マーケティングオートメーションの導入に際し、将来的にCRMとの連携を見据えている企業は多いはずだ。であれば、MAツール選定時には、Salesforceなどのクラウド型CRMとの連携機能は必須要件となる。
そこで、クラウド型CRMとの連携を見据えたMAツールを3つ取り上げ、採用企業の企業規模や業種比較をしてみたい。
マーケティングオートメーションをCRMと連携させるべき2つの理由
マーケティングオートメーションとCRMの連携は、マーケティングオートメーションの設定作業の中でも難易度の高いものだ。これらを連携させるメリットはどこにあるのか。3つあげてみたい。
1.ホットリードの引き渡し マーケティングオートメーションでスコアが高い(ホットリード)として判定されたリードをCRMに引き渡す。これをエクスポート・インポートではなくAPIでリアルタイムで行う。
2.商談の受注・失注情報との連携 商談結果情報をマーケティングオートメーションツールに連携させ、実行したマーケティング施策がどの程度受注に寄与したのかどうかを測定する。
3.営業活動情報をセグメントに利用 CRMにのみ記録される様々な営業活動情報(営業の訪問履歴・取引の履歴・商談のステージなど)をマーケティングオートメーションに取り込んでパーソナライズに使う。
マーケティングオートメーションと連携するクラウド型CRMは
連携対象となるクラウド型CRMはどのツールになるだろうか。
SFAの領域はグローバルでみても寡占化されにくい市場だそうだが、マーケティングオートメーションとの連携でみると、経験上Salesforceのケースが圧倒的だ。次にMicrosoft Dynamics、Oracle Sales Cloudだろうか。
CRMベンダー4社をガートナーが比較、セールスフォース、SAP、オラクル、MSの動向
標準でCRM連携が可能な3大マーケティングオートメーションツールは
ではこうしたクラウド型CRMとの連携を標準機能として持つBtoB向けマーケティングオートメーションツールといえば何だろうか。
1.Eloqua(オラクル):Salesforce、Microsoft Dynamics、Oracle Salescloudすべてと標準的なコネクタを装備している。
2.Marketo(マルケト):Salesforceとのネイティブ連携機能を持ち、SAP Cloud for SalesやSugarCRMなどとも連携が可能。
3.Pardot(セールスフォース):Salesforceとの連携はもちろん可能。Microsoft Dynamicsとの連携は制限が多そうではあるが不可能ではないようだ。
Eloquaはエンタープライズ向け、Pardotは中小企業向け、Marketoはどちらも
テクノロジーレビューサイトのG2 Crowdのレビューから、これらのマーケティングオートメーションツールがどのような企業に採用されているのかを見てみたい。
Eloquaは採用企業の約44%が社員数1,000人以上のエンタープライズ企業だ。社員数50人以下の小企業での利用も18%ほどあるが基本的に大企業がよく使っているイメージだ。
Pardotはその逆で、エンタープライズ企業の利用は10%以下だ。50人以下の小企業が4割近くを占め、中小企業向けのツールという傾向となっている。
Marketoは50人-1,000人の中企業での利用がもっとも多い。ただし、大企業でも27%、小企業でも19%と様々な企業規模で採用されているとも言える。
採用企業の業種別比較では差はない
一方、業種比較はどうか。
どのツールでも、コンピュータ・ソフトウェア・ITといった業種のシェアが高く、金融業などのシェアは低い。ツールによる違いはほとんどないと言っていいだろう。
クラウドCRMとの連携を標準でもつEloqua/Marketo/Pardotでは、採用企業の企業規模できれいに棲みわけされていつつ、業種による採用傾向はない、と考えられるだろう。