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  • Lv.3インテントデータで企業の購買意欲を把握する | レベル別ABM実践#6

 
BtoBのデジタルマーケティング業界で期待が高まっている「ABM(アカウントベースドマーケティング)」の実践を考える本連載。前回の記事では、レベル2(中級)のABM施策として、自社のビジネスにおいて優先度が高いターゲットアカウント(企業)に属するユーザーにWebサイトを訪問してもらうために、アカウントを絞って広告を出稿できるABM広告サービスについて解説しました。
今回は、重要アカウントの購買意志(インテント)を把握するために役立つインテントデータの活用について解説します。

(スピーカー:アンダーワークス エグゼクティブディレクター 田口裕、編集:西塔穂波)

デジタルマーケティング取り組み成熟度のおさらい

顧客データマネジメントの成熟度を軸にすると、以下のようなデジタルマーケティングの取り組み成熟度のレベル設定が可能になります。
 
・レベル1(初級):A1〜A2
初歩的な自社のリード管理状況、フォロー状況の評価ができている
 
・レベル2(中級):A3〜B2
Web経由で集まったマーケティングリードに対してフォローをかけ、セグメントやスコアで振り分けるところまで達成できている
 
・レベル3(上級):B3〜C2
既にレベル1〜2のABM施策を運用しており、ABM戦略に基づきマーケティングと営業の連携が進み始めている
 
・レベル4(エキスパート):C3
ファーストパーティーデータ、サードパーティーデータ、社内のその他データの統合管理が実現している
 

デジタルマーケティング取り組み成熟度

レベル3のABM 実践

レベル1〜2のABM施策を運用し、ABM戦略に基づきマーケティングと営業が連携し始めている場合

ABM戦略に基づくオペレーションは、Webを通じて集めたマーケティングリードに対してフォローをかけ、MAのようなリード情報管理プラットフォームでセグメントやスコアで振り分け、営業チームに引き渡す流れになります。マーケティング部門と営業部門は、優先すべきアカウントを議論し、ターゲティングの優先度の定義を行い、アカウント(企業)軸の評価を行います。これにより、Web上のユーザー行動の評価に加え、企業としての購買意志(インテント)の把握と評価の精度が高いリード引き渡しが可能になります。
  

自社Webサイト内外のユーザー行動の把握

自社Webサイトを訪問するユーザー行動の分析では、企業の購買活動のほんの一端を見ているに過ぎません。現代では、多くのユーザーが製品・サービス購入前に複数のチャネルを利用してリサーチ、比較、評価を行うため、自社Webサイト外のユーザー行動も合わせて把握することで、ターゲットとするアカウント(企業)のフォロー精度を高めることが可能になります。
 

ABM施策で利用したいデータ

オフラインの営業活動や、過去の取り引きから蓄積されている顧客データに加えて、自社Webサイトにおけるユーザーのコンテンツ閲覧、資料のダウンロード、問い合わせ履歴などの情報は、企業が持つ1st Party Data(ファーストパーティデータ)になります。ファーストパーティーデータに加えて、ベンダーが提供する外部データ、いわゆる3rd Party Data(サードパーティーデータ)も活用することが、ABM施策実行の現場で増えています。
 

 


インテントデータとは

サードパーティーデータの中でも、特に「インテントデータ」と呼ばれるデータは、外部サイトにおけるユーザー行動から、アカウント(企業)がどのようなトピックに興味・関心を持っているのか示唆を与えてくれます。これを活用することで、チャネルを跨いで接点を持つ顧客に対して、データを活用した顧客体験を提供しWeb上のコンバージョンを向上させることも可能になります。また、アカウント単位の興味・関心を把握することで、営業でフォローするターゲットの特定や、ホットリード検知の精度が大きく向上します。
 

主なサードパーティーデータ(3rd Party Data)

ABM施策に役立つサードパーティデータ(3rd Party Data)は、国内外で多くのベンダーによって提供されています。今回は、アカウント(企業)軸での傾向把握に役立つものを例として取り上げます。
  
FOCAS
150万社以上の企業データ、560もの業界区分を持つ独自の企業情報データベースを持つ。シナリオによるターゲティングに加えて、企業リストのアップロードによるターゲティングの重要度判定、潜在顧客の発掘も可能。主要なMA、CRM製品とのAPI連携も提供。

 
Intimate Merger Select DMP
ニーズ検知可能な企業社数は約28万社、ニーズとして検知可能なキーワードは20億キーワード以上あり、様々な企業のニーズをリアルタイムに検知し、企業リストを抽出。
 

 

BOMBORA
5,000以上のB2Bサイトからインテントデータを直接収集。月間平均160億を超えるコンテンツ消費イベント情報を持つ。2018年にはMarketoと提携。
 

 

Demandbase Account Intelligence
32万以上のインテントキーワード、5,500万以上の企業情報、37億以上のIPアドレス情報に基づき、様々なデータソースを統合してターゲットとすべきアカウントのインサイトを提供。
 

 

まとめ

ターゲットアカウントの購買タイミングを把握し、適切なタイミングで営業フォローを実施するためには、自社のファーストパーティーデータに加えて、「顧客の興味・関心事項を特定するデータ」であるサードパーティーの「インテントデータ」も活用し、ターゲットアカウントのユーザーに対してより精度が高いパーソナライズされた顧客体験を提供することや、アプローチの優先順位の判定を行うことを推奨します。
  

解説者


田口 裕
マネージングディレクター / Managing Director
 
日系産業機器メーカーの駐在員としてアメリカで勤務後、ベンチャー企業にて、海外事業パートナー開拓、市場調査、現地法人の設立や新規事業企画・開発に従事。海外在住経験や海外の事業パートナーとのビジネスを通じて培ったグローバルビジネスや異文化コミュニケーションへの深い理解を活かし、グローバルエンタープライズのデジタルガバナンス戦略策定・実装、大規模Webサイト開発、コンテンツ運用基盤(CMS)導入、顧客データマネジメント戦略、国内外のプライバシー保護規制対策プロジェクトの支援を得意とする。

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