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2021年12月、「SDGsアクションプラン2022」が発表されました。SDGs対応への関心は浸透しつつありますが、2022年、企業が特に注力すべき領域はどこなのでしょうか。本記事では、アクションプランの内容に触れつつ、企業活動やデジタルマーケティング領域のトレンドとの交点について考察します。
(書き手:宿木 雪樹)

SDGsアクションプラン2022概要

2021年12月24日に政府より発表された「SDGsアクションプラン2022」は、SDGs達成に資する施策の実施を一層加速させることを目的とした方針、及び具体な取組案や予算についてまとめたものです。
>> SDGsアクションプラン2022
 
本アクションプランは、SDGsの認知度を高め、必要性を啓蒙するフェーズから、より具体的な施策へと落とし込むフェーズへと移行するよう示唆したものとも捉えられるでしょう。

SDGsアクションプラン2022の大きな特徴として、優先順位付けが挙げられます。下記の8項目は特に優先度の高い項目として掲げられており、政府として重点的に対応していくことが記されています。
 

1. あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
2. 健康・長寿の達成
3. 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
4. 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
5. 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
6. 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
7. 平和と安全・安心社会の実現
8. SDGs実施推進の体制と手段

 
これらを企業の具体的な取り組みに変換してみると、下記のような施策例は重要性が高いと言えるでしょう。
 

1. 雇用におけるダイバーシティ実現、プロダクトやウェブサイトのユニバーサルデザイン対応、マイノリティに配慮したマーケティング
2. ヘルスケア領域における事業展開や取り組み、長く働ける職場環境づくり
3. 先端技術を活かしたイノベーション、地方創生につながるプロジェクト実施
4. インフラ整備のためのITソリューション提供、または活用
5. 省エネルギーに資する社内環境改善、再生可能エネルギーの活用
6. 環境保全に資する取り組み、サステナブルな商品開発
7. 児童虐待や貧困、性暴力への問題提起、解決に資するサービス提供
8. 上記のような取り組みを通じたSDGsのリードカンパニーとしての活動、他社との連携

 
上記を見ればわかるように、SDGsへの取り組みを具体化していくと、経営企画から労務、マーケティングまで、さまざまなレイヤー、そしてあらゆる部署を横断した包括的なアプローチが必要です。これを実現するためには、部署の壁を越えて施策をリードするSDGsチームを結成したり、年間計画を立てて全社的に通達したりといった枠組みを整えるところから始めなければなりません。

今まで漠然とSDGsを捉えていた企業も、2022年は本格的な施策を打ち出していく年と認識して挑みましょう。

企業発信のヒント―マーケティングにおけるSDGs2022

その中でもマーケターと親和性の高いデジタル領域に関わってくるトピックについて、いくつか紹介します。
 

5G、AI、クラウド化――適切な技術活用がSDGs達成に

5Gネットワークの浸透やAI技術の活用、及び包括的データ管理など、昨今注目されるトレンドの多くは、SDGs達成の観点からも注目されています。

例えば、5GネットワークとAI技術をかけ合わせることで重機の遠隔操作や自律施工を実現するソリューションを開発した大林組は、社員の自宅からの重機操作を実現した点で、持続可能な働き方を推進する大きな一歩を踏み出しています。また、医療現場では5G活用による遠隔治療の実証実験が進んでおり、健康維持における地域格差を解決するための試行錯誤が続いています。

低遅延かつ同時多数接続が可能な5Gネットワークが普及することで、各領域の技術革新は今後より一層加速するでしょう。特に、これまでデータ処理速度やキャパシティに課題があることで実現が難しかった業務自動化関連のツールは、目覚ましい進歩を遂げるはずです。

これらの動きは業務効率化や業務環境の安全性の向上、そして従業員の働き方改革といったテーマについて、問題を一網打尽に解決する糸口とも言えます。そして、これらのソリューション活用と共に得られるデータや、そのデータを管理するプラットフォームの成熟は、今後マーケティング領域にも多大な影響を及ぼすことが予想されます。

先端技術をマーケティング業務の観点から捉えるだけでなく、SDGsの優先課題と照らし合わせて解釈することで、マーケターはより視座の高い戦略を垣間見ることができるかもしれません。
 

イノベーション創出とデータプラットフォームの親和性

また、市場活動で取得し得る全データを包括的に管理・分析する基盤をもつことは、多くの企業にとって喫緊の課題と言えます。デジタルマーケティングに限ったトピックを挙げれば、CDPの興隆やABMという概念の浸透、それに伴うセールスとマーケティング、ユーザーサポートの領域の融合は、もはやトレンドと一蹴できないほど存在感を増しています。

最近の話題では、2022年4月1日施行の改正個人情報保護法にて、データ利活用に関する施策として「仮名加工情報」という新たなデータ分類が誕生しました。個人情報と匿名加工情報の間に位置するようなデータとして分類されますが、仮名加工情報が使えるようになることで、法律が企業のデータ活用を単に規制するだけではなく、データ活用をも促進する意味合いを持ちます。個人情報保護法もSDGsの観点でみると、データを使ったイノベーションを促進する意味合いをもつのではないでしょうか。

このように、データ管理に関するソリューションの昇華や各業界のデジタル化は、イノベーション創出の種子にもなり得ます。

NTTデータが提供するビジネスマッチングプラットフォーム『MD communet』は、交通環境情報を一元的に集約し、そのデータを活用した各社の事業創出をサポートしています。社会課題を起点としたデータ管理と、イノベーションを興したい企業同士のハブになる姿勢は、まさにSDGs達成に根ざしたデータサービス提供の好例と言えるでしょう。

各社がより柔軟に自社データの価値を捉え、インフラ整備や社会課題解決といった視座から活用していくことは、SDGs達成に資するだけでなく、企業価値を高めることにもつながります。また、企業の顧客データは、見方を変えれば社会課題のリアルを映す鏡とも捉えられるはずです。「売るため」ではなく「解決するため」のデータ活用方法を提案できる立場として、マーケターの活躍の幅は今後一層広がるのではないでしょうか。

2022年、SDGsを概念からアクションへ

今回は、「SDGsアクションプラン2022」の優先項目をもとに、マーケティングの視座から何ができるかを考えてみました。これまでSDGsを縁遠いキーワードだと感じていた方も、ぜひ戦略の一部としてSDGsを捉え直してみてください。

繰り返しになりますが、SDGs達成は一部企業、単一部署が取り組めば実現するものではありません。社会課題解決に紐づく企業活動を進められる足場を整え、具体的なアクションへと落とし込む一歩を踏み出しましょう。

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