TEXT: DMJ編集部
静かに再ブーム?2019年のオウンドメディア
オウンドメディアは円熟期に入った?
「オウンドメディア」は2015年ごろに比べて、あまり話題にはならなくなりました。オウンドメディアを始めたものの、思ったような成果が上がらずに放置されている残念なケースも見られます。
一方で、きちんと運営されたオウンドメディアは静かに、着実に成果を上げるフェーズに入っています。本日は2019年のオウンドメディアの動向を見てみましょう。
そもそもオウンドメディアとは?
オウンドメディアは、自社で情報を発信するための手段です。自分の会社のウェブサイトもその一種と言えますが、自社のウェブサイトとは別に、何らかのテーマについて記事やブログ形式で発信するものが多いでしょう。最近ではリクルーティングを目的としたオウンドメディアの展開が増えています。
広告出稿やタイアップ記事などのように広告費用をかけず、またSNSや取材記事など発信される情報を制御できないメディアと異なり、発信する情報の内容と方法を自ら決められるのが魅力です。
日本では2015年ごろから、SNSに情報発信の次の集団として注目を浴び、様々な企業がオウンドメディアをはじめました。
ブームが落ち着いたのはなぜ?
オウンドメディアブームが落ち着いたのには理由があります。成果が出るまでに時間がかかり、始めるにも運用するにもそれなりのコストがかかるからです。
このため、すばやく着手した企業ほど、オウンドメディアを立ち上げてから、意外と大変な割になかなか成果が上がらない・・・と運用を縮小したり、やめてしまうケースがあるようです。
自分でメディアを立ち上げて、新たなユーザーを獲得していくのは、やはり時間と手間がかかります。成果を上げるには、1年以上の地道で継続的な取り組みが必要です。
しかし、2018年の末あたりから、オウンドメディアを開始したというプレスリリースが目立つようになりました。環境が変化し、再び脚光を浴びつつあるのです。
最近のオウンドメディア開始プレスリリースの例
2019年にオウンドメディアを再検討する3つの理由
オウンドメディアがふたたび脚光を浴びている理由は3つ考えられます。
ユーザー行動の細分化と分散
複数のSNSやアプリ、ウェブサービスを使いこなすユーザーが増え、特定のSNSやメディア、広告に依存した情報発信では、ユーザーの行動や嗜好を捉えにくくなってきています。
SNSは日常行動としてユーザーに広く浸透しましたが、反面SNS疲れや炎上といったネガティブな側面もクローズアップされました。メディアや広報担当者にとってユーザーの広告嫌いは常に頭が痛い問題ですが、SNSではよりリスクが大きくなります。
オウンドメディアは特定のSNSやメディア、広告に依存せずに、様々な形態での情報発信のハブとなるため、ユーザー行動の細分化に対応できる情報発信プラットフォームとなっています。
ユーザーとの接点がますます重要に
ユーザー行動の細分化の反映として、ユーザーとの接点を増やすことがますます重要になりました。たくさんの接点を配置しなければ、ユーザーの行動を捉えられないからです。
ユーザーの行動や嗜好を一貫して捉えることができる使いやすいデータマネジメントツールの普及も、これを後押しします。ユーザーの多様な行動にあわせて接点を多数準備することで、ユーザーの活動に合わせた情報発信を行うことができるようになっています。
オウンドメディアは、多様なユーザーデータを捉える接点として重要度を高めているのです。
運用コストの低下
ブームから3年ほど立ったこともあり、オウンドメディアの運用をサポートするサービスやノウハウが充実し、運用コストが下がってきています。
そもそもオウンドメディアを全く新規に始める場合、自社ビジネスにないノウハウや人材が必要となり、立ち上げと運用ともに高いコストがかかります。ノウハウがない事業を立ち上げる場合、うまくいかないリスクも高まります。
2018年あたりからオウンドメディアの運用を代行したり、良質なコンテンツを提供するサービスが増えてきました。これによりコストを抑えて、ノウハウを活用してオウンドメディアを継続運用することが可能になっています。
オウンドメディア運用支援サービスの例
オウンドメディアは静かに成果を上げる
オウンドメディアは継続的な取り組みです。パッと始めて目覚ましい成果を上げるよりは、日々の取り組みを積み重ねることにより、静かに成果を上げることができます。
2019年は多くの事例やノウハウ、サービスが蓄積され、オウンドメディアから長期的に成果を上げるための環境が整っていると言えるでしょう。