こんにちは!アンダーワークス・パリ支社のMichelleです。今回、毎年アメリカで開催される世界最大のB2Bマーケティングイベント「B2B Marketing Exchange 2022」に参加してきました。B2BMXは、2011年からABMのエキスパートが集い議論するコミュニティの役割も担っており、名実をともにしたABM専門イベントでもあります。コロナ禍以前は全米や海外から多くの人が集まるオフラインイベントでしたが、今年は完全オンライン実施となり、1500人以上のABMマーケターたちが全国各地から参加しました。

2022年はコロナ以降のABMがテーマに

2022年のB2BMXテーマは、コロナ禍により展示会や接待等の営業活動が出来なくなったB2B企業が、どのようにABM戦略・施策を介してセールスパイプラインを作り、売上を作ってきたのか。これを元に、様々な事例を交えた50以上のセッションが行われました。

B2Bマーケターなら、誰しも一度は聞いたことがある「ABM(Account Based Marketing)」。米国ではほとんどのB2Bマーケターが一度は挑戦している最もホットなトピックですが、セッションを聞くと、各プロフェッショナルも試行錯誤を重ねているようでした。本記事では、50以上のセッションから学んだ、ABM施策成功のポイントをお伝えします!

1. ABMのエキスパートを筆頭に社内チームを作る

ABMはお金がかかる上、ROIがでるまでの時間が長いので、実行にあたっては企業全体を説得できるかどうかがとても重要です。成功に至った企業では、「ABMチャンピオン/ロックスター」と呼ばれるようなABMエキスパートを必須としており、ABMの経験が豊富な人材を直接雇う、もしくはコンサルタントと契約しているようです。
  
他にも、CoE(センターオブエクセレンス:Center of Excellence)形成の重要性ついても指摘がありました。CoEとは、組織横断的に取り組みの中心となる部署や拠点をいいます。ABMプログラムの進め方などを、CoEを通じて部署や事業部門を横断して共有、実践することで、企業全体のABMの成功率を高めることが重要になります。

2. 自社にとってABM とは何かを定義する

ABMプログラムが失敗に終わる主な原因として、「曖昧な施策設計とその結果に対する内部からの不満」が挙げられていました。スピーカーの一人・Jenifer Walsh氏(GE Digital社 マーケティング本部長)は、「ABMはAccount Based Marketing の略だとわかっている人がいても、大まかな定義ばかりに終始し、明確なビジョンのないままに進むのが最も危険だと気が付いた」と語っています。
 
Walsh氏だけでなく、多くのスピーカーが、どこまでのアクティビティが自社のABMプログラムに含まれていて、ABMとは自社にとって何を意味し、何をゴールとして実行するのかを、最初に定義することを勧めていました。この定義を他の部門と共有することで、自社のABMプログラムに対する満足感に繋げることができるのです。

3. 営業チームと一体となる

また、多くのスピーカーが「営業チームと連携するだけは足りない」と指摘していました。ABMチームが作るABMプログラムを使うことで、営業チームがどのような恩恵を受けるのかという説明を行い、具体的な想定ROIを持つことにより、一緒にアカウントをとりにいこうという共通認識を持つことができます。

4. 様々なデータをベースにABM戦略を立てる

オーディエンスのニーズに合ったコンテンツを作り、3つ以上のデジタルチャンネルを使ってターゲットアカウントにリーチすることで、エンゲージメントの上昇率は251%、またクリックスルー率は700%上昇するという調査結果があります。
 
このような結果を出すためには、ターゲットアカウントに対して最適なコンテンツを届けるコンテンツ戦略を持つことが大事です。つまり、各Tier(企業規模等)に合わせたパーソナライゼーションの実現です。インテントデータだけはなく様々なデータを使用することで、ターゲットアカウントがどのデジタルチャネルにいて、どのようなコンテンツを必要としているのかを詳しく分析、理解することができます。

5. まずは実行、実践

最後にスピーカーが声を合わせて提起していたのは、「完璧を目指すことはABMの成功を防ぐ最も危険なことだ」ということです。完璧なコンテンツ、完璧な戦略を目指すばかりにアカウントリーチのタイミングを逃してしまうと、せっかく時間をかけたコンテンツも意味を失ってしまいます。戦略自体が合っているのかも分からない状態ならば、まずは小さい規模でスタートしましょう。そして、素早く改善していくことが成功の鍵です。
 

まとめ

コロナ禍以降、B2Bのマーケティングや営業活動もオンラインに以降し、ABM戦略への注目は一層高まっています。今回、ABM専門イベントとしても名高いB2B Marketing Exchangeに参加し、各セッションの総括を上述しました。これを踏まえ、実際に企業でABM戦略を立て、実行するにはどうしたら良いのかについては、「ABM連載」シリーズに詳しく書いてあります。ぜひご覧ください。
 
アンダーワークスでは、上述したような”ABMエキスパート”による戦略支援も行っておりますので、ご興味の方はお気軽にご連絡ください!

関連記事

デジタルマーケティングジャーナル 一覧