AIに議事録を任せられるのか?

今日はAI議事録ツールをアンダーワークスに全社導入した経緯を共有します。
 
議事録をAIに任せる。以前からそのような考え方はあり、多くのツールが提供されてきたと思います。アンダーワークスでも、いくつかのツールを試したこともあります。コロナ以前だったこともあり、リアルのミーティングに利用するのに準備に一手間必要だったり、文字起こしの精度がいまひとつだったりと、実用には至らなかった経緯があります。コロナ禍で会議のオンライン化は一気に進んだのに、議事録だけは人が書き続けている…そんな状態が続いてきました。
 
再び試してみよう、と思ったのは昨年、生成AIの急速な進化がきっかけです。日本語の音声認識や自動要約の精度が格段に向上しているという実感があり、「そろそろ実用レベルに達しているのではないか」と期待が高まったからです。そこで、海外でも評価が高そうだったNottaというツールを見つけ、まずは無料版を試してみました。(確かG2Crowdで見つけたと思います)
 
実は日本語の会議というより、 海外の現地法人、シンガポールのClickr社のメンバーと英語でやり取りをする時の議事録や字幕に使えないかというのが本音ではありました。 というのも、日本語での文字起こしはまだまだ精度に課題があるのではないか、と思っていたからです。
 
ただ実際に使ってみると、日本語文字起こしの精度は100%ではないものの、AIによる要約をすれば、想像以上に内容を要約できていると感じ、有料版に切り替えて社長室で実験的に使ってみることになりました。会議の多くは、ZoomやGoogle meetなどのオンラインですし、Googleカレンダーと連携させることで、会議に勝手に参加し、録音・文字起こし・要約・メール通知まで自動でやってくれる——この一連の流れが“意識せずに議事録ができている”という体験で「これは本格的に活用できるかもしれない」と感じ積極的に全社利用を考え始めました。

tl;dv?なんて読んだらいい?Nottaとの比較

Nottaのトライアルの最中、ある社外ミーティングで相手の会社の方が使っていたのがtl;dvでした。これもNottaと同様に、Googleカレンダーから会議を検知し、ZoomやGoogle Meetに自動で参加してくれるツールです。基本的な機能はNottaと非常によく似ており、自動で録音・文字起こし・要約・サマリー送信まで一通り備わっています。一番印象的だったのは、なんて読むのかわからないツール、というところでした(笑)。ティーエルディーヴイとそのまま読むようです。(Too long, didn’t viewの略で、長すぎて見れなかったよ、というのがツール名の由来のようです)
 
機能差は少ないと思ったため、どちらのツールでも良いので早く全社展開のトライアルをしたい思いもありましたが、念の為両方有料プランを利用し、細かい比較もしてみました。
 
文字起こしの精度ではtl;dvの方が若干安定している印象があります。ただ、Nottaには社名や固有名詞を辞書登録できる機能があり、使い込めば最終的に精度で逆転する可能性もありそうです。Zapierとの連携はtl;dv、Nottaどちらもできます。弊社は、コーポレート業務の多くをZapierを本格的に使って自動化をしているのでZapier連携機能のチェックは大切です。翻訳機能に関してはNottaの方が良さそうでした。特にオプションプランの同時通訳機能は、海外とのミーティングで活躍しそうです。主だったところでは、

文字起こし精度はtl;dvの方が若干安定。ただしNottaは社名や固有名詞を辞書登録でき、長期利用では精度が向上する可能性も。
AI要約機能は、tl;dvが無制限に利用可能、Nottaは月50回まで。
翻訳機能はNottaが優位。特にオプションの同時通訳機能は、英語会議に非常に有効。
無料・有料ユーザーの混在利用では、tl;dvの方が柔軟。
Zapier連携は両者とも可能。ただ、実際に社内業務と連携させた際、tl;dvの方が設定、運用がスムーズ。


無料プランと有料プランを混在させて使えるtl;dvの柔軟さは選定にも重要な要素でした。全社展開を考えると、有料プランを一部ミーティングの多いメンバーに限定することは大きなメリットです。このあたりの柔軟さはtl;dvが優れていそうです。最終的に「どちらが優れているか」以上に「まずは使ってみることが大事」というスタンスで、費用的に全社導入しやすいtl;dvを社内にロールアウトしました。
 
実は同時にNottaも使い続けています。 やはり海外との打ち合わせで、 英語をリアルタイムに日本語にしてくれる価値というのもあると思いますので、 これは限られたメンバーだけが使い続ける有料ツールとして使うことにします。
 

目的は議事録ではなく、価値ある仕事に時間を使うこと

実はアンダーワークスがAI議事録に取り組む本当の目的は、「議事録作成の手間を効率化すること」ではなく、「もっとクライアントに向き合う時間を確保すること」です。議事録作成にかかる時間や、書き手による品質のばらつき、書かれないまま終わるといった課題を減らすことができれば、分析やアイデア創出など本来注力すべき仕事により多くの時間を割けるはずだと考えています。
 
葛藤もあります。 議事録の作成を通じて、クライアントやプロジェクトや論点を改造度高く理解したり、物事を構造化したり、整理したりすることは コンサルタントにとってとても大事なことであります。 特に経験が浅いメンバーにとっては、そこが 一つの通流問となっているものが26だったりします。 本当にそうした仕事をAIに任せていくことで 良いのだろうかというふうに今も悩んではいます。
 
それでもまず「やってみる」ことに価値があると考えます。ツールに正解があるわけではなく、使いながら最適な形を見つけていく。生成AIと人間がどう共に働くかを模索する中で、まずは「試してみる」ことから始める。そんな実験を、これからも続けていきます。

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