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  • Webアクセシビリティとは?基本を理解するための5つの質問【後編】

 
「ウェブアクセシビリティ(Webアクセシビリティ)」という近年非常に重要になってきている考えにフォーカスした記事を質問形式で、前編後編2回に渡ってお伝えしています。
 
今回は後編となりますので、まだ前編をご覧になっていない方は、読了後に末尾のリンクから前編をご覧頂ければと思います。(前後編どちらからご覧頂いてもご理解頂けると思いますのでご安心を。)
 
前編ではWebアクセシビリティの基本を理解する5つの質問のうち3つの質問を取り上げました。
 
1.アクセシビリティとは何ですか?
2.Webアクセシビリティの標準的なルールは何で、誰が守らないといけませんか?
3.Webアクセシビリティは誰のために、どんな目的で必要なのですか?
 
後編では残りの2つの質問に触れていきます。

4.Webアクセシビリティに違反するとどうなりますか?

Webアクセシビリティへの対応を法規制で定めている国があります。そういった国では、Webアクセシビリティの違反は、法律違反となり提訴される可能性があります。事実、アメリカでは過去にAmazon、サウスウエスト航空、ディズニーやバンク・オブ・アメリカなど大企業が訴訟や苦情申し立ての対象となっています。
 
世界初の訴訟事例としては2000年開催のシドニーオリンピックの訴訟が知られています。
 
参考リンク:Sydney Olympics Website – A Cautionary Tale of Inaccessibility
https://www.w3.org/WAI/bcase/socog-case-study
 
各国の法規制をいくつか例であげるとずらずらと出てきます。
 
・日本では障害者基本法、障害者差別解消法。
・アメリカではリハビリテーション法508、ADA、航空アクセス法。
・韓国では障害者差別禁止法。
・カナダオンタリオ州ではAODA。
・ニュージーランドではWeb Accessibility Standard1.0

5.Webアクセシビリティに対してどうやって対応すればよいのですか?

具体的にWebアクセシビリティに対応する方法ですが
以下の3つのステップがあります。
 

1.Web標準に準拠したWebサイト制作を行う

web標準とはWCAG2.0やJIS X 8341-3:2016の規格のことです。(こちらは前編でも触れています) その規格に則してWebサイト制作を行うことが必要です。
 
例えば、Webサイト上で情報を判別するための視覚的手段が色のみであったり、表示のコントラスト比が足りていない場合、判別可能、知覚可能の規格項目で引っかかってしまいます。
 
規格に準拠することで、Webアクセシビリティの向上はもちろんさらにHTMLファイル容量の軽量化、HTMLファイル読み込み時間の短縮化、検索エンジンへの最適化などのビジネスメリットがある恩恵も期待できます。
 
準拠の基準はA、AA、AAAとレベルが分かれており、自社が目標とする「対象範囲と目標とするレベルと対応度」の方針を先に決めた上で準拠の対応を進めましょう。
 

2.評価ツールでチェックする

制作したWebサイトのWebアクセシビリティが確保されているかを確認する際、すべてチェックするのは中々難しいです。特にページ数が多大な場合は、膨大な工数と時間的負担がかかってしまいます。 そこで、Webアクセシビリティを診断できるツールを活用することで人によるチェックよりも効率と正確性が向上させることが推奨されます。
 
ツールによっては、Webアクセシビリティだけをチェックするもの、Webアクセシビリティだけでなく、サイト分析にも対応した高機能なツールなど複数選択肢があるので、目的に照らして、コストや用途を鑑みて選定することが大事です。
 

3.人によるWebアクセシビリティ評価を行う(ヒューリスティック調査)

Web標準へ準拠することは重要ですが、Webアクセシビリティの評価がWeb標準への準拠をチェックするだけに留まってしまわない様に注意しましょう。
 
ツールは正確に効率的にチェックすることができますが、問題の一部を見つけるに過ぎず、 ツールだけでは本当の意味で『すべての人』にとってアクセシブルであるかを判断することはできないのです。そのため、最終的にWebアクセシビリティの評価を行うには専門家などの協力を得る必要があります。
 
以上、前編から5つの質問+3つの対応ステップを通してWebアクセシビリティの基本を理解してきました。
 
前編はまだご覧になっていない方は以下のリンクから前編記事をぜひご覧ください。
>> Webアクセシビリティとは?基本を理解するための5つの質問【前編】
 
ユーザー自身のバックグラウンドや利用環境の多様化が進む現在では社会的な流れを鑑みても、そのWebサイトがWebアクセシビリティを準拠しているのかどうかの重要性は高まっていきます。特に、2020年に向けて社会インフラのアクセシビリティ向上が進んでいます。WebサイトのWebアクセシビリティ向上も進めていく必要があります。
 
新たなサイト立ち上げやサイトリニューアルの際、また、通常のWebサイト運営においてもWebアクセシビリティの意識を忘れず、ぜひすべての人が同じ情報を得ることができるようにWebアクセシビリティに準拠するための準備を進めていきましょう。

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