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データ統合は、企業が持つ膨大なデータを効果的に活用するための重要なプロセスです。さまざまな部門やシステムに分散したデータを一元化することで、データ分析の精度と効率が大幅に向上します。本記事では、データ統合の基本からその必要性、成功させるためのポイント、そして実際に使われるツールについて詳しく解説します。

データ統合とは

データ統合とは、さまざまな形式のデータを整え、ひとつにまとめることを指します。これは、データマネジメントの一環として、企業内のシステムやデータベースに分散しているデータを統合し、データの活用をしやすくするために行われます。たとえば、顧客データと売上データを統合することで、顧客ごとの購買行動を把握できるようになります。
 
しかし、統合されたデータには顧客の個人情報など、センシティブな情報が含まれる可能性があります。そのため、データ統合を行う際には、個人情報保護法などの法的規制に対応することが重要です。また、暗号化などのセキュリティ対策を施し、不正アクセスや情報流出を防ぐ必要があります。

データ統合が必要とされる理由

データマネジメントにおいて、データ統合は欠かせないプロセスです。分散していたデータが統合されることで、データ分析をより深く効率的に行えるようになり、多くのメリットが生まれます。ここでは、データ統合が必要とされる理由を詳しく見ていきましょう。
 

データ分析がより深く行える

データ統合によってデータをひとつにまとめることで、データ分析をより深く行えるようになります。これにより、他の部門が持つデータと統合され、新たな視点や洞察が生まれる可能性があります。
 
たとえば、営業部門の顧客データとマーケティング部門のキャンペーン成果データを統合すると、どの顧客層にキャンペーンが効果的だったかがわかります。これにより、将来の施策をより効果的に立案するための貴重な情報が得られます。統合されるデータの種類が増えるほど、データ分析の深度が増し、新たな知見が得られる可能性が高まります。
 

効率的にデータ分析を行う

データ統合をせずにデータ分析を行う場合、まず必要なデータを探し出す作業から始めなければなりません。たとえば、営業部門の顧客データを抽出し、マーケティング部門からキャンペーン情報を取り出し、それらを手作業で照合して確認する必要があります。これは非常に手間がかかる作業です。
 
しかし、データ統合を行えば、このような作業の工数を大幅に削減できます。必要なデータはすでにまとめられているため、データを呼び出して組み合わせるだけで、すぐに分析に取りかかることができます。
 
また、データ統合の過程で、重複するデータの排除や表記ゆれの解消なども行われます。これにより、データの品質が向上し、分析の精度も高まります。さらに、統合されたデータは社内のさまざまな部門で共有・活用できるため、組織全体の効率向上にも貢献します。
 

情報の漏洩を防ぐ

情報が漏洩すると、企業の信頼が失われ、大きなダメージを受けます。特に、個人情報などの機密データを各部門が個別に管理している場合、そのリスクはさらに高まります。セキュリティ意識の低い部門があると、そこから情報が漏洩する可能性があるためです。
 
しかし、データ統合を行いデータを一元管理することで、部門ごとのデータ管理によるリスクを軽減できます。また、暗号化や匿名化といったセキュリティ対策も、統合されたデータに対して一括で適用できるようになります。これにより、個人情報保護法などの法規制への対応もより確実に行えるようになります。

さらに、統合されたデータは利用状況の追跡が容易になるというメリットもあります。誰が、いつ、どのデータにアクセスしたのかを記録することで、不正利用の早期発見と抑止が可能になります。これにより、企業全体のセキュリティが向上し、信頼性の高いデータ管理が実現します。

データ統合の落とし穴と成功させるポイント

データ統合は、ビジネスにおけるデータ活用の基盤となる重要なプロセスですが、いくつかの落とし穴があります。

まず、データ収集そのものに没頭してしまうケースです。できるだけ多くのデータを集めようとするあまり、収集作業に過度な労力を費やしてしまうことがあります。どのデータを集めるかを明確に決めていないと、終わりのないデータ収集が続くことになるでしょう。

また、データ統合を進めるほど運用が複雑になる点も問題です。データ統合の手順やルールが複雑化すると、現場の負担が増え、結果的に業務の効率を下げてしまうことがあります。さらに、データ統合後の活用方法が明確でないケースも見受けられます。データを集めて統合したものの、どのように活用するかが決まっていなければ、データが蓄積されるばかりで有効に活用されません。

このような状況に陥らないためには、データ統合の目的を明確にすることが重要です。「何のために、どんなデータが必要なのか」を整理し、優先順位をつけて進めていくことが大切です。具体的な目的と活用方法を事前に決めておくことで、データ統合がより効果的に行えるようになります。

データ統合の具体的なフロー

データ統合を行うにあたって、どのように進めていくのか、そのフローを見ていきましょう。先ほど解説したように、データ統合には落とし穴があります。そういった事態を避けるためにも、丁寧に進めていく必要があります。
  

1.データ統合の目的を設定する

データ統合を行うには、明確な目的の設定が大切です。そのため、「なぜデータ統合が必要なのか」「統合したデータをどう活用するのか」を具体的に定義します。たとえば、「顧客の全体像を把握し、マーケティング施策の最適化につなげる」「部門間のデータ連携を促進し、業務の効率化を図る」といった目的が考えられます。
 
