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音声SNSは次のマーケティング施策として検討可能なのか?

Honami Saito

国内で外来SNSが普及してから早10数年が経つFacebookやTwitter、InstagramといったSNSが我々の生活に定着して以来、毎年のようにマーケティング担当者が話題にしてきたのは「次のSNSは何か」ではないだろうか。今日までの間にも、数々のSNSが誕生しては定着しないままに消え、を繰り返してきた。

昨今のコロナ禍で爆発的に流行した”新しいSNS”といえば、「Clubhouse」を思い浮かべる人がほとんどだろう。招待制で醸し出す初期のプレミアム感や、著名人同士の対談を聞くに留まらず会話に参加できるなど話題性に富むサービスだが、従来のSNSと異なる大きな特徴は「リアルタイムの音声」のみでコミュニケーションを行う点だ。

現在は利用者の熱も落ち着いてきたClubhouseだが、以降もニュースでは日々「音声SNS」の話題には事欠かない。最近では、Facebookの「Live Audio Rooms」やTwitterの「Spaces」など、大手SNS企業が続々と音声のコミュニケーションサービスを展開し始めている。さらに国内では、株式会社ZATSUDANが音声型プラットフォーム「ZATSUDAN」をリリースし、注目を浴びている。

このように、コロナ禍で新しく「音声」という基軸ができた今、音声SNSは次のスタンダードになり得るのか。当記事では、音声のコミュニケーションが注目される背景と、企業のマーケティング手段として音声SNSを活用できる可能性について考察していく。

なぜ今、音声SNSが注目されるのか

①コロナ禍での新しい実験→雑談のソーシャルネットワーク化?

Clubhouseを筆頭に音声SNSがブーム化した大きな背景には、新型コロナウイルスの蔓延に伴う生活の変化があるといえる。テレワークの実施に伴い、ZoomやTeamsを使用したオンラインコミュニケーションに慣れていく一方で、今までオフィスや屋外で行っていた「立ち話」や「雑談」をする機会は消えてしまった。
インフォーマルではあるが、仕事や生活において重要なコミュニケーションであった「偶発的な会話」を、オンラインでも求める人が多かったことが、音声SNSが流行した理由のひとつではないか。

また、音声SNSでは映像やテキストといったコンテンツの準備が必要なく、自宅で「ながら会話」ができることも、参加のハードルを低めているだろう。家事や作業をしながら気軽に会話に参加したり雑談を聴いたりできるスタイルは、まるでオフィスや学校にいるかのような人との距離感を体感できるため、コロナ禍の生活において需要が高いのではないかと考えられる。
 

②「今しかない感」がClubHouseをバズらせた?プライバシーへの感度も重要化?

また、従来のSNSは発信したコンテンツが残り続けることが前提だった。しかし近年、新たなストーリー機能やFleetなどの時限的な発信機能が、SNS利用者の高い人気を呼んでいる。その背景には、GDPRの施行や個人情報保護の観点などからパーソナルな情報やプライバシーに対する感度が高まると同時に、インターネットの利用においても自分の情報を残したくはない=一時的に発信したい、というユーザーニーズが高まっていることが考えられる。

その点で、音声SNSの「ずっと残るわけではない」「今しか聴けない」といった特徴が、Clubhouseブームを加速させたのではないか。Clubhouseでは写真やテキストなど形あるコンテンツは一切必要なく、目に見えない音声のみを使用し、会話のログも残らない。スマホでアプリを開くだけで、さまざまな会話の中に自由に出入りし、その場でしか聞けない著名人の会話を聴いたり気の合う仲間と雑談を楽しむことができるのだ。

従来型のコンテンツを残す発信や一方向の発信ではなく、「リアルタイムのみ」で「インタラクティブ」に交流する音声SNSは、利用者の「今しか参加できない」というFOMO(fear of missing out:取り残される不安)を煽りながら、ニューノーマルのデジタル時代におけるコミュニケーション需要を上手く掬い取っているのではないだろうか。

マーケティング活動に音声SNSをどう使うか?

そんなClubhouseのブームから数ヶ月経った今、国内利用者の熱は当時より下火である。しかし、冒頭に挙げたように、大手SNS企業による投資を始め音声サービスが続々と立ち上がっている現状は見過ごせないだろう。プラットフォームが拡大すれば、企業のビジネス利用も広がっていく。そこで、企業は新しいマーケティング施策として音声SNSを活用できるのか、可能性を考えてみたい。
 

①ファンコミュニケーション、あるいは新しいコミュニティサイト?

音声SNSでは、利用者と気軽にコミュニケーションを行う機会をつくることができる。ファンが自発的に集まったコミュニティに企業が参加することや、または企業がコミュニティを主催することも可能だ。スマホと音声のみで参加できるコミュニティは、視聴者も参加のハードルが低く、雑談の雰囲気で企業とコミュニケーションをとることができる。

こういったコミュニティを活用すると、例えばグループインタビューといったマーケティング活動も可能になる。調査会社が主導する一般的なグループインタビューと比較すると、自発的に立ち上がった且つ参加ハードルの低いファンコミュニティでの会話では、よりユーザーの本音に近い話を聴くことができるだろう。
 

②デジタル時代の副音声として、セミオープンな情報発信しての場?

音声SNSの特性を活かし、企業のパーソナリティを見せる発信場所として活用し、聞き手との距離を近づけることも可能だ。実際にClubhouseでは、テレビ放送と同時に、番組制作者による「裏話を語る部屋」が立ち上がり、ユーザーとコミュニケーションをとりながら放送を楽しむ場が実現した例もある。

マーケティング活動においては、企業や事業に関するストーリーや”ここだけの話”を発信することで、ユーザーとの心理的距離を近づけることができる。また、企業ブランディングや採用活動に際しても、社員が集まり話す場を設け、本音を話しながら視聴者とコミュニケーションをとるなど、気軽に企業のパーソナリティを伝えることが可能だ。

以上の考察から、今後企業にとっての音声SNSは、さまざまなステークホルダーと「本質的なコミュニケーションを行う場」となり、従来のSNSよりも近い距離感で企業やサービスのファンをつくるための使い方が定着していくと考えられる。これからのマーケターにとっては、音声のプラットフォームが持つ特徴を捉え、既存のSNSやメディアと柔軟に使い分けながら、企業とユーザーの新しいコミュニケーションを考えていくことが重要になるだろう。

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