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レベル別ABM実践 #1|ABMのコンセプトを理解する

DMJ編集部

コロナ禍でBtoBのデジタルマーケティングが一層進む中、「ABM(アカウントベースドマーケティング)」への関心が高まっています。しかし、実際に自社ではABMを実現するべきか、ABMを謳うツールが多くある中で自社のビジネスモデルでは何を活用すると実現できるのかなど、実践を踏まえた戦略立てに悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで、本連載「レベル別ABM実践」では、ビジネスモデルと照らし合わせたABMの実践方法や、企業のテクノロジー導入レベルに応じたツールの選び方など、どう実行していくべきかを実際のツールを挙げながら解説します。

第一回では、ABMが解決する課題や、実践に必要となる「データマネジメント」という視点を考えます。

(スピーカー:アンダーワークス エグゼクティブディレクター 田口裕、編集:西塔穂波)

ABMの定義

ABM(= Account Based Marketing)は、昨今のデジタルマーケティング業界でも関心が高まっているテーマですが、実は最近になって新しく出てきた戦略というわけではありません。ABMのコンセプト自体は、2004年にアメリカを本拠地とするアドバイザリーファームのIT Services Marketing Association(ITSMA)が提唱しています。

ITSMAが提唱した定義では「ABMは、ターゲットを絞ったインサイト主導のマーケティングを営業と組み合わせることで、特定の新規・既存アカウントにおける認知の拡大、関係強化、成長促進を図る戦略的アプローチ」とされています。また、同社の調査では、マーケターの77%が、従来型のマーケティングと比較するとABMによってROI(投資利益率)が10%以上上昇したと回答しており、45%のマーケターはROIが2倍以上に上昇したと回答しています。

MAによるスコアベースのリード選定の課題

日本のデジタルマーケティングの現場では、2000年代に企業によるWebサイトの整備が進むとともに、Googleが検索エンジンのスタンダードとなり、初期のSEOやデジタル広告施策が普及しました。2010年代に入ると、E-mailによる複合的なキャンペーンを可能にするMA(マーケティングオートメーション)の導入が進み、Webサイトやニュースレターのコンテンツに対する顧客(ユーザー)の行動をスコアリングして、スコアが高い人をホットリードと仮定してマーケティングを行う手法が定着しました。

MAによるスコアベースのリード選定

一方で、このアプローチはE-mailをキーにして「属性情報」や「行動情報」をスコア化するため、スコアは個人単位(ユーザー単位)となり、「企業データ」や「営業ターゲット」とは連携できません。そのため、企業単位のターゲティングを行うB2Bの営業では、提供されるリードのステータスにギャップが起きやすくなり、このギャップが営業チームによるマーケティングリードの受け入れ拒否や放置に繋がるケースもありました。

個人単位のデータと企業単位のデータ収集について

「個人(ユーザー)」ではなく「企業(アカウント)」を起点に

そこで、ABMでは、ターゲットとなる「企業(アカウント)」を明確に定義することが全てのアクションのスタートになります。優先ターゲットにのみ焦点を絞り、マーケティングチームと営業チームが密接に顧客データや分析示唆、キャンペーン等を連携しつつ、徹底的な顧客理解に基づくパーソナライズされた体験を提供することで、自社の売上においてインパクトの大きい企業(アカウント)を攻略していくのです。

つまり、前述のMAのような個人単位のスコアベースの施策を補完し、顧客データを企業軸で紐付け、データに基づき様々な施策を一貫性を持って実施することで商談創出を目指すのが「ABM」というコンセプトであり、B2Bのデジタルマーケティング業界で期待が高まっているのです。
 

ABMは企業軸でデータを紐づける

また、ABMの実行とは、すなわち複合的なデジタルマーケティングの実践に他なりません。何か一つの手段に偏ることなく、下図のようなABMの必須アクションに総合的に取り組むことが重要になります。
 

ABMの必須アクション

ABM施策を支えるのは高度なデータマネジメント

ABMへの取り組みを考える際に、欠かせないもう一つの視点が「データ」です。ABMという戦略は、その性質上、非常に高度なデータの取り扱いを必要とするため、導入の過程で、データ集約、クレンジング、統合、編集、システム間のデータ連携などといった、データマネジメントを可能にするプラットフォーム構築に合わせて取り組むことが重要です。

一方で、データマネジメントは日本企業の大きな課題であることが調査からも判明しており、今後、日本でABMが普及するかどうかはデータマネジメントの課題解決が大きく影響していくでしょう。
 

マーケティングデータマネジメント取り組み実態調査2021年版
マーケティングデータマネジメント取り組み実態調査2021年版(アンダーワークス)より

まとめ

日本のB2Bマーケティングや営業の現場では、インターネット登場以降も依然として対面のコミュニケーションが主体でした。ところが、2019年から始まったコロナ禍に端を発する対面コミュニケーションの制限に伴い、ビジネスにおいても強制的なデジタルシフトが発生しました。

2020年から2021年にかけて、ABMという古くも新しい戦略への認知・理解や取り組みが進み始めることで、日本企業の多くが課題に感じている「データマネジメントの高度化」にも取り組むことになったのではないかと考えます。

 
第2回では、ABM実践のポイントとして、ABMのコンセプトに向いている業界やターゲティングの考え方、顧客データ統合について解説します。

解説者

アンダーワークス株式会社の田口

アンダーワークス株式会社
エグゼクティブディレクター 田口 裕(Yutaka Taguchi)

 
日系産業機器メーカーの駐在員としてアメリカで勤務後、ベンチャー企業にて、海外事業パートナー開拓、市場調査、現地法人の設立や新規事業企画・開発に従事。海外在住経験や海外の事業パートナーとのビジネスを通じて培ったグローバルビジネスや異文化コミュニケーションへの深い理解を活かし、グローバルエンタープライズのデジタルガバナンス戦略策定・実装、大規模Webサイト開発、コンテンツ運用基盤(CMS)導入、顧客データマネジメント戦略、国内外のプライバシー保護規制対策プロジェクトの支援を得意とする。

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