今年も毎年恒例となる「マーケティングテクノロジーカオスマップ JAPAN 2019」を公開しました。
2018年度版の12分野485テクノロジーから、2019年度版は13分野930テクノロジー(前年比192%)にアップデートされ、2019年現在の日本国内における主要マーケティングテクノロジーを俯瞰できる内容になっています。
「日本のマーケター」を対象に構成しておりますので、自社の最適なマーケティングテクノロジーの情報収集に、ぜひご参考にしてみてください。
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マーケティングテクノロジーカオスマップの作成背景のおさらい
マーケティングテクノロジーカオスマップ(以下「カオスマップ」と略称)について、まだご存知でない方がいらっしゃると思いますので、その作成背景と理由についてまずはご紹介します。
カオスマップとは弊社が2017年から毎年リリースする、日本国内における主要マーケティングテクノロジーを俯瞰できるマップです。近年、テクノロジーの進化により顧客の購買行動がデジタルにシフトすることで、さまざまな顧客行動がデータとして蓄積し、マーケティングに活用できるようになったことが背景として挙げられます。
その結果、企業において複数のマーケティングテクノロジーの把握・連携の重要性が増しています。事実、近年のデジタルマーケティング活動において、企業が導入するマーケティングテクノロジーの数は、少なくとも5~10以上、場合によっては100を超える企業もあります。
スコットブリンカー氏によって取りまとめられた元祖カオスマップ「Marketing Technology Landscape Supergraphic 2019」によれば、7,000以上のマーケティングテクノロジーが存在しています。
このような状況下において、マーケティング担当者が「自社が何に取り組むべきなのか」という問いに対する回答を探し求める時、デジタルマーケティング全体を見渡し、マーケティングテクノロジーの観点から気づきを与えることが、カオスマップの存在意義であると考えています。
カオスマップ2018からの変更点まとめ
前述の通り、カオスマップ2018では12分野のテクノロジーを掲載しましたが、今年は、既存分野の名称やカテゴリーの見直しも行いました。(小カテゴリーの数は65→95に増加)
ツール数の増加だけでなく、分野の中身も大きくアップデートされ、新たにインサイドセールスやオンライン商談ツール、マーケター・IT担当者向けの社内業務最適化・自動化・開発に関連するツールなども掲載しています。加えて、ビッグデータ企業がBIツールを買収するトレンドや、チャットボットツール急増の傾向など意味深いトレンドも窺えております。
なお、補足情報ですが、2018年記載ツールのロゴ・名前・提供会社変更についても調べてみました。結果は、2018年掲載の485テクノロジー中、変更なし:451、変更あり:31、サービス終了/終了予定:3となっており、およそ7%のテクノロジーがこの1年間で運用会社変更(買収or合併)または社名/サービス名/ロゴの変更によるリブランディングを行っていることが分かりました。
続いて、マーケティングテクノロジーカオスマップ JAPAN 2019から見えてきたトレンドを3つご紹介します。
ビッグデータ企業がBIを買収するトレンド
マーケティングテクノロジーの世界では、大手テクノロジーベンダーによる買収競争が活性化しています。例えば、最近の事例だけでも、SalesforceのTableau買収、GoogleのLooker買収が挙げられます。
こういった買収競争にはどのような背景があるのか?それは、データの可視化・活用に対するニーズの向上と考えられます。
前述のように、データが日々溜められている時代において、そのデータをどう活用していくのか、どうすればデータの価値を発揮できるかは、現代のデジタルマーケティングにおいて大きな課題の一つです。その課題に対して、大手テクノロジーベンダーはBIツールベンダーの買収により、データを提供することに留まらず、データを可視化・活用することで、さらなる付加価値が付いたソリューションを提供していく傾向が事例からも伺えます。
今後もビッグデータとデータ分析ベンダーの統合により、更なるデータの活用が見込まれます。
AI実用の加速によりチャットボットベンダーの増加
また、AIテクノロジーの実用化&改善により注目度&市場規模が拡大し(世界市場年間成長率24%)、ベンダー数も急増しています。
特に、2018年度のカオスマップリリース後には、チャットボットツールが急増しており、今年のカオスマップには35テクノロジーを掲載しています。
市場規模拡大の背景として、①AI技術の発展、②企業業務効率化の追求が考えられます。
① AI技術の発展:「自然言語処理」、「ディープラーニング」などの技術発展により、過去のチャット履歴データが蓄積することによって、AIを搭載したチャットボットが顧客の質問事項に対して正確な回答が出来るようになってきた。
② 企業業務効率化の追求:「労働人口の減少」、「働き方改革」という世の中の流れにより、労働者数、及び労働時間の両軸で影響を受け、国内企業は業務効率化・生産性向上を推進し、それに向けて一つのソリューションであるチャットボットへの期待。
デジタル営業
顧客と直接相対せずに電話やメールを活用することで見込み客を継続的にナーチャリングできるインサイドセールス、オンライン商談ツールも近年注目されている分野です。
その背景として、ネットで簡単に欲しい情報が収集できるようになったこともあり、これまでの訪問営業や電話アポなど従来の営業手法の効率が低下してきたことが挙げられます。
つまり欲しい情報はネットで簡単に入手できるため、顧客自体が営業マンの説明を必要としなくなってきたということです。また、直接会って面談するよりも手軽に連絡を取り合えるメールや電話、ウェブ会議システムが好まれる傾向に世の中が変化してきています。
その結果として、営業活動の効率化、移動に伴うコストや時間の削減を目的とした「インサイドセールス」や「オンライン商談」と自称するツールやベンダーが増加しており、今年のカオスマップにも掲載しています。
カオスマップをマーケティングテクノロジー導入・活用に役立てて欲しい
「マーケティングテクノロジーカオスマップ JAPAN 2019」は マーケティングテクノロジーを検討・比較している企業のマーケティングの担当者のマーケティングテクノロジー導入・活用の一助となりたいという制作メンバーの想いが具現化されたものです。マーケティング担当者がカオスマップを参考にし、その企業でマーケティングテクノロジーの導入・活用が進み、その企業のマーケティング活動による成果が上がれば、製作者冥利に尽きます。
最後になりますが、「マーケティングテクノロジーカオスマップ JAPAN 2019」の作成にあたり、製品・サービス名、会社名に関して各社のWebサイトより引用しております。万一、修正の必要がありましたら弊社お問い合わせまでいただけましたら幸いです。その他、カテゴリーや製品・サービスの分類に関しても、ご指摘事項がありましたら弊社までご連絡ください。
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