3月21日からラスベガスにてAdobeのアニュアルカンファレンス「Adobe Sumit 2017」が開催されました。現在は多くのITベンダーが提供しているマーケティングクラウドですが、「Adobe Marketing Cloud」はその元祖とも言えるソリューションです。
今回のイベントにおいてその「Adobe Marketing Cloud」に関して、大きな進化が発表されましたので、3つの注目すべき視点を共有してみたいと思います。(ソース:www.adobe.com)
秀逸な新ブランド名「Experience Cloud」は「Marketing Cloud」の上位概念
「Adobe Marketing Cloud」が発表されたのは2013年のAdobe Summit(当時はまだソルトレイクシティでの開催)。それまで、マーケティングテクノロジーは単体製品で提供されることが当たり前であった時代に、初めてプラットフォームの概念を提唱したのがAdobeでした。
あれから4年、大手ITベンダー各社が次々と「Marketing Cloud」構想を打ち出し、Adobeを追随してきたように思えます。
一方で、ベンダー各社は「エクスペリエンス」を提唱し始め、「そのうち誰かがExperoence Cloudなるソリューションを発表するだろう」との声はありました。しかし、元祖「Marketing Cloud」のAdobeがその口火を切ったことは注目に値すべきことだと思います。
2009年のサイトカタリスト(現Adobe Analytics)買収まで、PhotoshopやIllustratorなど画像オーサリングツールの会社であったAdobeは、これを機に一気にデジタルマーケティング領域のエンタープライズソリューション企業へと変貌しました。そして、その勢いを衰えさせることなく、未だ新しい変化に取り組む企業だということを示しているように感じます。
広告とデータ分析を含めた統合マーケティングプラットフォームへ
今回のAdobe Experience Cloudの発表によって、CMSを中心としたAdobe Marketing CloudはAdobe Experience Cloudプラットフォームの1つとして位置づけられるようになりました。そして、広告配信を担う「Adobe Advertising Cloud」とデータの蓄積・分析を担う「Adobe Analytics Cloud」と相互補完関係となります。
これにより、広告による顧客の集客(Advertising Cloud)、オウンドメディア上での顧客接点(Adobe Marketing Cloud)から顧客データの蓄積・分析までを一貫した1つのプラットフォーム上で実行できるようになりました。特に、これまでアドの領域とオウンドメディアのコンテンツ管理は全く別のプラットフォームで実行が求められてきましたが、これらが融合・統合していくことは大きな可能性を秘めていると思います。
TubeMogul買収からわずか4ヶ月でプラットフォームを統合のスピード感
Adobeは昨年11月に動画DSPのTubeMogul買収を発表しました。こうした買収による新しいソリューションのブランド統合・システム連携までは1-2年を要するのが普通ですから、買収発表からわずか4ヶ月で新しいプラットフォームへの統合は非常に速いスピードでの統合ではないでしょうか。
もちろん、発表前から様々な統合準備プロジェクトが開始されていたとは思いますが、それでも4ヶ月というスピード感は他社にはないスピード感だと感じます。変化の早いデジタル業界において、Adobeの実行力のスピードが改めて浮き彫りになったと考えて良いのではないでしょうか。