MA(Marketing Automation)ツールで、なにかと比較されるMarketoとEloqua。本記事では、MarketoもEloquaも使用している筆者が、「実際 、どう違うの?」という疑問に答えます。 第2回の今回は、”権限設定“編!
“権限設定“と聞くと、少し地味な印象を受けるかもしれませんが、意外にも、MAツール選定の場面では、その機能差が重要なポイントになる場合があります。
先に結論をお伝えすると、「ユーザーが使用できる機能を細かく管理したい場合」「アセットの被閲覧・被編集・被削除まで管理したい場合」はEloqua、「シンプルに管理したい場合」はMarketoがおすすめです。
それでは、それぞれ見ていきましょう!
そもそも、権限設定とは?
MAにおける権限設定とは、個々のユーザーができることの範囲を決めること。例えば、下記はMAの権限設定でよくある要望の例ですが、Marketo、Eloquaどちらでも満たすことができます。
・メールキャンペーンは、チーム全員が作成できるが、有効化はリーダーのみが行えるようにしたい。
・コンタクト(顧客)の情報は、全員が閲覧できるが、削除は管理者のみにしたい。
・社外の制作会社には、ランディングページの編集権限のみを与え、他の機能は使えないようにしたい。
MAツールは、顧客の個人情報を保有すること、メールなどを通じて顧客へ直接的なアクションを取れることから、リスクにもなり得ます。どんな企業でも適切に権限の管理を行うことが必要です。
基本的な機能は一緒。Eloquaの方がより細かな設定が可能
MarketoもEloquaも基本的な考え方と機能は同じです。Marketoではロール、Eloquaではセキュリティグループと呼ばれる、ユーザーが所属する任意のグループを作成し、グループごとににアクセスの権限と処理の権限を組み合わせて、使用できる機能を管理します。
アクセスの権限
アクセスの権限とは、ある機能にアクセスできる権利のこと。Marketo、Eloqua共に、アクセスの権限を付与しなければ、機能が表示されない、もしくは、クリックしても機能にアクセスができない状態になります。
例えば下図は、異なるユーザーでMarketoにログインした場合の、ホーム画面。
左側は、全機能のアクセス権限が付与されたユーザー、右側は、一部機能のアクセス権限が付与されたユーザーです。表示される機能が少なくなっていることが分かりますね。
Eloquaの場合は、メニューバーに表示される機能が変化します。
処理の権限
処理の権限とは、アクセスできる機能に紐づく、個別の処理を実行できる権利のこと。 例えば下図のように、「メールにアクセス」というアクセス権限には、「メールの編集」「メールの削除」「メールの承認」という処理権限が紐づいており、処理ごとに権限を定めることができます。
Eloquaの方が、アクセスの権限、処理の権限とも、設定できる項目が細かい粒度で用意されており、「ユーザーが使用できる機能を細かく管理したい場合」に適していると言えます。
Eloquaは、アセットの被閲覧・被編集・被削除の権限設定もできる
Eloquaでは、前述の機能の制限に加えて、「作成したアセットを誰が見れるか(被閲覧)、誰が編集できるか(被編集)、誰が削除できるか(被削除)」といったアセットの権限設定も可能で、この点はMarketoと比較した際の強みと言えます。
例えば下図では、マーケティング部のユーザーが作成したEメールアセットを誰が見れるか?という設定をしています。
同じ部署であるマーケティング部のユーザーは、表示・編集できるが、営業部や商品部は表示のみ、社外だが制作をお願いする制作会社は表示・編集ができる、というように、企業の要望に合わせた設定を実現可能です。
Marketoの良さはシンプルな管理!
対するMarketoの良さは、シンプルな管理が可能であること。例えば下図は、MarketoとELoquaの権限設定で使用する管理画面の比較です。
右側がEloquaですが、実はEloquaでは説明した機能(と、説明しきれなかった機能)を実現するために、6種類の、それぞれに膨大な項目を擁する設定画面を使用する必要があります。
対するMarketoは「ロールの編集」という1つの画面で全ての設定が可能です。
またMarketoでは、よく使われる5つのロール(管理者 、標準ユーザー、マーケティングユーザー、ウェブ デザイナー、分析ユーザー)が予め用意されており、企業によってはこのロールにユーザーを所属させていくだけで利用を始められます。
まとめ
今回は、”権限設定”の機能に絞って、MarketoとEloquaを比較しました。
Eloquaは高機能で、「ユーザーが使用できる機能を細かく管理したい場合」「アセットの被閲覧・被編集・被削除まで管理したい場合」に適しています。例えば、ユーザーが多く習熟度にばらつきがある場合や、ユーザーが複数事業部や社内外の関係者にまたがる場合などでの利用が考えられます。
一方で、企業によってはEloquaの機能はtoo much。「シンプルに管理したい場合」はMarketoの方が使いやすいという場合も十分にあるでしょう。
MAツールの導入を考える際には、「導入後に、自社ではどのような権限管理をする必要があるか」を予め明らかにし、どのツールであれば実現できるか、を確認してみてくださいね!
関連記事:MarketoとEloqua、両方使ったから分かった 〜何が違うの?メールエディター編〜