多くの企業のマーケティング担当者が参加し、2017年11月9日に開催されましたSitecore社のイベント「Sitecore Digital Marketing Summit 2017」の参加レポートです。
”顧客”から”個客”へ。最適なカスタマーエクスペリエンス(CX)に対する価値、先進事例、ソリューション、それぞれが強く語られていたことが最も印象的でした。
ユーザーは1日あたり10~12時間デバイスに接触
今の時代マーケティングにおけるデジタル接点はもはや無視出来ないものになっています。
基調講演の一つ目【「デジタル・トランスフォーメーション」における理想と現実のギャップ】のセッションの中ではユーザーは常にネットに接続しており、1日10時間~12時間デバイスに接触しているというデータもあると言及していました。
しかし、企業がデジタルにおいて提供するユーザー体験は、消費者が期待する期待値とのズレが生じています。消費者の60%は期待外れだと感じており、期待外れの場合93%のユーザーがSNSにネガティブな内容を書き込んだり、再来訪をしなくなるなどの行動をするというデータからも明白です。
逆に、良い体験を感じた消費者の75%はロイヤリティ向上を感じるというデータがあります。これらのデータからはユーザー体験に対する消費者の反応や態度変容はかなり敏感であることを伺い知ることができます。
一人ひとりに合わせたパーソナライゼーションがますます重要に
続いて行われた【デジタルとコンテクストの融合~顧客価値向上をめざして】のセッションではサイトコアのプラットフォームを利用したマーケティング施策の例で一人ひとりに合わせたパーソナライゼーションの施策が紹介されていました。
一部架空の例も含まれますが、さきほどまでWebサイトでチェックしていた商品のディスカウントクーポンをきっかけに実店舗への来店に誘導させることが、簡単に実現可能な世界が来ています。
このお話で押さえるべきは、メールやウェアラブルデバイス、モバイルアプリ、Web、POS、ERP、ビーコン、EC、CRM等様々なデータを統合管理が重要性です。
コンテクストマーケティング(パーソナライゼーション)を妨げる3つの課題

また、セッションの中で1人ひとりのユーザーに合わせたパーソナライゼーションはコンテクストマーケティングと言い換えられていました。定義としては以下のように紹介されています。 「過去の行動履歴や現在のニーズを総合的に把握・理解しながら、適切な瞬間に、適切な場所で、適切な人へ適切なコンテンツを提供することで体験を演出すること」
しかしながら、コンテクストマーケティングを実現するためには3つの課題が付きまとうとも。
技術的な課題
散財するデジタルマーケティングツール、システムの連携。企業のマーケティング部門では平均して11のプラットフォームを利用しているとのデータも。
洞察の課題
個客のコンテクストを360°で評価できずに不完全なものになってしまう。例えば、Web行動データだけではなく企業データやデモグラ情報など様々な情報を統合して個客のコンテクストを理解するのが望ましいです。
コンテンツの課題
コンテクストを把握できないとユーザーを無視したコンテンツを提供することになってしまう。 企業担当者はこれらの課題を解決することで個客とのコンテクストマーケティングを実現に近づけると言えそうです。
Sitecoreバージョン9.0にはマーケティングオートメーション機能が実装
Sitecoreでは、本来のコンテンツ管理のCMSの機能にとどまらずSitecore Experience Platformの名の通り多様な機能を提供しており、最新のバージョン9.0にはマーケティングオートメーションの機能も実装されます。
従来CMSであったSitecoreがMAの機能を取り入れることからも、今後ますますマーケティング界隈では具体的なパーソナライズの実現が最重要になってくると感じました。