Modern Customer Experience 2018イベントレポート前編に引き続き、後編では現地からキーノートやセッションの様子を中心にお伝えします。
オラクル新製品”CX Audience”と”Infinity”を発表
今回のキーノートではオラクルから”CX Audience”と”Infinity”という2つの新製品について発表がありました。
“CX Audience”は、デモグラフィックデータやWEB 行動データ、購買データなど、また1st Party、3rd Partyなど種々様々なデータを連携して、リアルタイムに臨機応変にオーディエンスのセグメンテーションを行うことができる製品です。
同じオラクル製品であるResponsys等と連携しながら、作成したセグメントでキャンペーンを実行することができるようになります。今まで時間をかけて行なっていたセグメント作成の手間が必要がなく、全てがリアルタイムでマーケティング施策を実行できる製品だそうです。
また、SQL等のやや高度な知識も必要なく、管理画面のインターフェース上でマーケター自身がターゲットのセグメンテーションを作成していけることも特徴のひとつです。
他方、”infinity”は全てのユーザーの行動をリアルタイムかつマルチチャネルで捉え、ユーザーの真の意図を把握することができるソリューションであると発表されました。
例えばMAツールであるEloquaではユーザーがページで最初のクリックを行った時からフォーム提出までの情報しか見ることができませんでした。しかし、”Infinity” は顧客の全てのユーザー行動を捉えることができるとのことで、Infinityは言わばEloquaの視野を拡大してくれる機能を持つ製品と言えそうです。今何人の顧客がサイトに来ているかを統合して把握するだけでなく、個々の見込客の全てのインタラクションを把握することができ、より深い洞察を得ることができるようになります。
今回発表された2製品はどちらもさまざまなデータを集めて顧客行動を把握する、言わばCDPに基づく設計思想の製品だと感じました。
CDPソリューションが乱立しているCDP業界で、満を持してオラクルからも製品がリリースされたというところでしょうか。今回発表された製品群がどのように他社製品と差別化をしていくのか今後に注目です。
外部ベンダー、マルチチャネルとも積極的に連携
また、オラクルとしてEloquaやResponsysの各製品において、Push通知、SMS、Wechat、Line、Facebook、LinkedInといった多くのチャネルへの連携を投資していることも語られ、OracleCXCloud製品の外部パートナーとのインテグレーションも強化が進められることもキーノートの中で強調されていました。
具体例のひとつとして挙げられていたのはEloquaとLinkedInの連携です。特に画面を切り替える必要もなくEloquaをLinkdInと連携して、この見込客は最近部長職になったばかりであるといった情報や、最近参加したイベントの情報やシェアしている情報まで見ることができるようになるとの事です。
オラクル製品群と外部ベンダーとの連携は今後さらに加速していくと想定され、その連携結果には注目が集まることでしょう。
オラクルもエコシステムを構築か
今回のキーノートの発表では主に、「データの活用」「CX製品を中心としたエコシステムの構築」が強調されました。
散財するさまざまなデータをどのように管理し利活用していくのかというテーマは、引き続き世の中からの注目が集まりそうです。
また、これまでは以下の記事でも紹介したように 他のテクノロジーとのエコシステムを模索し「エンゲージメント」部分にフォーカスするMarketo、スイーツとしてワンストップでデジタルマーケティング全体をカバーしようとするEloqua という構図の印象でしたが、今回の発表を受けてEloquaをはじめとするOracle製品郡も他テクノロジーとのエコシステムを構築するような方向性を強く感じました。
Marketo と Eloquaを製品戦略で比較 「エコシステム」か「ワンストップ」か
広範囲に及ぶデジタルマーケティング領域をすべて一つの製品群でカバーするのは難しいという一つの解が導き出されつつある。そんな印象を強く受けたイベントでした。