アメリカのラスベガスで2025年3月18日(火)〜20日(水)の3日間にわたり開催された「Adobe Summit 2025」。本連載では、現地に参加したUWメンバーが得た最新情報や今後のマーケティングトレンドなどについてをお届けします。
第4回となる今回は、Adobe Summit 2025で発表されたMarketo、AEMの新機能についてレポートします。
Adobe製品に関する最新情報/事例をキャッチアップ
アンダーワークスは、実案件でAdobe製品の導入支援を行うことが多く、「Adobe製品に関する最新情報/事例収集」は、今回のイベント参加の大きな目的の一つと位置付けていました。

実際に会場では、かなりの数のAdobe製品の最新機能の説明や最新事例の紹介が、セッションを通じて行われました。また、セッションの勢いそのままに会場内の出展ブースに訪れると、製品のデモやQAを行いながら、ノベルティ配布を伴うゲームやアトラクションのような体験ができ、イベントとしてかなりの盛り上がりを見せていました。
今回は、アンダーワークスで特に取り扱うことが多いMarketoとAEMに関する最新情報を中心にレポートをお伝えします。
Marketoに関する主要アップデート
ジャーニー作成機能
Marketoにおいて最も大きな変更点のひとつとして、Marketo上で一連のキャンペーンをジャーニーとして作成・管理できる機能アップデートがあげられます。
これは、画面上で線を結ぶようなUIで設定することができ、これまでと異なったより直感的なカスタマージャーニーデザインが可能となるアップデートです。

旧来のMarketoのキャンペーン設定のUIは、ユーザーが使いづらさを感じるポイントが多かったため、今回の変更は担当者(特に実装側)にとって大きなメリットだと感じました。
※こちらの機能アップデートはまだ、一般公開となっていません。(2025/4/23 現在)
(対象のSessionの動画はこちらからご視聴いただけます。)
AIエージェントによる自動実装
また、「Journey Agent」の搭載により、AIエージェントにプロンプトを投げかけるだけで最適なジャーニーが提案され、ユーザーは提案を承認するのみで、キャンペーンの実装が可能となっています。

キャンペーン設定では、同じような設定をいくつも行うタスクが発生することがありますが、AIエージェントに依頼することでミスを減らしながら作業工数圧縮が期待できると感じました。
※こちらの機能アップデートはまだ、一般公開となっていません。(2025/4/23 現在)
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BI機能のアップデート
Marketo内のメールキャンペーンの成果を可視化するツールも、より現代的で、より速く、よりインタラクティブな分析機能が提供できるようアップデートされました。

Power BIのような操作感に近く、ドリルダウン、ドリルアップ、ドリルスルーができ、大規模なデータセットでもレポート作成が高速で出力可能となっています。
また、1クリックでPower Pointの資料にキャンペーンの成果を可視化した図やグラフを貼り付けることができるようになりました。こうした資料化ツールとのシームレスな連携によって、キャンペーンごとの成果の可視化・報告といった一連の工程もかなり容易に実現できるようになった点は企業側の運用担当者にとって大きなメリットになると感じました。
※こちらの機能アップデートはまだ、一般公開となっていません。(2025/4/23 現在)
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メール作成アシスタントのアップデート

生成AIを活用したメール作成アシスタント機能は、トーンやペルソナに基づいて、件名や本文の異なるバリエーションを自動で生成することができます。この機能は、特にA/Bテストなどで役に立つものであることが説明されました。
※こちらの機能アップデートはまだ、一般公開となっていません。(2025/4/23 現在)
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AEMとのアセット連携のアップデート
AEMアセットとの連携実装は、運用担当者にとって大きなアップデート発表となりました。

