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  • Zapierでワーケーション・勤怠申請をAIで即時判定 ┃ バックオフィス業…

 
企業のバックオフィス業務において、承認フローは業務効率や正確性に直結する大切なプロセスです。特に、ワーケーションや勤怠修正のように申請頻度が高く、ルールがあらかじめ決まっているものについては、判断基準もある程度パターン化されていることが多く、実は“自動化しやすい”分野だったりします。そこで今回は、実際にアンダーワークスで行った承認プロセスのAI化の取り組みをご紹介します。
 

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承認フローの自動判定に取り組んだ背景

社内のルールやポリシーに基づいて判断を下す「承認業務」は、本来とても重要な役割です。しかし実際には、決まった基準に沿って淡々と進めることが多く、どうしても「作業」になってしまいがちです。
 
そんな中で私たちは、「ルールがはっきりしているなら、AIでも対応できるのでは?」と考えるようになりました。文脈を読み取る力があるAIなら、精度も効率も両立できるはず。そんな期待を持って、自動化に取り組みはじめました。

「ワーケーション」「勤怠修正」の承認をAIの自動判定へ

今回AIの自動判定を取り入れたのは、以下2つの承認業務です。
 
ワーケーション申請
アンダーワークスでは、旅行先など自宅以外の場所で働くことができる「ワーケーション制度」を導入しており、年間40営業日を上限に利用できます。制度を利用するには事前の申請と承認が必要で、承認時には申請タイミングや年間の利用日数、勤務予定地の安全性、時差など、複数の項目を確認する必要がありました。
 
・勤怠修正申請
当社では、毎月21日から翌月20日までを1か月の勤怠期間とし、その記録が給与計算のもとになります。万が一入力を忘れてしまうと、勤務実態が確認できず、未入力分の給与が差し引かれてしまいます。そのため、締め日後に入力漏れが判明した場合には、Googleフォームで申請を受け付け、人事担当者が内容を確認・面談したうえで承認可否を判断していました。
 
どちらもルールが明確で例外も少ないため、AIによる自動判定に適していました。自動化後は、Zapier上で申請内容や添付ファイルをAIが読み取り、あらかじめ定めた条件に従ってその場で可否を判定。否認だった場合は、その理由を自動で申請者に通知する仕組みを整えました。この流れができたことで、人の手をかける部分は大きく減り、同時に判断プロセスの透明性も確保できました。
 
 

Slackの判定画面

Zapierの設計内容

使用ツールと連携内容

今回の自動化では、以下のツールをZapierと連携させています。

・Googleフォーム:申請受付用
・Google Drive:申請者から提出された証拠資料の格納(※ 勤怠修正のみ)
・Googleスプレッドシート:申請履歴と判定ログの管理
・Slack:承認/否認結果の通知先
・ZapierAI App:各種判定処理の実行

Zapierのワークフローでは、フォームから届いた申請データをトリガーに、Google Drive内の添付ファイルをテキスト化。その内容をZapier AIに送り、ルールに基づいて「承認/否認」を判断します。結果はSlackに通知され、必要に応じてスプレッドシートにも記録されるよう設計しました。
 

Zapierのワークフロー設定画面

設定にあたっては特にプロンプトを工夫

今回の自動化で特にこだわったのは、Zapier AIに対して与える「プロンプト」の設計です。たとえばSlackに投稿された画像から出勤時刻を正しく読み取れるようにしたり、文章から申請理由をしっかりくみ取れるようにしたりと、表現のひとつひとつに気を配りました。ワーケーション申請では、土日や休業日を除いた実勤務日数や、タイムゾーンの差による時差まで考慮する必要があります。こうした細かい条件も、AIがミスなく判断できるように丁寧に定義しました。  
 
また、AIの出力結果を「判定」と「理由」に分ける設計にしたことで、判定に応じて通知の仕方を変えたり、ログをきちんと残せたりと、運用面でも柔軟に対応できるようになっています。あとから見返すのもラクなので、改善にもつなげやすいと感じています。
 

Zapierのプロンプト入力画面

実際に運用を始めて感じた、“効率アップ”と“心理的ハードルの低下”

実際にAIでの承認フローを回し始めてみると、思っていた以上に効果がありました。まず何より実感したのは、作業時間の大幅な短縮です。これまで人が一件ずつ確認していた定型的な申請も、AIであれば瞬時に処理されます。さらに良かったのが、判断のブレがなくなったこと。人が対応していると、どうしても担当者によって微妙な判断の差が出がちですが、AIなら常に同じ基準で判断してくれるので、処理の一貫性が保たれるのも安心材料でした。
 
そしてもうひとつ、意外と大きかったのが「否認時の心理的ハードルが下がったこと」です。これまでは、たとえルール上NGであっても、申請者に直接伝える際には多少なりとも気を使う場面がありました。しかし現在は、AIが理由を添えて自動で通知してくれるため、余計な気遣いややり取りを減らすことができています。
 
Slackに否認理由もきちんと記録されるので、あとから見返したり、チーム内で共有したりするのもスムーズ。効率面だけでなく、心理的にもかなりラクになったと感じています。

まとめ

今回の取り組みは、わずか1週間程度の設計・構築期間で実現しました。ZapierのAI機能を活用すれば、複雑なシステム連携がなくても、ここまで高精度な自動判定が可能になることが分かりました。
 
あらためて感じたのは、AI化に向いているのは「判断基準がはっきりしていて、例外が少ない業務」。こうした条件がそろっていれば、少しの工夫で大きな効果を得ることができます。今後も、人が判断しなくても進むべき業務を見極めて、よりスマートな運用に挑戦していきたいと思います。

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