最初に設定した目的は、そのあとのプロセスの指針となります。この目的があることで、以降のステップで何を優先すべきか、どこに注力すべきかが明確になります。
 

2.統合するデータを決める

目的達成に必要なデータを決めるためには、まず社内にどのようなデータが存在するのかを調査し、把握することが重要です。顧客データ、売上データ、在庫データなど、目的達成に必要なデータを洗い出し、それらを統合するためのデータを決定します。
 
この際、どの時点のデータを使用するのか、どれだけ詳細なデータが必要なのかなどを目的に照らし合わせて最適なものを選定します。また、統合に使用するデータの信頼性も非常に重要です。信頼できるデータソースから、できるだけ欠損の少ないデータを集めるようにしましょう。
 

3.データクレンジングを行う

集めたデータの多くは、そのままだと使用できません。形式が異なっていたり、重複や欠損があったりするため、データクレンジングという作業が必要になります。
 
データクレンジングとは、データの形式を統一したり、重複データを削除したり、欠損している値を補完したりする作業のことです。その際、顧客名や住所などの表記ゆれを解消するなど、データの正規化も行います。これにより、データの一貫性と正確性が確保されます。
 

4.データの変換・加工を行う

クレンジングしたデータを、分析しやすい形に変換・加工します。たとえば、データごとに異なる文字コードを統一し、月別・日別のデータを分けるなど、正確なデータ分析を行うために欠かせないプロセスです。

具体的には、異なるソースから得た顧客データを共通のIDで紐づけるなど、扱いやすいように変換・加工を行うことで顧客ごとの行動・購買履歴を追跡しやすくなります。
 

5.統合したデータを蓄積する

統合・加工したデータは、一元的に蓄積します。このときに活用されるのが、データウェアハウスやデータレイクといったシステムです。
 
ここで重要なのは、データの鮮度を維持することです。定期的にデータを更新し、常に最新の状態を保つようにしましょう。また、蓄積したデータは、必要に応じてさまざまな角度から分析できるよう、柔軟な構造にしておくことが大切です。これにより、データの再利用や異なる視点からの分析が容易になります。

さらに、情報の暗号化やアクセス制御など、セキュリティにも細心の注意を払う必要があります。これにより、データの不正アクセスや情報漏洩を防ぎ、データの安全性を確保します。

データ統合に使われるツール

データ統合を効率的に進めるために、さまざまなツールが活用されています。ここでは、代表的なツールであるETL、CDP、ELTについて解説します。
 

ETL

ETLとは、Extract(抽出)、Transform(変換)、Load(格納)の頭文字を取ったもので、データ統合の基本的なプロセスをあらわしています。さまざまなソースからデータを抽出し、分析に適した形に変換し、データウェアハウスなどに格納します。ETLツールは一連のプロセスを自動化・効率化するためのツールで、プログラミングスキルがなくても実行できるものが一般的です。
 
ETLツールを活用することで、手作業だと数週間かかるような処理も、日で完了させられるでしょう。データ統合における作業時間の大幅な短縮に、ETLツールは欠かせません。また、ETLツールには、データの品質チェック機能も搭載されていることが多いです。入力データの整合性を自動的に検証し、エラーを検出してくれるため、データの信頼性向上にも役立ちます。
 

あわせて読みたい! 【ETL完全ガイド】基本的な機能や選定のポイントについて解説

CDP

CDPはCustomer Data Platform(カスタマーデータプラットフォーム)の略称です。さまざまなチャネルから収集した顧客データを統合し、マーケティングに活用する基盤を提供します。CDPは、オンラインとオフラインの顧客データを紐づけ、統一的な顧客プロファイルを生成するのが特徴です。たとえば、ECサイトの購買履歴と、実店舗での購買履歴を結びつけることで、顧客の全体像を把握できるようになります。
 
また、リアルタイムにデータを処理・統合できる点も、CDPの大きな強みです。刻一刻と変化する顧客のデータを即座に反映させられるため、タイムリーでパーソナライズされたマーケティング施策を実施できます。
 

あわせて読みたい! 【CDP完全ガイド】CDPの種類や選び方、導入、活用の方法など

ELT

ELTはETLとプロセスの順番が異なり、Extract(抽出)、Load(格納)、Transform(変換)と処理を行います。つまり、抽出したデータをそのままデータウェアハウスなどに格納し、その後で変換処理を行うのです。変換処理をあと回しにすることで、データをすばやく蓄積できます。そして、ビジネス要件の変化に応じて、柔軟にデータ加工の仕方を変えられるのです。ただし、ELTを採用するときは、データウェアハウスに高度な処理が求められることに注意が必要です。

まとめ

データ統合を行うことで、企業内に分散しているデータをまとめ、整理することができます。これにより、データ分析の精度と効率の向上が期待できます。データマネジメントにおいて、データ統合は欠かすことのできない重要なプロセスです。部門間のデータ連携の促進や顧客の全体像の把握を通じて、マーケティング施策の最適化や業務プロセスの改善が可能となります。また、保管するデータのセキュリティ強化にも役立ちます。

しかし、データ統合を成功させるのは簡単なことではありません。明確な目的設定を行い、地道な努力を重ねることが大切です。そうすることで、データ活用の基盤が強化され、ビジネスの意思決定の質が高まっていくでしょう。

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