AI技術が目覚ましく進化する現代において、その活用は企業の競争力を左右する重要なテーマです。「自分の業務にAIを取り入れたい」「プログラミング経験がなくてもアプリを作ってみたい」という声が、日増しに高まっています。
そこでアンダーワークスでは、社内でのナレッジシェアのため、AI活用促進チームが中心となり、「Google AI Studio」と「Google Gemini」を活用したバイブコーディングワークショップを開催しました。本記事では、その様子をレポートします。
今回の目的は、参加者にAIを用いたアプリ開発の手軽さを体感してもらうこと。そして、AIの得意領域を理解し、人間が本当に価値を発揮すべきポイントはどこにあるのかを考えることです。短時間の開催ながら参加者同士の交流も活発に行われ、AIと人間の協働を肌で感じる有意義な時間となりました。
開催の背景と目的
アンダーワークスが本ワークショップを企画した背景には、「AIの可能性を現実的な視点で探り、その知見を社内外で共有したい」という強い思いがありました。私たちは、AIを“魔法のツール”としてではなく、実態に基づいた活用とリスクの認識、その両方を大切にしています。
今回の開催目的は、大きく以下の2点です。
1. 開発のハードルとスピードを体感する: AIがいかに開発のハードルを下げ、プロセスを高速化するかを実感してもらう。
2. 人間ならではの価値を考える: AIが苦手とすることを人間がどう補い、独自の価値を創造していくべきかを考察する。

「バイブコーディング」とは?アプリ開発の新しいかたち
「プログラミング知識がないために、アイデアを形にすることを諦めてしまった」──そんな経験はもう不要です。バイブコーディングは、AIがその壁を取り払ってくれる、新しい開発スタイルです。
会話するようにアプリを作る
「バイブコーディング」とは、AIと対話しながらアプリを作る開発手法です。要件やイメージを自然言語で伝えると、AIがその指示を理解し、コードやUIを自動生成します。まるでAIと一緒に作品を作り上げるような感覚で開発が進みます。
Google GeminiとAI Studioの役割
今回のワークショップでは、バイブコーディングのハードルをさらに下げるため、社内で日常的に利用している2つのツールを採用しました。
・Google Gemini :
Googleが開発した生成AIモデル。人間と自然な会話ができるので、アイデアの整理や「こんな機能が欲しい」といった要件を詰めていく作業を、効率的にサポートしてくれます。今回のワークショップでは、Geminiをアイデア出しや要件定義の「壁打ち相手」として活用しました。
・Google AI Studio :
Geminiのパワーを使って、実際にアプリを組み立てるための開発ツールです。作りたいアプリの指示を入力することで、アプリの骨格が完成します。プログラミングを知らない人でも、直感的にアプリ開発を進められるように設計されています。
この2つを組み合わせることで、非エンジニアでも「作ってみたい」をすぐに形にできるようになります。まさに“開発の民主化”を象徴するワークフローです。
ワークショップでのAIアプリ開発体験プロセス
ワークショップの所要時間は、全体で1.5時間。バイブコーディング初挑戦のメンバーも参加したため、プロセスは極力シンプルに設計しました。通常であれば詳細な要件定義やバックエンドの検証が必要な工程も、今回は「開発体験」そのものを重視。結果として、メンバー間の活発なコミュニケーションが生まれ、終始明るい雰囲気で進行しました。

1. アイデア出しと要件定義
まず10分間で、業務や日常生活で役立ちそうなアプリのアイデアを各自で考えます。その際、「Google AI Studioに入力した情報はAIの学習データになる可能性があるため、機密情報は入力しない」といった、AI活用における現実的なリスクにも触れながら進めました。
次に、そのアイデアをGeminiとの対話を通じて要件定義に落とし込みます。「どうすればこのアプリは使いやすくなるか?」「どんな入力項目が必要か?」といった問いをAIと繰り返しながら、開発用のプロンプトを具体化していきました。
バイブコーディングにおいても、一般的な開発と同様に要件定義は極めて重要です。この段階で機能や仕様のイメージを具体的に明文化しておくことで、後の工程での品質向上と手戻りの削減が期待できます。
2. AI Studioでアプリを構築
Geminiでまとめた要件をGoogle AI Studioに入力すると、驚くほど短時間でアプリの骨格が生成されます。そこからは、AI Studioのチャット機能で追加の指示を送りながら、機能やデザインをブラッシュアップしていきました。参加者もすぐに要領を得て、主催者の想定を上回るスピードで次々と改修を進めていきました。
このフェーズでは、「一度に多くの指示を出すより、具体的な変更点を一つずつ伝えた方が成功しやすい」「UIデザインを変更したい場合、参考画像のスクリーンショットを添付するとイメージが伝わりやすい」など、実践的なノウハウも共有されました。
3. 完成したアプリの発表
ワークショップの締めくくりは、参加者全員が制作したアプリの発表会です。
最年長のメンバーは、条件をAIに指示することでリアルタイムで計算される見積もりアプリを披露。高い機能性を持ちながら、UIや出力PDFをオリジナリティ溢れる自分の好みに仕上げるという、遊び心も盛り込まれた便利なアプリです。

その他にも、旅行計画アプリ、予算管理アプリ、日次タスク管理アプリなど、多様性と実用性を兼ね備えた作品が次々と発表され、主催者側も大いに刺激を受けました。
この一連の体験は、自分の「欲しい」を手軽に実現できるという実感を得る貴重な機会となりました。AIが非エンジニアの開発を強力に後押ししてくれる存在だと再認識すると同時に、「AIの得意なことを理解した上で、人間は何をすべきか?」という、本ワークショップのもう一つのテーマも明確に浮かび上がりました。
まとめと今後の展望
今回は、アンダーワークスが社内で開催したバイブコーディングワークショップの様子をお届けしました。
このワークショップを通じて、私たちはAIの驚くべき進歩と可能性を再確認しました。同時に、AIと共存していくためには、人間の知恵、的確な判断力、そしてテクノロジーに対する深い理解が不可欠であると痛感しています。
ただ技術の恩恵を受けるだけでなく、その本質を見極め、人間ならではの創造性をどこに注ぐべきかを常に問い続けること。そこにこそ、私たち自身の価値と独自性を発揮すべきだと考えています。
アンダーワークスはこれからも最新テクノロジーの動向を注視し、お客様、そして社員にとって価値のある情報発信とサービス提供を続けてまいります。