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  • 次世代RPA「Yoom」を使ってWordPressへの入稿を完全に自動化できるか…

 
生成AIの進化により、記事執筆の工数は飛躍的に削減され、短期間で大量のコンテンツを制作できる環境が整いつつあります。しかし、CMSへの入稿作業は依然として人手に頼る部分が多く、記事公開までのスピードアップを阻むボトルネックとなっていました。
 
そこで今回は、ハイパーオートメーションツール「Yoom」を活用し、NotionからWordPressへの記事入稿を自動化できるかを実際に検証してみました。

Yoomとは?

Yoomは、AI、API、RPA、OCRなどの先進技術を統合したハイパーオートメーションツールです。従来のRPAが単一業務の自動化に強いのに対し、Yoomは「人・システム・AI」が連携する複雑な業務フローの自動化を実現できます。ノーコードで使えるUIや、SlackやNotionをはじめとする200以上のSaaS連携により、さまざまな業務のハブとして活用できる点が特徴です。
 
今回Yoomを選んだのは、WordPressへの入稿自動化を模索していた際に、Yoom公式が公開していた『NotionのページからWordPressに記事を入稿する方法』という記事を発見したのがきっかけでした。テンプレートが用意されていたことで導入のハードルが低く、無料トライアルもあったため、まずは小規模に試してみようという判断で検証をスタートしました。

Yoomを使ったNotion⇨WordPressの自動化フロー

今回はYoom公式のテンプレート『NotionのページからWordPressに記事を入稿する』を参考に、Notion上の原稿を1クリックでWordPressに投稿できる仕組みを構築してみました。
 

1.Notion に原稿を格納

Notion上で、1原稿=1ページの形式で記事を作成します。これまでアンダーワークスでは原稿のフォーマットが統一されておらず、「Googleスプレッドシート」「Box Note」「Word」など、担当者ごとに異なる形式で原稿が作られていました。今回の検証にあたって、入稿作業の自動化に適したフォーマットとして、すべての原稿をNotionに統一することにしました。
 

2.Yoom でワークフローを構築

YoomにはNotionからWordPressへ入稿するためのテンプレートが用意されており、それを複製してカスタマイズする形でワークフローを構築しました。主な手順は以下の通りです。

ステップ0:事前準備
ステップ1:NotionとWordPressのマイアプリ連携
ステップ2:Notionの特定のページから起動するChrome拡張機能トリガーの設定
ステップ3:Notionの特定のページのブロック情報を取得するアクションの設定
ステップ4:データの変換を行うアクションの設定
ステップ5:WordPressの新規投稿を作成するアクションの設定

3.テスト実行

設定が完了したら、Chrome拡張のトリガーを起動し、実際にNotionからWordPressに記事が転送されるかをテストします。無事に記事が生成されたことを確認できたら、本運用への移行準備完了です。
 
テスト中には、「カンマ区切りのデータを改行に変換できない」という不具合にも直面しましたが、出力ステップの設定を「テキスト一覧」から「変換後のテキスト」に変更することで無事に解決しました。Yoomのサポートも迅速で、とても助かりました。

【検証結果】ワンクリックでの完全自動化にはまだハードルがある

検証の結果、「完全に自動での入稿」は現時点では難しいという結論に至りました。
 

 

課題①:構成の保持が難しい

Yoomでは、Notionページ内の要素(テキスト、見出し、画像など)が種類ごとの一覧として取得されるため、元の順序や構成を再現するのが困難です。
 

たとえば、

テキスト① → テキスト② → 見出し2-① → テキスト③ → テキスト④ → 見出し2-② →…

という構成の原稿でも、「見出し一覧」「本文一覧」と要素単位で出力されてしまい、順番どおりに組み立てることができませんでした。
 

(原稿の構成)
(実際の出力画面)

 

課題②:WordPress環境との相性

さらに、アンダーワークスのWordPress環境では、入稿後に改行が正しく反映されないという不具合も確認されました。これにより、入稿後に手作業での修正が必要になり、完全自動化とは呼べない状態となりました。
 
アンダーワークスでは、こうした課題を考慮し、現時点では自動入稿の本格運用は見送る判断をしています。
 

条件次第では「1クリック入稿」も実現可能

とはいえ、テキストだけで構成されたシンプルな記事であれば、Notion上の1クリックでの入稿が可能であることも確認できました。原稿構成を「自動化しやすい形」にあらかじめ整えておくことで、今後の活用の幅は広がりそうです。
 
また、Yoomは高い拡張性を備えており、今後はCRM連携や社内通知の自動化など、別領域での活用も検討しています。テンプレートの豊富さや直感的なUIにより、業務自動化のハードルを大きく下げてくれるツールだと実感しています。

まとめ

Yoomを活用したNotionからWordPressへの入稿自動化に取り組んだ結果、「完全自動化」は現時点では難しいという結論に至りました。しかし、テキスト中心の原稿であれば1クリックでの自動入稿は実現可能であり、特定の条件下では非常に有効な手段となり得ます。
 
本格的な自動化を実現するには、ツールの導入だけでなく、原稿構成や運用ルールを含めた業務フロー全体の見直しが必要です。自動化をどこまで取り入れるかは組織の方針によりますが、今回の検証がその判断材料のひとつとなれば幸いです。

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