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  • デジタル人材が求められる今、データ活用の実現に役立った3つのこと

 
2022年2月14〜16日に「デジタルマーケティングカンファレンス」(宣伝会議主催)が開催されました。本記事では、アンダーワークスのエグゼクティブディレクター高橋諭が登壇した『デジタル人材が求められる今、データ活用の実現に役立った3つのこと』の内容を紹介します。

企業で高まる「デジタル人材」への需要

アンダーワークス株式会社は、大手企業の顧客データ管理の取り組み実態や、顧客データ活用の動向に関する調査をまとめた「マーケティングデータ活用実態調査 2022年版」を2月に発表しました。

この調査で浮き彫りになったのは、データ活用に関わる専門知識や人材の不足といった課題です。データ活用において企業が抱える課題のトップとして、デジタル人材へのニーズが顕在化する結果となりました。

デジタル人材とは?

そもそも、デジタル人材とは何なのでしょうか。文脈によってさまざまな定義がありますが、アンダーワークスは「先進的なテクノロジーや新たな顧客接点、多くのデータを活用し、大幅な利益向上、コスト削減、新たな収益機会の実現に取り組むことができる人材」を「デジタル人材」と定義しています。

デジタル人材はテクノロジーに対する知見が深いだけでなく、マーケティングの視点を持つことも重要なポイントです。「新たな顧客接点」を生み出す視点や、「データを事業に活かす」視点も大切です。そして、それらを実践し、推進する実行力が求められます。デジタル人材については、下記記事でも解説しています。
デジタル人材育成に欠ける「実践」、経営幹部や環境面の打ち手を

では、外部パートナーやベンダーに頼らず社内でデータを活用するために、デジタル人材を自身が目指す、あるいは育てるのであれば、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか。デジタル人材に焦点をあて、データ活用実現に役立ったポイントを解説します。

ポイント1:顧客への意識

顧客理解を深め、還元する意識を持つ

まず、「顧客への意識」を持ちましょう。マーケティング全般に言えることですが、データは顧客に基づくという正しい認識がないと、市場での優位性を生み出すことはできません。例えば、個人情報を取り扱うことは”お客さまからデータをいただいている”と捉えられます。データをくださったお客さまに向き合い、サービスによって還元していく意識が大切です。顧客を前提とした視点がないと、本質的な目標が定まらず、手段ばかりに目がいってしまうでしょう。

以前、弊社のクライアントである大手企業二社に取材をさせていただいたところ、両社とも顧客への意識が極めて高いことがわかりました。そして、顧客への意識の有無によって、デジタルマーケティングの支援を行った際の実行のスピード感や成果の出方が如実に変わることを実感しました。顧客理解とサービスによる還元の意識を高め、そのためにデータを活用していくことが大切と言えます。
 

探究心を持ち「なぜ?どうして?」を突き詰める

また、データから何が起こったかを把握することはできますが、お客さまがなぜそのような行動を取ったかという理由までは読み取ることができません。データだけではわからない事象の原因について突き詰めていくプロセスが生じるため、お客さまのことを本質的に理解するためには、飽くなき探究心が求められます。

ポイント2:テクニカルスキル

次に「テクニカルスキル」について説明します。デジタル人材にとって、テクニカルスキルは重要な素養です。ある程度スキルがあったほうが、データに関する事象や業務を正しく判断することができます。

外部の支援企業やベンダーが、必ずしもすべての事柄を理解しているとは限りません。ときには先方の理解が間違っている場合もあります。テクニカルスキルがないことで他者の意見を鵜呑みにしてしまい最終的に課題解決が進まないのは、機会損失の要因の一つです。

こうした事態を避けるために、具体的にどのようなスキルが必要なのか、データ活用領域に絞って説明します。データ活用において必要なスキルは、「データを加工するスキル」と「データを可視化するスキル」に二分されます。これをさらに詳解したものが、以下のスライドになります。
 

テクニカルスキルの二分化

 
デジタル人材を目指す多くの方が、業務でExcelを使用しています。なのでまずは「Excelが使える」を段階に分けると、グラフ作成ができる、関数が活用できるというステップが見えてきます。これらのスキルを上達させておいて損はありません。なぜなら、次のステップである「BIツールでグラフが作れる」スキルにつながるためです。

慣れないうちは難しく感じるかもしれませんが、BIツールのスキルはExcelスキルの延長線上にあることが段々とわかってくるはずです。BIツールでデータを可視化できることを目標に、まずはExcelから挑戦し、ステップアップしていきましょう。

次に、スライドの左上にあたる「SQLでデータ加工できる」や「ETLツールでデータ加工できる」部分は、少しハードルが高くなります。しかし、実際にデータの可視化や分析に携わる場合、これらのツールを使ってデータ加工できるのが理想です。

