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改めてABMの考え方の整理

Account Based Marketing(ABM)とは、営業戦略上の優先度に基づいて定義するターゲット企業を定め、それらのターゲット企業を狙い撃ちしてリード獲得、リード育成を行う戦略です。
ABMの概念については、別記事にて詳しく記載しておりますので、ぜひご覧ください。 
 
ABMの概念は広く普及していますが、具体的な施策や利用できるテクノロジーについての普及はまだまだ途上の段階にあると考えています。 今回は、狙ったターゲット企業のアノニマス(匿名)顧客をリード(実名)に変えるリード獲得フェーズで役立つテクノロジーを紹介します。

アノニマスからのリード獲得の重要性

デジタルにおける情報収集が盛んになった昨今においては、BtoBにおける購買行動もデジタルの重要度が増しています。大手調査会社やベンダーの調査の中で、購買活動以前の情報収集段階におけるデジタルチャネルの重要性は定量数値も含め語られています。
 
・76%の会社が、商品購買前の情報収集に3つ以上のデジタルチャネルを活用している(Blue  Nile Research)
・56%の会社が、商品購入のために営業担当に問い合わせをする前に、購入の意思決定を完了している(Corporate  Executive  Board)
・商品購買のためのWebでの情報収集は、実際の商談が始まる9.3ヶ月前から始まっている(Gartner)
 
つまり、Webでの情報収取段階で接点を持てるかどうかがその後の購買活動を左右するのです。 キーマンの情報がすでにリード情報として獲得できている場合、Webでの閲覧行動を検知した上でのメール配信や直接の架電で機会を伺えばいいので問題ありません。 しかし、キーマンの情報がない場合は未だ見ぬキーマンの獲得も視野に入れてアプローチしていく必要があります。
 
狙ったターゲット企業からの引き合い獲得の可能性を増やしていくためには、匿名顧客へアプローチを実施して実名リードとする営みは重要な取り組みと言えるでしょう。 しかし、「リード獲得が重要」と説きつつも、匿名顧客へのアプローチをABMの考え方に則って実施するにはどのようにすればよいのか?という問いに対する方法論は、あまり書籍やメディア記事、セミナーでは取り上げられていないように感じます。
 
特に、リアルチャネルと比べ、デジタルチャネルを活用したソリューションについては特に触れられる機会が少ないように思います。リアルチャネルにおいてはインサイドセールスによる架電やイベントを活用した名刺獲得などのソリューションが定着化しつつある一方で、デジタルチャネルでのリード獲得手法はまだまだ確立されていないと言っても良いでしょう。
 
前述の通りデジタルチャネルは購買行動における重要な位置付けにシフトしてます。デジタルチャネルでのターゲット企業からのリード獲得手法も同様に重要な位置づけとして考えていくべきでしょう。
 
そこで、今回は狙ったターゲット企業からからのリード獲得、すなわちABMにおけるアノニマス顧客攻略の一助となるマーケティングテクノロジーをいくつか紹介します。
 

企業指定広告

その名の通り、広告を見せたい企業に所属する人にだけ広告配信を実施できるソリューションです。広告施策はどうしてもインプレッションやCVなどの指標に注目したくなりますが、ABMにおける指標としては「リーチした対象がターゲット企業なのかどうか」が重要です。この指標の結果数値の向上を最も効率的に実施する一つの解は、初めからターゲット企業にだけ広告を配信することです。ターゲットを絞る分リーチ数やインプレッション数は下がるかもしれませんが、ターゲット企業からの獲得が増えれば最終的なROIは高くなるはずです。ターゲットを絞る分クリエイティブやメッセージのパーソナライズも出来るため、CV向上への期待も高まります。
 
・Admatrix
クライド社が提供するDSPで、オフィスターゲティングに強みを持ちます。国内企業情報を提供しているランドスケイプやどこどこjpの保有する企業の固定IPアドレスデータに加えて、独自技術である変動IPをベースにした企業特定を実施することで、配信可能な国内企業の網羅率を高めているのが特徴です。
 
・Linkedin
ビジネス特化型ソーシャルメディアです。グローバルで約6億人、日本で約200万人との会員ユーザーに対して広告を出すことができます。その際のセグメントとしてアカウントベースでの配信オプションを設けており、企業リストやリードのリストをLinkedinに渡すことで、そのリストに記載の会社に属するユーザーを指定して広告配信を実施することが可能です。

・Jabmo
フランスに拠点を置く会社です。実施できる機能はAdmatrixに近いのですが、ユニークなのは配信可能ターゲット企業を「製造業」に特化している点です。また国内企業、拠点だけでなくグローバルに企業指定配信が可能です。製造業向け製品を取り扱っている、かつグローバルに展開している場合には高いバリューを発揮するでしょう。
 

IP to Company

自社Webサイトにアクセスしてきたユーザーがどの企業に属しているか?を特定するソリューションです。匿名顧客のアクセスでも、その匿名顧客が属しているのがターゲット企業なのかが特定できれば、割引キャンペーンやプライベートセミナーなど、手厚いスペシャルオファーを案内することも出来るでしょう。ターゲット企業だけの特別なおもてなしをWeb上で実現できます。
 
・どこどこjp
Geolocation Technology社が提供するサービスです。
 
・Account based analytics
弊社アンダーワークスが提供するサービスです。(データソースはランドスケイプ社のLBCを利用)
 
IPから企業を判別し、それらを他マーテクに連携可能である点など、機能としてはほぼ同一ですが企業特定の精度や返却可能な項目に差があります。 どちらも精度や企業の網羅率を開示していないため厳密ではないのですが、特定可能な企業の網羅率ではAccount based analytics、情報精度ではどこどこjpの方が高いという印象があります。(これはあくまでも主観ですので参考に留めてください)
 

インテントデータ

ターゲット企業が自社Webサイト以外で行っている情報収集を検知し、そのターゲット企業の関心事を特定できます。検知したキーワードを軸にニーズの仮説を立てることが出来るので、前述の企業指定広告やIP to Companyで実施する施策の内容検討にも貢献できます。 インテントデータの仕組みや詳細は別記事もぜひご覧ください。
 
・Select DMP
インティメート・マージャー社が提供しています。国内の様々なメディアに対して企業の担当者がどのページを見ているかのデータを蓄積していくことで、企業としてのニーズや関心事を特定することが可能にしています。
現状、日本企業のインテントデータとして利用できる唯一の選択肢となっています。
 
いかがだったでしょうか? ABMを実践する上では、ターゲット企業選定や優先度付けなどの戦略フェーズがあり、描いた戦略に基づいた施策実行を行うためのテクノロジー活用が必要不可欠です。今回ご紹介したテクノロジーはいずれも有用なツールではありますが、ツール同士を組み合わせることでより施策の効果を高められると考えます。 戦略立案からテクノロジーに至るまでを論理的に整理し、ABMを実践すれば高いROIが期待できます。
具体的なABM実践のヒントとして役立てば幸いです。

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