【注:この記事は2019年6月3日執筆次点の情報となります。】
 
MA(マーケティングオートメーション)を導入を検討している企業、MA自体は導入済みでより一層の活用したいという企業が多く有ると思う。そのMAにおいてユーザーのWeb上の行動をトラッキングするために使用するユーザー識別子は、MAのほとんどがCookieを利用している。
 
そのCookieにおいて最近大きな話題となったのが、タイトルにもあるITP2.1※である。ITP2.1は2019年3月25日にリリースされたSafari 12.1以降に搭載され、SafariにおいてはクライアントサイドのJavascriptで生成されたCookieは有効期限が最大で7日間となり、Cookieで行動トラッキングしているMAツールも少なからず影響を受けている。特にコンテンツマーケティングを実施しているような企業であれば通常のコーポレートサイトなどよりもスマートフォンによるトラフィックが多い傾向にある企業も多いであろうし、今後も企業のデジタルトランスフォーメーションが進むにつれ、BtoBであってもスマートフォンによるブラウジングが増えてくるため、決して無視できない問題である。
Intelligent Tracking Prevention 2.1

そこで今回はグローバルでの主要なMAツール(Pardot、Marketo、Eloqua)のITP2.1に対する対応状況を調べてみた。

結論としては現時点ではPardotのみITP2.1への対応策が存在している。(2019年6月3日時点)
 

Pardot:対応済

Pardotは、今回調査した中で、唯一ITP2.1にも対応している。 詳しくは下記に記載されているがトラッカードメインという機能があるおかげで、Pardot側にクライアントサイドのCookieを渡し、PardotサーバからHttpOnly属性のCookieとして書き込むことで対応を行っている。
https://www.linkedin.com/pulse/pardot-cookie-how-impacted-intelligent-tracking-arthur-imirzian
 

Marketo:対応未定

Marketoは、現時点で具体的な対応は未定とのこと。 弊社でも使用しているMAであり、弊社のマーケティングにも影響を与えるため、直接サポートにも問い合わせてみたが、先の回答であった。 ただし、MarketoはAdobeに買収され、かつAdobe Analyticsでは下記の通り対応策があるため、今後Marketoも同じような形で対応を行われる可能性もあるかもしれない。
https://medium.com/adobetech/safari-itp-2-1-impact-on-adobe-experience-cloud-customers-9439cecb55ac
 

Eloqua:対応未定

Eloquaは、現時点では対応未定の可能性が高い。 Eloquaの対応策を調べてもなかなか情報が出てこないが、Eloquaからの情報発信もITP2.0で止まっていることもあり、ITP2.1に関しては、殊更Marketoと同様に現時点では対応未定の可能性が高いと言えそうだ。
https://blogs.oracle.com/marketingcloud/overcome-intelligent-tracking-prevention-20-impacts-with-streams

上記のMAツール以外でも、もし現在MAを活用していてそれがITP2.1は対応していないのだとすると、ナーチャリングキャンペーンやスコアリングにも影響があるため、部分的に施策の見直しも必要となってくるだろう。

また、今回はMAツールの話だが、Cookieをベースにユーザを識別しているツールではどれでも同じ問題が起こる。ITP2.1のリリース前後で、それまで計測していた数値と大きく数値が変わるケースもあるため、まずはしっかりとITP2.1の内容を理解し、影響範囲を見定めた上で対応策を考える必要があるだろう。

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