さらにその上にある「Pythonが使える」スキルまで到達できれば、企業のデジタル人材として確実にレベルアップできます。Pythonに関しては、上級テクニックに挑戦せずとも、基礎レベルに対応できれば十分です。
 

ほとんどの疑問は、検索すれば解決策が見つかる

テクニカルスキルに関する疑問は、検索すればほとんど解決します。つまり、技術力は検索スキルと結びついています。もちろん、検索したことを実行して初めてテクニカルスキルは身につくので、調べるだけでは不十分です。しかし、検索スキルが足りなければ、そもそも実行にも辿りつけません。エンジニアさんをはじめ、さまざまな方がテクニックを公開してくれているので、困ったらGoogleなどの検索エンジンで検索してみましょう。

検索スキルの具体的なポイントは、以下になります。

・極力具体的なキーワードで探す
・探したいものが出てこなかったら類義語で探す
・完全一致検索などの機能を使う
・サジェスト機能に委ねる
・日本語で出てこなかったら英語で探す
・エラーはそのまま探す
・検索上位が求めている情報とは限らないので、いくつも記事を読む

ここまできたら、あとは実際に触るだけです。「Google Analytics」をはじめ、「Googleデータポータル」や「Google BigQuery」など、無料で使用できるツールは数多くあります。これらを活用すれば、コストを抑えながらも実際にツールを触り、テクニカルスキルを高めていくことができるでしょう。
 

テクノロジー好きやツール好きを否定しない環境を

テクノロジーやツールを学びはじめると、学び自体の面白さにハマってしまう人もいます。少し本題からはそれますが、そういったテクノロジーにハマるタイプの社員がいた場合、決してハマることを否定しないようにしましょう。学習意欲をもってツールに向き合える人は、類似のテクノロジーへの応用力も高まるので、企業にとって貴重な人材になる可能性が高いです。個人の意欲を否定せず、むしろ彼らが活躍できる土壌を育んだほうが企業にとってもプラスになるのではないでしょうか。

ポイント3:トライ&エラーの意識とそれができる環境づくり

最後に、「トライ&エラーの意識」の重要性について解説します。冒頭のデジタル人材の定義においては、実践する力が必要であると言いました。学びを実践につなげるためにも、積極的に新しい領域にチャレンジできる人材や、その人材が活躍できる環境は欠かせません。

管理職の方は、マーケティング担当者が新しいことに取り組む姿勢を評価しましょう。また、自身がデジタル領域と相性が悪い場合は、潔く他の担当者に一任する判断力も必要です。苦手分野について無理に理解を深めようとするあまり、組織の成長速度に遅れが出ては元も子もありません。

また、現場のマーケティング担当者は、新しい分野にチャレンジするとき、自らが先駆者になるつもりで挑戦しましょう。リーダーシップを掲げる一方で、成功事例を作らなければ先に進めないことも多いはずです。その高い壁を乗り越えていくために、まずはスモールスタートで成功事例を作り、社内にアピールしていくことが大切です。
 

管理職と担当者が意識すべき「トライ&エラー」

 
他にも、チャレンジする時間を意識的に作るマインドも重要です。目の前の業務に追われていると、新しいことにチャレンジする時間を捻出するのは難しくなるものです。日々多忙でも挑戦し続けるために、まずは興味のある領域で挑戦し始めることをお勧めします。仮にその領域がビジネスや事業に直接関係がなくても、デジタル人材として成長する機会と捉え、トライする姿勢が大切です。そして、組織はそのトライを受け入れる体制を整えましょう。

実践が何よりも大切――デジタル人材への一歩を踏み出そう

「顧客への意識」、「テクニカルスキル」、「トライ&エラーの意識とそれができる環境づくり」。3つのポイントすべてに共通するのは「まずはやってみる」ことです。どんなに学びを得ても、実践なくして成長はありません。デジタル人材の育成とデータ活用の実現に向けて、今回詳解した3つのポイントを意識しつつ、成果にコミットするデータ活用を目指していきましょう。
 

解説者

アンダーワークス株式会社
エグゼクティブディレクター 高橋 諭(Satoru Takahashi)

大手印刷会社にて大手企業のデジタル領域におけるコミュニケーションプランニングやマーケティング戦略立案、Webサイト構築等に従事。2014年、アンダーワークスに参画。デジタルマーケティングの戦略立案やテクノロジー活用プロジェクト等に携わる。データ統合・活用のプロジェクト支援を得意とする。
■マーケティングテクノロジスト
保有資格:Eloqua, Salesforce Marketing Cloud, Tealium, Tableau, GAIQ Domo等

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