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顧客獲得や顧客育成の手段として、今多くの企業が力を注ぐコンテンツマーケティング 。多様なSNSやツールにより、コンテンツを制作し届ける手段は増えていますが、意外な形で失敗するケースも。具体例を挙げながら、コンテンツマーケティング成功に向けて意識したいポイントを解説します。

コンテンツマーケティングの成熟期を迎えて

2000年代初期のインターネットサービス誕生から2010年前後のSNS流行の流れと共に、デジタル領域におけるコンテンツマーケティングの手法は多様化し、成長してきました。顧客接点を作ることに最適化された法人向けのSNSソリューションや、コンテンツ発信を支援するツールも充実し、近年はコンテンツを作り届けるハードルも低くなっているのではないでしょうか。
 
一方で、「コンテンツを作り、届ける」ことが容易になったからこそ、新たに生じる課題もあります。昨今のコンテンツマーケティングの失敗例を見ると、その多くは、コンテンツを作り届けること自体には成功しているものの、企業の期待した「結果」がついてこなかったと言えます。なぜそのようなことが起こるのか、事例を踏まえて考察してみます。

コンテンツマーケティングの失敗例

まずは、昨今の”コンテンツマーケティングの課題”を象徴する事例を3つ紹介します。
 

1. 看板コンテンツが足かせに

本来の目的とは”ずれている”コンテンツの定着は、費用対効果の面から考えると、むしろマイナスの影響を及ぼすことがあります。
 
女性向けファッションメディアで、見込みユーザー(読者)を獲得するために「占い」や「ゴシップ」といったサブコンテンツを作るとしましょう。この場合、サブコンテンツのエンゲージメントが高まると施策は「成功」したように見えますが、ユーザーが本来の主コンテンツを回遊しない状態に陥ると、マーケティングとしては「失敗」です。
 
実際、あるメディアでは、サブコンテンツのファン獲得が主コンテンツを上回るほど成功したがゆえに、公式のSNSアカウントにおいてもサブコンテンツ目当ての登録者数が増加しました。配信メッセージ数に比例して配信費用は増加する一方で、主コンテンツへの回遊率は伸び悩むばかり。サブコンテンツの認知が広がるほど、費用対効果が低くなるという矛盾が生まれてしまったのです。
 
この例を鑑みると、SNS時代のコンテンツマーケティングとは、容易に顧客接点を作りやすいからこそ「木を見て森を見ず」の状態に陥りやすいと言えます。成功を目指すのであれば、集客を目的とした各コンテンツであっても最終的なゴールを見誤らないこと、費用対効果を踏まえた持続可能な発信手段を見極めることが大切になります。
  

2. コンテンツ数に比例する管理コスト

これまで、コンテンツの数を増やすことを優先してきたメディアにおいては、「質」が保たれていないものが未だに残存していることがあります。こういったコンテンツの管理コストは意外と大きく、留意が必要です。
 
あるビジネスメディアでは、リーチ数を伸ばすために意図的に偏った結論を出す記事を制作していた時期がありました。しかし、期待していたほどリーチは伸びず、ほどなくしてSEO観点でもコンテンツの評価が下がったそうです。その後も数を重視して新規の記事制作にリソースを割き、当該記事はリライト対象になることもなく公開され続けました。
 
しかし、あるとき時事ネタがきっかけで、その記事で扱っていたテーマがトレンドに。数年の時を経て、思わぬところで検索ニーズと記事がマッチしたのです。その結果、意図的に制作した記事が現在のメディアの見解であるかのようにSNSでシェアされ、いわゆる炎上騒ぎとなってしまいました。意図せぬ形でコンテンツが”活きて”しまったわけです。
 
コンテンツは中長期的な価値をもたらす反面、公開された状態でストックしておくことのリスクも抱えています。コンテンツ数のみを重視すると、各コンテンツに対する“守り”がおろそかになる側面もあります。昨今は「量より質」の考え方が浸透しつつありますが、過去のコンテンツにもその意識を反映する必要があるでしょう。
 

3. 「人」とコンテンツのバランス

コンテンツ力を上げるため、コンテンツに登場させる「人」の魅力を活用することは多くあります。しかし、場合によってはその手段が裏目に出てしまうことがあります。
 
ある企業において、コンテンツマーケティングの戦略の一貫として、マーケティング担当者であった特定の社員を表に出し、その社員が語る体裁のコンテンツを発信していました。継続的な発信により、期待したエンゲージメントを獲得することはできましたが、企業やサービスではなく、その社員に対してファンが集う結果に。数年後、その社員の転職を機に、コンテンツの影響力は激減したとのこと。
 
インフルエンサーマーケティングとは異なる切り口でも、結果として人起点でコンテンツが定着することはあります。どのような手段を取ったとしても、あくまで企業やサービスに紐づくコンテンツ起点でのユーザー獲得を目指すことは、念頭に置かなければなりません。

事例から学ぶコンテンツマーケティングの見直しポイント

このように「コンテンツを届けなければ」という思いが先行したばかりに、意外な落とし穴にはまってしまうケースは少なくありません。これらの失敗例を鑑み、マーケターが整理すべきポイントを3つにまとめてみました。
 

1. なぜそのコンテンツを発信するのか
2. 戦略の持続性は担保されているか
3. KPIの設定は適切か

 
コンテンツマーケティングの成功において、リーチ数の担保は不可欠です。しかし、持続的な運用やリスク管理から目を背けると、リーチすること自体が裏目に出ることもあるのです。そういった観点も踏まえてKPIを見直すことで、おのずと戦略の改善点が浮かび上がってくるのではないでしょうか。

攻守両面でサステナブルなコンテンツづくりを目指そう

コンテンツマーケティングでは、短期的に成功していた戦略が中長期的な運用を経て失敗に結びつくことがあります。「持続可能性」をひとつの軸として、攻守両面を意識した基盤を整え、コンテンツを生み出していくことが重要と考えます。

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