今回はCMSのページ移行で実際にオフショア活用をして感じたメリットと気をつけるべき注意点についてまとめたいと思います。システム開発だけでなく、日々のレポート業務やWEBサイトのページ管理などもオフショア対応が可能なので、今の作業がオフショアに置き換えられるかの参考にしていただければと思います。

まず、オフショアって?

正式にはオフショアリングといい、自社業務の一部を海外の企業に委託することを指し、現地の安価な労働力を活用することで人件費を削減することを目的として活用される場合が多いです。 (それ以外にも、国内リソース不足の改善、作業人数を増やして開発のスピードを上げたいなど様々なニーズはあります。)
 
また、年々領域も広がっており、システム開発、コールセンター、経理、医療など幅広い分野に対応しています。デジタルマーケティングの分野でも、システム開発だけでなく、各ツールにまたがったデータを抽出したレポート作成など、マーケターの業務を一部海外で行い、マーケターは分析に集中する、といった活用方法も見られます。

オフショアを活用する際の注意点

メリットも多いオフショアですが、実際にやってみて感じた活用する上で注意すべきポイントは大きく2点あるかと思います。
 
1.いい感じにお願い、は通じない
2.日本の作業は0にはならない
 

1.いい感じにお願い、は通じない

日本からの仕事を受けているオフショアの会社では日本語がわかるオペレーターがコミュニケーション窓口になっていますが、作業者は別にいることがほとんどなので委託したい業務を明確に伝える必要があります。
 
例えば、CMS上の商品のページに類似した製品をオススメとして表示したい場合、日本であれば作業者に「類似をレコメンド欄に表示しておいて」と伝えても作業が進みます。オフショアの場合、商品ページのrecommend listコンポーネント(レコメンド欄の正式名)に対して、商品の属する製品群タグであるtag:category/A/AA(タグの正式名)を追加して、という内容にする必要があります。
 
そのため委託する作業について、基本的には自社で行っているものを前提にしたほうがよく、欲しいものだけ伝えるのではなくて、作業に落とし込んで依頼したほうが安全です。特に、初めてお付き合いするオフショア会社であれば作業への落とし込みは絶対に必要です。
 
初期フェーズの場合は更に、納品内容を審査して修正するためにスケジュールの余裕を持つことや、納品を一括にしないで段階的にすること(指示を間違えるとすべての作業が間違ってしまう)もおすすめします。
 

2.日本の作業は0にはならない

オフショア活用でデジタルマーケティングツールの作業を依頼する場合に気をつけたいのは、依頼をしたとしても明日からその作業に対する時間が0なることはないという点です。
 
各会社によって管理画面やツールがカスタマイズされているので、それに対する細かな質問に答えたり、指示を明確に伝えるためにマニュアルを作成したり、スケジュールの管理をしたり、細かいことの積み重ねで意外と時間が必要なことは覚悟しておいたほうがいいと思いました。
 
ただこれは初期に集中する課題なので、同じ作業を大量に行う場合にはやはりオフショアにはメリットがあります。

見積りの考え方は『時間×単価』

また、相手の作業見積りの考え方をを知っておくことで、オフショア会社とうまく協力して進めることができると思います。 金額は『対応に必要な時間×1時間あたりの単価』で算出され、『希望納期』との兼ね合いでスケジュールが組まれます。
 
対応に必要な時間:
依頼する側は、必要なアウトプットを見せるなどして相手が作業に必要な時間が算出できるように伝えます。ここでの目的は委託内容についてのお互いの認識をあわせることです。そうすることで、見積りが割高になったり、作業量を見誤ったことによるスケジュール遅延のリスクをなるべく減らします。 ※長年付き合いがある場合でなく、初めてのオフショア会社とやり取りする場合を想定しています。
 
1時間あたりの単価:
依頼する側は、委託内容を説明する場合に、どの程度のスキルを持った人のアサインが必要なのか、を想像しながら話すことをおすすめします。
 
例えば、定期的に管理画面から数値を抽出する作業であればスキルはほとんど必要ないですが、特定のCMSを使ってページに対してコンポーネントの組み換えも行ってほしい、などは対応できる人が少ないので1時間あたりの単価が高くなります。
 
また、スケジュールに関して、ヨーロッパやUS案件を受けているオフショア会社の場合、12月決算の会社が多いため、その周辺は案件が混む傾向にあります。

オフショア活用の第一歩は依頼内容の整理

今回実際にオフショアを活用してみて、「他社に依頼していて自社に知見が無い作業をオフショアに変更するのはハードルが高い」と感じました。 オフショアに向いているのは委託内容について自分たちで説明・作業できる、継続または大量に同じ作業がある場合だと考えます。そのためまずはオフショアを検討する場合は依頼内容を上記の観点で整理することをおすすめします。

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