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米国リテール店舗の顧客体験レポート(後編) | 海外視察

米国リテール店舗の顧客体験レポート(後編) | 海外視察

D
DMJ編集部

アンダーワークスの米川です。今回は現地リテール店舗の視察報告・考察の後編となります。まだ、前編を読んでいない方はぜひ前編も合わせてご覧ください。

店舗DXをプロダクト・サービス開発に展開

まず所感からですが、視察を通じて米国リテールでは実店舗とスマートデバイスで収集した顧客データ・購入データ・決済・ロケーションなどのデータを収集し、広告やCRMなどのマーケティング領域には閉じず、プロダクト・サービスや商品開発まで展開できているフェーズであると感じました。

これは経済産業省が出しているDXレポートの一部です。日本企業の多くは左下のDX未着手または途上の企業がまだ大半を占めていますが、今回視察した米国企業はデジタルプラットフォームの形成まで完了し、企業・事業変革を推進しているフェーズにありそうです。

[出典:経済産業省「DXレポート2 中間とりまとめ(概要)」]

https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-3.pdf

顧客データの分析から新規ブランド開発へ

最初に紹介するTargetはアメリカを中心に展開する小売チェーンです。衣料品、家庭用品、食料品、電化製品、おもちゃ、家具、コスメティックスなどの商品を販売するアメリカの最大手小売業者の1つとして知られています。

Targetの特徴としてPB(プライベートブランド)商品を多数展開しています。これはTargetが顧客、購買、商品データを分析して「どのユーザーがどんな商品を買っているのか」を分析しデータに基づき商品開発・デザインすることで売れる商品ことがほぼ確定しているといっても過言ではないブランドをリリースできていることが背景として挙げられます。

以下はTargetが展開する自社ブランドの一例です。Targetという名前を出さずに自社ブランドとしてターゲットを完全に分けてブランディングしています。

1. Archer Farms:ターゲットの食料品ブランドで、コーヒー、チーズ、スナック、シリアル、調味料、冷凍食品などを販売しています。

2. Up&Up:ターゲットの日用品ブランドで、ボディーソープ、歯磨き粉、洗剤、トイレットペーパー、ティッシュ、ビタミンサプリメントなどを販売しています。

3. Cat & Jack:ターゲットの子供服ブランドで、幅広い年齢層に対応したデザインの服を販売しています。

4. Threshold:ターゲットの家具ブランドで、テーブル、ソファ、ベッド、照明器具などの家具を販売しています。

5. Goodfellow & Co:ターゲットの男性向けファッションブランドで、ジャケット、ズボン、靴、アクセサリーなどを販売しています。

おしゃれなパッケージのポテトチップスがTargetブランド。メーカー品と比べると一目瞭然。どちらを手に取りたくなるでしょうか?

データを収集するためにはユーザーに会員登録してもらう、アプリをDLしてもらう、ログインをしてもらうというエンゲージメントが必要ですが、Targetの会員アプリで店舗の商品バーコードを読み取ることでアプリ内購入やレビューの確認などができるため、マーケティングやユーザー体験の観点で見ても非常に洗練されている設計であると感じました。

データの利活用から利益率の高い自社ブランド商品の開発・販売を推進することでビジネスを拡大させている良い参考例です。

町のホームセンターからリフォーム業者の派遣業へ

続いてご紹介するHome Depotは住宅リフォーム・建設資材・サービスの小売チェーンです。業態としては、ホームセンターをイメージしてもらえばわかりやすいと思います。日本のホームセンターと同様に資材の購入はもちろん、Home Depotが住宅リフォームのコンサルティングも提供しています。

顧客は店内のインストアモードのスマートフォンアプリから知りたい商品情報を読み取ったり、店内のポップのQRコードを読み取り、気になる商品を調べ、相談したい施工、リフォーム業者をアプリ上で選択し、その場で相談予約まで完結できます。

アプリ上ではAmazonやUberのレビューのようにリフォーム業者の名前とレビュー・口コミなども表示され、ユーザーが選びやすい工夫がされています。アプリだけでなく店舗内のPOPにもレビュー点数が掲載されていました。

「リフォーム資材を買いたいのではなく、いい感じにリフォームしたい」という顧客のニーズに上手く応えたユーザー体験設計になっていると感じました。

一方日本の小売DX事情は?

では日本企業は全然ダメなのか?というとそういうことでも無さそうでユニクロは独自アプリをリリース展開し、アプリ内での購入はもちろん、商品情報の読み取り等も可能です。決済についてはセルフレジ、RFIDタグを導入し、このあたりは米国よりも進んでいる印象です。

また、家具を製造・販売するニトリやホームセンターのカインズも店内モード(インストアモード)が利用できるアプリを提供しており、アプリで検索すると店内のどの棚にあるのかなども表示されるようになっていました。これも在庫情報とトランザクションデータを付け合わせた活用がないと実現されない体験だと思います。

一方で店内でアプリを利用している人がどのくらいいるのか?に関してはアメリカでも日本でも体感では「ほぼいなさそう」というのが正直なところです。

小売DXを推進するとき、それなりに大きなシステム投資が必要となるためROIをどの程度見込んでその判断をしていくのかという点は難しい論点のひとつだなと思います。

しかしながら、便利なことは確かで絶対正義なので私自身もユーザーとしてはストレス無く購買体験ができる世界観の実現を日本でも期待したいと思います。(コンサルタントとしても頑張っていきます笑)

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