デジタル化が日々進む我々の生活において、今までよく取り上げられてきた観点は、利便性の向上や顧客体験の向上でした。例えば、以前ご紹介したリアルとバーチャルを行き来する、ニューヨークで感じるデジタル顧客体験我々の生活を一変させる?中国における顔認証技術の最新実用事例など。
 

一方、最近台湾「天才」IT担当大臣オードリータン氏のニュースを耳にしたことはありませんか。最年少35歳で台湾のIT大臣として就任したタン氏は、新型コロナウィルス対策として打ち出した様々なデジタル改革を実施しました。その結果、デジタル化が台湾の人々に対して心理的安心をもたらしました。これまでも無意識な「心理的な安全を与えるデジタル化」が我々の生活内にあったかもしれませんが、ここまで顕著な形で現れたのは初めてだと考えます。新型コロナウィルス対策については、日本国内の東京都を始め、北海道でも独自に様々デジタルの施策を打ちだしています。
 
本編では具体的なデジタル施策のご紹介およびどのように実現に至ったかを解説していきたいと思います。

マスクのリアルタイム在庫マップの開設@台湾

購入者の位置情報から近隣の販売薬局が表示され、各薬局の在庫量をリアルタイムで見ることが可能なマップです。藥局口罩採購地圖(マスク在庫マップ)をクリックすると、下記のように薬局情報が表示され、ひと目でどこで販売されているか確認ができます。
 

実際に気になる▲をクリックすると、右側に薬局名、大人用/子供用それぞれの在庫、住所、販売時間などが一目瞭然です。
 

口‍罩供‍需資‍訊平‍台(マスク情報プラットフォーム)では、マスクマップ以外にも、LINEやSiriなどその他様々なプラットフォームでマスク在庫量を確認できるアプリを紹介しています。ここに掲載されているアプリのほとんどがボランティアのエンジニアにより開発されています。
 

マスクの実名制の購入による顧客購入履歴の管理@台湾

健康保険証のシステムを利用し、健康保険証を元にした実名での購入制度を導入し、顧客の購入履歴を管理しています。購入は週3枚(3月時点)まで。
 
購入後は7日間購入不可。購入国民身分証(日本のマイナンバーに相当)の下1桁が奇数の人は月・水・金に、偶数の人は火・木・土に、日曜日は全国民が購入できるようにする。など各種の制度を整理しました。これにより、マスクが手に入る安心感と、購入による混乱を避けることが出来ました。
 
また、近日、薬局の販売時間に購入できない人に向けて、ネット販売も開始される予定です。今までの在庫管理と顧客購入履歴管理のデータを組み合わせ、マスクのネット購入システムの構築に向けて動いています。

台湾衛生福利部疾病管制署Webサイトでリアルタイムの情報提供@台湾

下の図をご覧ください。
 
赤枠①:新型コロナウィルスの定義、注意事項をわかりやすく記載
赤枠②:国内の検索数、感染者数、完治数などリアルタイムに表示
 
これら2点以外にも、国内の状況を毎日ニュースリリースとし明確に掲載しています。情報が一箇所に集約されていることで、情報の収集も容易となり、常に最新の情報を得られることで安心を与えることが出来ました。
 

台湾疾病管制署のオフィシャルLINEボットを提供@台湾

LINEに、台湾疾病管制署の開設したオフィシャルアカウント疾管家 | LINE Official Accountを追加フォローすることで、リアルタイムな情報が発信がされ、Webサイトや様々なチャネルからの情報収集をしなくても情報を得ることが可能となりました。

日本での対応

日本でも、東京都が東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイトを立ち上げ、リアルタイムで情報提供を可能にするようになりました。また、北海道でも東京都の公開したサイトをベースに北海道向けのサイトを立ち上げました。
 
 特に北海道のサイトは東京都のサイトが3月4日に設立してからまもなく、githubに公開されたソースを複製し一週間以内に立ち上がっています。 このスピードの速さで実現した裏には、有益な技術(ソース)をオープンに公開したこと、そこに有志で有識者が開発に参画したことが大きな要因です。もちろん台湾も同じような形で様々なアプリ、情報公開サイトが立ち上がりました。短期間にこのような変革が生まれたことはデジタルの無限の可能性を感じさせます。

心理的安心をもたらすデジタル化の未来

デジタルが人々に「心理的安心を与える」というの今まででは暗黙の概念であり、我々のこれからの生活に一層浸透していくものだと思います。正確な情報の可視化、リアルタイムでの情報提供が我々の心理的安心を与える影響は計り知れません。 
 
また、短い時間の中で有識者の知恵が集結することで新しい技術、サービスが生み出されるこのスピード感は、今後の未来がすごいスピードで変化していくのではないかと思うとワクワクが止まりません。 デジタルは我々の生活に利便性という面だけでなく、安心した生活を送れるために不可欠な要素となることに間違いないでしょう。

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