• HOME
  • メディアDMJ
  • NBX(ネクスト・ベスト・エクスピリエンス)実現を目指している「Lyti…

 
デジタルマーケティングジャーナル(DMJ)にて連載企画が始動。今回のテーマは、「各CDPツールベンダーを訪問し『CDP』についてのロングインタビューを行う」というもの。今回はLytics後編(全2回)をお送りします。
 
インタビュー前編はこちら
 
CDPの参考記事:カスタマーデータプラットフォーム(Customer Data Platform、CDP)とは?
 


 
―貴社(Lytics)の顧客というと、どのような企業でしょうか?
 
マクダーモット氏:
弊社の顧客というと、マイクロソフト、Atlassian、ユニバーサルグループ、Tableauなどがあり、つまりエンタープライズや中堅企業、またはB2B企業。
 

―2019年6月にセールスフォースはTableau買収に合意したというニュースがありました。メガベンダーによるマーケティング・ソリューション・プロバイダーの買収に関して貴社の戦略は?
  
マクダーモット氏:
弊社はグーグル社やAWS社などの大手企業とパートナーであり、買収を視野にいれず、独立的にビジネスを続けるつもりだ。
 
メガベンダーは様々なツールを買収し、独自のプラットホームに統合し続けているが、出来上がったオールインワン・スイートは値段が高い割に、ユーザーには使いづらいものになりがちで、ユーザー側は買収の価値を実感できないのではないか。また、スイートは「1つのセグメントに対して1つのキャンペーンを実施する」という古いマーケティングモデルを元に作られたものであり、効率も優れていない。コスト上昇やイノベーションの停滞の可能性を考えると、すべてのマーケティング業務を一つの企業に預けるのは望ましくないことと考えている。
 
コストダウンや柔軟な選択肢を求めているマーケターは、自身の望み通りの構成が可能なマーケティングツールのスタックを選んでいる。ツールスタックは割と新しいマーケティングアプローチであり、意思決定や統合機能を果たすCDPを中心にビジネスニーズに合わせた各種のマーケティングツールから成り立つ。ツールスタックは柔軟な仕組みであるため、各マーケターの予算に合わせたツールを選択可能であり、コストを抑えながら新しいツール導入もしやすい手法だ。
 
このようなマーケターを対象に、Lytics CDPを提供している。マーケターは様々なマーケティングツールを統合し、Lyticsを軸に簡単にワークフローを作成できる。
 
最近、データのクラウド移行に伴い、多数の企業はメガベンダーのスイートから乗り越えて、もっと簡単かつコストを抑えるマーケティングソリューションを選んでいる傾向がある。
 
―CMSWireで公開されたマクダーモット氏のインタビュー「岐路に立たされているデジタルマーケティング」ではマーケティング・ツールのユーザーに変化が起きているとのことでした。もう少し詳しくお聞かせください。
 
マクダーモット氏:
現在、マーケターはコンテンツマーケティングの複雑化や広告単価の値上げなどの課題に直面している。つまり、獲得原価は上昇しつつあるが、生涯価値は下がっている。
 
この課題を乗り越えることができたのは、顧客・カスタマーエクスペリエンスを中心にビジネスモデルを調整した企業である。この企業は、マーケティングチャネルごとのキャンペーンを考えるより、顧客はそれぞれ、どのライフサイクルステージにあるか、次のステージに進むための最適な施策は何か、と考える。最終目的は、見込顧客を高価値顧客にすることだ。
 
ウーバー、アマゾン、Netlfixなど世界中で憧れの的となる企業は、顧客や顧客エクスペリエンスを中心にビジネスを展開している。各一人の顧客に最適なエクスペリエンスを提供し、ブランドと顧客をより高価値な関係を築いていく。
 
カスタマージャーニー計画や生涯価値の向上はこれからのマーケティングの焦点になるが、それを実現するには、新しいマーケティングモデルが必要だ。そのモデルにCDPは最適だと思う。
 
チャネルにとらわれることなく、顧客エクスペリエンス・顧客ジャーニーの構築やツール統合はマーケターにとって進化の新段階になるだろう。
 
このようなアプローチを取り入れた企業の例を一つ上げると、イギリスのロイズ銀行(Lloyds Bank)がある。ロイズ銀行では、顧客ジャーニーを設計し、各ステップに繋がるエクスペリエンスを考え出して、全体の顧客ジャーニーを管理するチームを配置した。つまり、顧客が次のジャーニー・ステージに進むため、その時点での段階で提供すべきエクスペリエンスを提供する。
 
米フォレスターリサーチ市場調査会社は、同様のアプローチを「Next best experience (NBX)」と名付けた。このアプローチでは、全てのマーケティングツールをゴール達成のために統合し、複数チャネルを渡る最適なエクスペリエンスを提供することで意思決定や次のステップへの移動を促している。NBXは従来のアプローチよりも、より高い顧客生涯価値 (high lifetime value)の実現を可能にする。
 
弊社のソリューションであるLyticsはあらゆるツールを統合し、インサイトから次のステップに繋げやすく設計されているため、NBXアプローチに適合している。
 
―Lyticsの技術面での長所は何でしょうか?
 
マクダーモット氏:
Lytics CDPの強みは、他社のソリューションと異なったアイデアを元に開発されたことによって、ユニークな機能を提供できることだ。多数のCDPソリューションは統合型データセット作成のために開発されたものである。しかし、Lyticsのゴールは顧客に関する理解を深め、それに基づいて最適なエクスペリエンス提供を可能にすることだ。
 
世界中のベストマーケターはマーケティング戦略に大量の顧客データを利用し、ユーザーに1対1のエクスペリエンスを提供できるようになったおかげで、著しい成長を成し遂げている。
 
例えば、米Netflix(ネットフリックス)動画配信サービスという成功事例がある。同社はユーザーやコンテンツの事細かな分析に投資をした結果、現在、世界中で人気を博している。
 
一般的なWebページは4−5個のコンテツタグを使っているが、Netflixは各動画に数百個のコンテンツタグを付け、コンテンツの持つ細かい情報を把握した。そうして入手したデータを使い、Netflix社はレコメンド機能を強化し、各ユーザーに最適なコンテンツを紹介することができた。
 
Lyticsでは極端なパーソナライゼーションを可能にするため、「Content engine affinity」という機能を提供している。
 

 
この機能は自然言語処理技術を使い、コンテンツを分析し、テーマごとに分類する。Netflixの例と同様に、ユーザー行動を分析し、それに基づき各ユーザーにパーソナライズされたレコメンドを提供するものだ。
 
また、Lytics CDPを使うことで、GDPRやCCPAなどのプライバシーに関する新しい規則や法律への対応も楽になる。CDP上で、ユーザーデータの収集や使い道を明確にし、ユーザーが懸念すべき項目を把握できるからだ。そして、管理者は必要に応じて収集したユーザープロフィールをCDPから簡単に削除できる
 
―インタビューは以上となります。本日は長時間、誠にありがとうございました。
 
いかがだったでしょうか?CDPというのは新興の概念・ツールだと思いますが、製作者の考え、想いにふれることで、どのような使い方が望まれているかをイメージできたのではないでしょうか。引き続きCDPについての理解を深め、活用していただければ幸いです。
 


あわせて読みたい! CDP/DMP(自社データ統合)プロジェクト事例

関連記事

デジタルマーケティングジャーナル 一覧