元々、AEMアセットに更新が入った場合、都度Marketo側のアセットは手動でコピーし更新が必要でしたが、こちらのアップデートにより、コンテンツチームがAEMで画像を更新すると、その変更がMarketo Engage内のすべての参照画像に自動的に反映され、手動更新の必要がなくなるので、非常に楽になるアップデートです。
※こちらの機能アップデートはまだ、一般公開となっていません。(2025/4/23 現在)
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AEMに関する主要アップデート、最新トレンド
オーサー環境の画面のアップデート
企業のWeb担当者が、AEMに使いづらさを感じる大きな点の1つとして、オーサー環境の画面があげられます。一見して古さを感じさせる画面で、ユーザーの使い勝手に大きく影響している印象があります。

しかし、今回のイベントで、ハブとなる管理画面のデザインが大きく一新され、ユーザーフレンドリーな印象を持つデザインに変更されることが発表されました。

また、デザインの改善だけでなく、画面上に必要な情報をカスタマイズで表示設定が可能となっており、目的別に管理画面上のウィジェットを出し分ける設定が可能となっており、管理画面上で簡易なサイトパフォーマンスの分析も可能となっています。


さらに、複雑だった権限管理(ACL)の画面も、フォルダ階層表示が可能になり、非常に見やすい画面に変更されることが発表されました。

※これらの機能アップデートはまだ、一般公開となっていません。(2025/4/23 現在)
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AIを活用したオーサリング自動化機能
イベントでは、AIを活用したAdobe製品の新機能がいくつも紹介され、来場者の注目を集めていましたが、特にAEMの「Catalyst Experience」として紹介された機能は、Webサイト運用や移行において非常に良いアップデートだと感じました。

こちらの機能は、ソースとなるページのURLや原稿ファイルを指定することで、AIがAEM上のコンポーネントを自動で判断し、ページオーサリングが可能となっており、運用や移行に伴う作業工数が大幅に削減される機能となっています。
※こちらの機能アップデートはまだ、一般公開となっていません。(2025/4/23 現在)
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そのほかAEMの主要機能アップデート
そのほかAEMのAIを活用した機能アップデートのなかから、幾つか主要なものをピックアップし、以下にまとめました。
・AIアシスタント機能
AIに質問する形で、AEMの使い方のドキュメントを参照でき、解決しない問題が発生した場合、課題チケットを作成し、Adobeサポートに連絡を行える
・Assets AIセマンティック検索
アセットのファイル名が分からなくても、検索意図や文脈を理解し、アセットの検索が可能
・バリエーション生成機能
Webサイトに挿入するコピーのバリエーションを自動生成
・セキュリティ診断機能(AEM Sites Optimizer)
AIがセキュリティ診断を行い、改善箇所を提示
※こちらの機能アップデートはまだ、一般公開となっていません。(2025/4/23 現在)
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AIを活用による移行・運用負荷軽減を実現した事例
先ほど紹介したAEMの「Catalyst Experience」は、まだ一般公開されていない機能ですが、Gradialというツールベンダーは、ページオーサリング自動化機能を活用し、大規模なWebサイト移行を実現した事例を紹介します。

事例によると、AWSのWebサイトは顧客体験向上を目的とした、ページ全体に一貫性を持たせる新しいデザインシステムへのリニューアルを計画していましたが、プロジェクトのタイムラインが非常に短く、厳しい状況にあったようです。
そのため、Gradialのページ自動オーサリング機能を活用することで、本来かかるはずのオーサリングの工数を大幅に削減し、戦略部分に注力することを可能にし、およそ50,000ページのWebサイト移行プロジェクトを実現することができたと説明されました。

Gradialの主な機能は、AEMと連携し、ページのURL、原稿ファイルなどのソースを指定するだけで、AIが自らコンポーネントを判断し、ページのオーサリングを実現する自動オーサリング機能(コンテンツ移行)です。
また、ページのエリア削除、リンクURL差し替えといった作業も、プロンプトで指示することができ、自動でコンテンツの更新作業もすることができます。
さらに、デザインガイドラインチェック、アクセシビリティチェック、さらにAIによるアクセス分析による改善提案も可能となっています。
(対象のSessionの動画はこちらからご視聴いただけます。)

