「Eコマースで何がどれだけ販売されているのか」がより明確に
経済産業省が毎年行なっているEC市場調査の2014年版が発表された。 電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました~国内BtoC-EC 市場規模は12.8 兆円に成長~ これによると、2014年度のBtoCのEC市場は、約12.8兆円と前年比14.6%増とEC市場が順調に拡大していることが示された。
平成10年から続く本調査は今年で17回目に当たるが、今回の調査での大きなポイントはBtoC分野におけるEC市場の分類方法が大きく変更になったことだ。具体的には、物販系、サービス系、デジタル系に大別された上で、各商品・サービス分野別に市場規模やEC化率が調査されるようになった。
そこで、新たな分類毎にBtoC EC市場の市場規模を、前年比伸び率の高い順に見てみたい。この1年でどんな商品・サービスがEC化してきているのかのトレンドが見えてくるからだ。
伸び率第1位は「飲食サービス予約」
商品・サービス分類別市場規模の昨年比伸び率の第1位は「飲食サービス」だ。これはインターネットを利用した飲食店の予約(座席予約のみを含む)で、市場規模1,764億円と市場規模はまだまだ小さいが、昨年比88.6%と8割以上の伸びとなっている。
商品・サービス分類別EC市場規模の前年比伸び率 トップ5
第1位 | 88.6 % | 飲食サービス(サービス分野) | 935億円 | 1,764億円 |
第2位 | 43.0 % | オンラインゲーム(デジタル分野) | 8,423億円 | 12,045億円 |
第3位 | 36.1 % | 電子出版(デジタル分野) | 938億円 | 1,276億円 |
第4位 | 20.4 % | 食品、飲料、酒類(物販分野) | 9,897億円 | 11,915億円 |
第5位 | 20.3 % | 雑貨、家具、インテリア(物販分野) | 9,638億円 | 11,590億円 |
有名なサービス提供事業者としては、OpenTableや一休.com、Ozmall、食べログと連携しているcenaなどだ。グルメ情報サイトなどが予約サービスを2012年頃から開始したことを受け予約可能な飲食店が急増しており、2014年も市場規模が大きく拡大している。
現時点では、国内80万店舗以上と言われる飲食店の4-5万店がインターネット経由での予約を受け付けており、こうした飲食店の数はまだまだ増えると予想されている。
第2位、第3位はともにデジタル分野で、オンラインゲームと電子出版がそれぞれ約4割の市場拡大となっている。オンラインゲーム市場は、デジタル分野の8割を占め、有料音楽配信や有料動画配信などとは比べ物にならないほどの存在感である。
第4位は、ネットスーパーなどの食品・飲料などの物販分野。 ECの歴史の中でもネットスーパーはかなり古くから存在しているが、ここに来て大きな伸びを見せ始めていることは注目に値する。要因としては、オムニチャネル戦略による店舗型スーパーのECへの注力、アマゾンによる酒類の販売開始、健康食品のネット販売トレンドなどがあるようだ。リアルを含めると約60兆円という大きな市場だけに、今後のECを引っ張る重要な領域だ。
こうしてみると、第1位の飲食サービス、第4位の食品・飲料・酒類と、食に関する分野がトップ5にランクしている。外食・自炊を問わず食べることに関する消費者行動がデジタル化してきていることが伺える。
参考:分野別市場規模
物販系分野のBtoC EC市場規模
サービス分野のBtoC EC市場規模