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  • スポーツテクノロジー最前線〜最高のスタジアム体験とは〜

  
2018年11月29日〜30日の2日間、スポーツやその周辺で起きているイノベーションに特化したカンファレンスSport Innovation Summit(SiS)が開催されました。日本では初開催のイベントです。

スポーツ×デジタルマーケティングに関する3つのトピック

今回のイベントではスポーツにまつわるさまざまなテーマがセッションで取り上げられていましたが特にデジタルマーケティングの観点で印象に残ったトピックについて触れていきたいと思います。
 

  • ・スタジアム内でのリプレイ配信による観戦体験の最適化
    • ヨーロッパでは競技場内のWi-Fiスポットを通じて観客のスマートフォンにライブ映像や解説動画を配信するシステムが広がりを見せており新たな観戦体験を観客に提供。
       
  • ・スポーツ観戦での電子チケットの導入
    • プロ野球西武ライオンズでは電子チケットにも対応するウェブプラットフォームを導入し、チケット購入、入場などのプロセスがスマホで完結できるようになっている。
       
  • ・スタジアム運営におけるリアルタイムダッシュボード活用
    • アメリカNFLの49ersが運営するリーバイス・スタジアムではスタジアム運営にまつわるデータをリアルタイムでダッシュボードに可視化し、スピード感のある意志決定を実現している。
       

これらは「顧客体験を最大化すること」と、「あらゆることをリアルタイムに解決すること」という、デジタルマーケティングで目指すべき姿が詰まっていると考えています。 それではひとつひとつ詳しくみていきましょう。

現地観戦でも見逃したプレイを手元のスマホで再生

 
The Taffrail Group Japan K.K. の ロベール・ヴェルディ氏のセッションではフランスのスポーツ動画配信システムであるVOGOの紹介が行われていました。
  

ヨーロッパでは「スポーツをスタジアムよりも家で観戦したい」と答えている人が多いという調査結果があり、近年ではスタジアムでも自宅と同様の快適な観戦体験が観客から求められています。
 
VOGOは競技場内のWi-Fiスポットを通じて観客のスマートフォンにライブ映像や解説動画を配信するシステムを提供しており観客はカメラアングルの選択やリプレイなどの操作に対応。観客はスタジアムで試合の臨場感を楽しみながら、自宅さながら気になるプレイの映像を手元のデバイスですぐさま振り返ることができます。
 
ヨーロッパ市場ではすでに20以上のスポーツ、700以上のイベントで導入。日本市場でもパナソニックと提携し、展開を進めており。日本のスタジアムやアリーナに普及するのも遠い話ではないかもしれません。
 

観戦チケットをLINEで受け取り、スマホで完結

Playgroundの伊藤圭史氏のセッションではプロ野球西武ライオンズのデジタルプラットフォームの事例が紹介されました。 西武ライオンズではウェブプラットフォームMOALAを導入しており、チケットの電子化を進めています。
 
具体的にはチケットの発券、受け渡しはメールやLINEで行われ、遅れてきた友人へチケットを受け渡すときもLINEで完結します。また、入場の際にも電子スタンプでスマートフォン画面にスタンプをするだけで完了。試合終了後にはその日の試合の写真をLINE経由で来場者に送り、観戦の思い出を残しています。
 
電子チケットは不正転売や不正利用を抑止する効果もあり、伊藤氏は「フィードバックを受けながらサービスの改善を続けていく」と語りましたが導入数は今後も拡大していきそうな印象を受けました。 スマートフォンを通じたリピート施策や顧客ロイヤリティの改善、CRMなどのマーケティングの観点でも多方向に展開する可能性を感じるサービスだと思います。
 

NFLではスタジアム運営にリアルタイムダッシュボードを活用

 
アメリカのNFLアメリカンフットボールチーム49ersのムーン・ジャバイド氏のセッションではスタジアム運営にダッシュボードを活用し、顧客の声などのデータをリアルタイムに反映する事例が紹介されました。
 
チケットやグッズの販売状況のみならず、スタジアム内に100箇所以上置かれているHappyOrNotという顧客満足度調査の端末からスタジアムに来ている観客の満足度をその場で計測し、同じスタジアム内にある**エグゼクティブルームのダッシュのボードにデータを表示、問題があるエリアを即時に把握し、その場での迅速な対応に活かしています。 **
 

<HAPPYORNOT>
<スタジアム内の駐車場の状況>
<グッズなどの販売状況も可視化>

例えば、スタッフが足りておらず長い行列になっている売店をリアルタイムで把握し、即時にサポートスタッフを送る等の対応を実際にリアルタイムに行っているそうです。
 
日本でも企業内のマーケティングデータの可視化をするBIツールの導入がトレンドになっているが、アメリカのスタジアム運営の現場でもフル活用されている事例は珍しいと感じます。

日本のスポーツ業界でもデジタルマーケティングの推進が今後加速していく

今回紹介した事例以外にもディープラーニングによる画像認識技術を使い、サッカーのレフリーをロボットで代替。MLBでは選手の動きをビデオ解析し、一挙手一投足の細かい分析を行い、NBAのあるチームではフェイスブックメッセンジャーを利用したチャットボットでユーザーで試合情報やチケット情報などのコミュニケーションを取るなど海外ではテクノロジーの導入がかなり進んでいる印象を受けました。
 
日本の事例でも西武ライオンズやDeNAベイスターズがデジタルマーケティングを推進を強化する方針を述べており。日本のスポーツビジネスにおいても顧客獲得やロイヤリティー向上のために今後テクノロジーをどう利活用していくのかが大きなテーマとなっていくのではないかと考えています。

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