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Geminiの動画解析機能:業務とデジタルマーケティングへの可能性

Googleの生成AI「Gemini」で動画解析機能が新たにリリースされました。スマートフォンで撮影した動画やQuickTimeで録画した画面操作の動画をアップロードし、「要約して」などと指示を出せば、内容を理解してレポート作成もしてくれるというものです。動画の長さに制限があるようですが、解像度を落とせば60分以上の会議の動画も問題なく解析できました。

 

 

こうした動画分析AIをデジタルマーケティングの分野ではどのように活用していくことができるでしょうか。いろいろありそうですが、Webユーザビリティテストなどでの活用などにも使えるのではないでしょうか。ユーザービリティ分析を含めて、他にも業務への活用トライアルをしてみましたので、今回は動画分析AIの活用を記事にしてみます。

動画分析AIの業務利用:経費精算、業務マニュアルから議事録まで

社内の経費処理、面倒な業務の1つですよね。動画分析AIを使えないでしょうか。
 
iPhoneで領収書を次々と映した動画をGeminiにアップロードし、「経費レポートを作成して」と依頼すると、驚くほど正確に金額、日付、勘定科目をまとめてくれます。最近では画像から経費精算してくれるツールも増えましたが、いちいち並べたり、順番に撮影したり、面倒だなと思うこともあると思います。動画であれば、セルフレジのようにパラパラと領収書を映していくだけで経費精算が完了できそうです。
 

実際にiPhoneでいくつかの領収書を動画撮影して経費レポートの依頼をする

 
業務マニュアルの作成はどうでしょうか。PCを使って行う入力・入稿作業や集計・分析作業など、これをQuickTimeなどを使って画面収録しながら行います。その動画をGeminiにアップロードし、「この手順をマニュアルにまとめて」と依頼してみます。
 
すると、実際の業務の流れに沿った業務マニュアルが数分で出力されました。そのままNotionなどの社内イントラにコピーしたり、Gensparkなどを利用してスライド化すれば、業務の仕組み化や社内研修が行えます。業務マニュアル作りは、実際に行ったことがある人が作成することになりますが、作業適性とマニュアル作成適性の両方兼ね備えた人は少ないと思いますので、非常に高い効率化につながるのではないでしょうか。

 

さらにもう一つ、議事録作成にも動画生成AIを使ってみます。オンライン会議が主体のアンダーワークスでは普段、tl;dvというツールを使ってZoomやGoogle Meetの議事録をAI生成していますが、tl;dvは会議動画も保存しておいてくれます。今回はこのtl;dvで録画されたオンライン会議の動画ファイルをGeminiにアップロードして、議事録を作らせてみました。そして興味深い結果となりました。

 

実際の会議の動画をGeminiにアップロードし、議事録作成を依頼する

 

議事録自体の精度(あるいは文字起こしされるテキスト)は、tl:dvやnottaに劣ります。理由は、動画から「誰が発言したのか」の情報が取りづらく、参加者リスト取得や発話者識別ができないためです。(通常オンライン議事録ツールでは、オンライン会議への参加者情報とマイクから「誰が発言したのか」は正確に記録できます)

 

ただし、動画の場合、会議で投影された資料を上手に読み取って議事録に加えることができました。例えば会議冒頭のアジェンダのスライドから会議全体のアジェンダを正確に把握したり、数字が羅列されたスライドからは(発言はないにもかかわらず)正確に売上情報などを理解しているようです。

 

会議のスライドに書かれた内容(動画から得られる情報)と誰が発言したのか(会議システムから得られる情報)をうまく組み合わせると、かなり精度の高い議事録作成をAIで実現できるのではと思います。

 

あわせて読みたい! 【AI議事録ツール導入実践記】tl;dvとNottaの比較

WebユーザビリティテストにAIを使ってみる

デジタルマーケティングへの活用にもチャレンジしてみたいと思います。Webサイトのユーザビリティテストにこの動画生成AIを活用できないでしょうか。Webサイトの改善や顧客ニーズの把握を目的としたユーザビリティテストは、かなりの工数・コストがかかるものです。

 

一般的には、

・調査目的と仮説・シナリオ設定

・デモグラ(顧客属性)設定とテスト対象者のリクルーティング

・テストの実施(会場確保や人員配置、レクチャー等)

・テストの様子を動画収録、観察、分析

・改善アクションや顧客ニーズ発見をレポート作成

 

のようなイメージです。この一連の流れを考えると、気軽に実施できるものではありません。そこで、テストの実施からレポート作成までを簡易的に動画生成AIやスライド生成AIを使って実験してみました。

 

今回のシナリオは、シンガポール航空での海外旅行に関心がある顧客が、機内設備やマイレージプログラムなどをブラウジングし、夏休みの東京ーシンガポール間の航空券の価格確認を行う、というようなシナリオにしてみました。
 
QuickTimeで画面収録をしながら、社内のメンバーにシンガポール航空のWebサイトを実際に操作してもらいます。その動画をGeminiにアップロードし、「あなたはユーザビリティ分析専門のコンサルタントです。このWebサイトのユーザビリティテストの動画をベースに、改善ポイントと顧客ニーズをレポートしてください」と指示してみます。

 

 

結果、約1分で分析レポートが完成し、そのテキストをベースに約2分でサマリースライドが完成しました。本格的なユーザビリティテストと同じレベルの精度を求めるのはまだ難しいかもしれません。今回は、パッと思いついたシナリオで、生成AIへのプロンプトも簡易的なものです。しかし、たとえば初期仮説の検証や公開前の簡易チェックなどでは「スピード」という観点で大きな価値があるかもしれません。Webページを実際に使ってからレポート化までが数分で終わるというインパクトはかなり大きいと感じます。

 

Webユーザビリティテストの分析を1枚のスライドにGensparkでまとめてもらった

まとめ:動画分析AIの発展で劇的な業務効率化が実現する可能性は高い

以上、今回はGeminiに新しく搭載された動画分析AIを使って、 ルーティン業務からデジタルマーケティング領域までいろいろな実証実験をやってみました。

 

どれも簡易的なものであり精度検証を本格的にするまでには至っていませんが、 とにかく一瞬で動画の内容を取りまとめ、示唆を出すという観点において、 大きな可能性を感じました。特に、動画を再生しながら実施せざるを得ない業務(顧客行動の観察でも、業務マニュアルの作成でも)においては、動画視聴時間が実質0になるわけですから、多少精度に課題があっても試してみる価値が高そうです。引き続き動画のAI利用にもアンテナを広げていきます。

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