デジタルガバナンスという言葉は聞いたことはありますか?これまでのWebガバナンスという表現の方が馴染みがあるかもしれません。

昨今では多くの企業がデジタル技術を活用しているため、デジタル全般を扱うデジタルガバナンスが重要な時代に入ってきました。新たな「デジタル技術活用の成熟モデル」や、それに伴う「組織の課題」については、本DMJ内の記事でも触れましたが、今回は多くのデジタル技術を活用するうえでの、ガバナンス構築についての取組ステップのうち1番重要な「現状把握」についてご案内します。

デジタルガバナンスを推進する力とは?

デジタル技術はすでに生活の一部となり、多くの企業の業務に入り込んでいます。その中で改めてデジタルがバンスに取組むきっかけとはどのようなものでしょうか?

多くの企業は、以下の3つのケースのいずれかに当てはまり、取り組みが開始されていきます。

1.ビジョンに基づく取組み・・・戦略的観点でビジネスとデジタルガバナンスの連携を目指す
2.現場の課題に基づく取組み・・・現場の運用課題解決、業務効率化を目指して取組みが始まる
3.インシデント発生に基づく取組み・・・インシデントが発生する度に、対処療法的に取組む

いずれの取組みであれ、その取組みを行う際には、主体的に取り組むメンバーと協力するメンバーの関係性が重要となります。

デジタルガバナンス現状把握でやるべきこと

取組むプロジェクトメンバーが集められたら、それらのメンバーでひとつひとつ現状を紐解いていく必要があります。これまでの取り組みが、各組織で属人的に行われていた場合、現状の全体像を把握している部門や人はいないと考えられ、洗い出しには相当な根気が必要です。
 
主に洗い出す内容としては以下のようなものが考えられます。

・関係部門 ・業務の理解
・利用テクノロジー
・現行の規定
・ルール、暗黙のルール
・進行中のプロジェクト
・課題とリスク

これらの現状と、現時点での自社のデジタルガバナンスの成熟度を把握し、今後の改善提言につなげていきます。
 

参考:デジタルガバナンス構築時の現状把握でまとめるべき事

デジタルガバナンスの取組みハードル

「現状把握」は重要なステップですが、取組みのハードルが一番高いステップでもあります。そのためやらなければならないと考えつつ、なかなか取組みに踏み切れず、結果としてデジタルガバナンスが進まなくなる要因でもあります。
 
主なハードルは以下の3つです。

・関係者を洗い出すのが難しい・・・ジョブローテーションなどにより、状況を把握している者が不在もしくは不明
・関係者を集めるのが難しい・・・関わる関係者が他部門・大人数となるケースが多いため、調整が難しい
・合意形成が難しい・・・新しい概念を構築するため、決定権者があいまい、もしくは不明となり合意形成が難しい

これらに対しては簡単な解決策はないのですが、ひとつずつ壁を乗り越えていく必要があります。
 
・関係者の洗い出し・・・これらについてはまったく不明だと思われる場合でも、意外と探せば社内に知っている方がいるものです。知っている方は自分が情報を出すと、何か余計な事に巻きこれるのではないか?と警戒されていますので、「単に知っていることを教えてください」と言った形で、まずはヒヤリングさせてもらうのが良いでしょう。

・関係者を集める・・・多岐に渡る事項を洗い出す際に、全員を集める必要があるのか検討すると良いです。個別のヒヤリングから全員を集めると、個々の熱量が下がりますので、個別事項の洗い出しは個々に実施し、調整ハードルを下げると良いでしょう。

・合意形成・・・まずは関係者からの内容をヒヤリングした時点で、主体的部門や担当者が決定権限を委譲してもらう必要があります。実行するためには、プロジェクトに関わる全員のゴールが同じ方向を向いている必要がありますので、その前の段階で信頼関係を築いておく必要があります。

デジタルガバナンスは、現状把握から構築まで数年かかることもしばしばです。勇気をもって根気強く取組みを続けてください。

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