現在、日本にGradialを実装できるベンダーはいませんが、出展ブースにてデモを行なった際、日本語でも修正指示を出すことが可能だったため、今後日本企業への展開も期待できるツールだと感じました。
生成AI時代におけるAEMのセキュリティ対策
生成AIを導入する組織にとって、セキュリティ対策は最重要課題となります。このセッションでは、AEMにおいてセキュリティ対策を強化する必要があるポイントについて解説されました。

AEMにおける生成AIのユースケースとしては、主に以下のケースが考えられます。
・検索結果の要約
・ハイパー・パーソナライゼーション(AIを活用し、顧客の好みや行動に基づいた顧客体験提供)された動的コンテンツ
・Webサイト上の会話型のインターフェース
また、上記ユースケースから派生するリスクとしては、主に以下の点に注意する必要があることが説明されました。
・データプライバシーのリスク
機密性の高い顧客データが、適切に保護されていない生成AIか API、または生成AIコンテンツを通じて公開される可能性
例:チャットbotがユーザークエリに応じて誤ってプライベートデータを生成し、データ侵害につながります
・インジェクション攻撃
有害なコードを挿入する悪意のある入力に脆弱な可能性
例:チャットbotの脆弱性が利用され、ユーザークエリを介して、SQLインジェクションコードが挿入されます
・アクセス制御の脆弱性
AIツールやAPIがユーザーアクセス制限をバイパスする可能性
例:アクセス制御が不十分なため、AEM上のコンテンツや構成が不正に変更されます
これらのリスクに対する対策としては、多層防御のアプローチが不可欠です。
具体的な対策としては主に以下の説明がありました。
・入力と出力のサニテーションおよび検証
すべてのユーザー入力・出力をサニテーションおよび検証すること
・厳格なアクセス制御
最小権限の原則を適用し、AIツールに必要最小限の権限のみ与える。
・通信の保護
HTTPSを強制することで、転送中のデータの傍受を防ぎ、データの改ざんを防止する。
・リソース使用の制限
APIレート制限を実装し、リソースを大量に消費するクエリや、システムに過負荷をかける多数のリクエストを防ぐ。
・監視と監査
リアルタイム監視、定期的な監査により、異常な振る舞いや異常を早期に発見する。
・システムの維持と更新
AEMを定期的にアップデートしておく。
・バックアップとリカバリー
侵害や障害が発生した場合に迅速に復旧
上記対策のように、システム内に複数の防御層を設置する対策により、生成AIを組み込んだAEM環境のセキュリティは強化され、進化するセキュリティ課題に対応できるシステムの構築につながるのではないでしょうか。
(対象のSessionの動画はこちらからご視聴いただけます。)
まとめ
今回の出張を通じて、近年のデジタルマーケティング領域のAI技術の進歩を改めて実感し、人間が指示したものを出力する”生成AIの時代”から、複数のタスクを自律的に追行する”AIエージェントの時代”に向かっていることを強く感じさせられました。
本レポートで紹介したGradialは、まさにこの時代の流れに乗るもので、”Webサイト運用作業担当者”として導入することで、Web運用コスト削減に迫られている多くの企業への貢献が期待されます。日本で実装できるベンダーがまだないとのことですが、アンダーワークスではこういった海外ツールのご契約締結の支援、導入に向けた伴走支援実績が豊富にありますので、お気軽にお問い合わせください。
また、PRしやすい”AIを活用した最先端機能のアップデート”だけでなく、人が使いやすく運用することを意識したアップデートが多く見られたことは、嬉しいポイントでした。日本企業の業務フローにおいて”AIエージェントによる自動化”を導入することは、まだまだチャレンジングな印象があり、人が運用を行うための考慮が求められる実情に応えるためにも、今後もこういったトレンドを追っていきたいと思いました。
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