行い、網羅的に現状を把握することまでに努めます。実際進めてみると「そういえばあれもあったね」という発見や、「現場単位で利用しているテクノロジーまでは把握しきれていない」という発見があります。出すだけ絞り出す、ということを意識して進めましょう。
 

2.テクノロジーの整理・分類

2段階目では、絞り出したテクノロジーを整理していきます。 機能別や、データフロー、担当部門別などで分けることが考えられますが、オススメは「顧客ライフサイクル」別の整理です。顧客ライフサイクルというのは、認知から購買、購買からリピーター化など顧客と自社の接点のステージを指します。カスタマージャーニーと読み替えると理解が早いでしょう。 顧客ライフサイクルによる分類がオススメな理由は、このあとのステップで行う自社のマーケティングのビジョンとのすり合わせをする際に重ね合わせを実施しやすいからです。
 
ただし、前提として「そもそも自社の顧客ライフサイクルとはなにか?」を整理されていなければなりません。よって、もし自社の顧客ライフサイクルが整理されていない場合は、このタイミングで合わせて自社の顧客ライフサイクルの整理を進めましょう。(腹落ちするような自社の顧客ライフサイクルモデルを作るのは中々に難しいのですが、是非挑戦してみて下さい。)
 

3.顧客ライフサイクルと自社のビジョンをFIT&GAP

3段階目では、顧客ライフサイクルにおいて自社のビジョンが実現できているのかのFIT&GAPを実施します。そのため、ここまでで整理してきたテクノロジーは一旦置いておきます。
 
FIT&GAPを進める例では、「パーソナライズに力を入れていきたい」「特定条件によるセグメントでの優先順位付けをしていきたい」という自社のビジョンに対し、自社の顧客ライフサイクルのステージごとにビジョンが現状出来ているかどうかを整理します。 注意点として、ここではテクノロジーの有無ではなく、実態として出来ているかどうかを明らかにすることがポイントです。
 

4.ギャップと解決策の理解

4段階目では、「顧客ライフサイクルにおいて実現したいビジョンに対するギャップ(=課題)」と「ギャップをどのように解消するのか」というギャップと解決策をセットにした施策を一覧化します。
 
例えば、以下のような項目が挙げられます。
 

・ビジョンを実現するためにテクノロジーを導入しているのに、実現出来ていない。では、どうすれば実現出来るのか?
・ビジョンの実現は出来ているが非常に工数がかかっている。では、どうやって工数削減するのか?
・そもそも実現可能なテクノロジーがあるのか?
 

5.優先順位付け

5段階目では、対応項目の優先順位付けをします。ギャップは全て解消することを目指したいですが、予算も時間も有限ですので、全てを一度に解消しようとするのは止めましょう。
 
優先順位付けする際のオススメのフレームワークは、「解消できる課題がビジネスにもたらす価値」と「導入難易度」の2軸に施策をマッピングすることです。 このマッピング方法により、
 
・効果が高く、かつすぐ導入できるもの・・・ロードマップ上の早い段階で実施
・効果は高いが導入難易度も高い・・・先の1年を通して実施
・効果の低いもの・・・ひとまず見送る
 
など、対応項目の優先順位を付けることができます。
 

優先順位を時系列で並べ、いつ、何を実施するかを整理すればロードマップの完成です。この段階に達すると、抱える課題がいつ解消するかの見通しも付き、マーケティング施策の検討も計画的に実施出来る状況になります。
 

6.ステークホルダーへの展開

最終段階では、作成したマーケティングテクノロジーロードマップを、恐れずにステークホルダーに展開しましょう。先んじて展開しておくことで、いざ本番のテクノロジー導入のフェーズになったときの意思決定の強い助けになります。計画的に実施していること、これを実施することでどのような課題が解消できるかも説明がしやすく、スムーズに社内での承認を取り付けることができます。

大事なのはロードマップの変更を恐れないこと

マーケティングテクノロジーロードマップ作成の取組において最も重要な事をお伝えします。それは、「ロードマップの変更を恐れないこと」です。会社のビジョンや方針も、テクノロジーのトレンドも日進月歩で変化していきます。定期的なロードマップの見直しや進捗を把握し、テコ入れを行うことでBest of Breedなマーケティングテクノロジースタックを構築することが出来ます。それは、確実に他にはない自社独自のものとなるでしょう。
 
如何でしたでしょうか?実は、筆者はクライアントのロードマップを描いた経験がありますが、その時のプロセス検討で悩み抜いた記憶が強く残っています。今回のセッションでは、マーケティングテクノロジースタックを構築するためのフレームワークがとても分かりやすく整理されていることに感銘を受けました。
 
今後マーケティングテクノロジーへの投資はますます加速していくという調査会社のレポートもあります。 自社の中期計画を立てる際にマーケティングテクノロジーロードマップを作成することが必須になるような時代がすぐに来ると実感しています。マーケティングテクノロジースタックの構築、あるいはその前段としてマーケティングテクノロジーロードマップを作成する際のヒントとして本記事が役立てば幸いです。

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