BtoBマーケティングにおいて3rdParty企業データ(外部から購入する企業のデータ)は、ターゲティングや顧客データの企業軸での名寄せ、与信管理などあらゆるシーンで活用機会のある重要な要素です。そんな3rdParty企業データの中でも、今グローバルでは「インテントデータ」と呼ばれる種類のデータが注目を集めています。
これまで1stPartyデータだけで推測していた顧客の興味・関心を、自社と接点がなくても特定が出来るデータです。今回はこのインテントデータについて解説します。
インテントデータとは?
インテントデータを一言で表すと、「顧客の興味・関心事項を特定するデータ」となります。このデータがあれば、マーケティング施策をより精度高くパーソナライズすることや、アプローチの優先順位の判定に利用が可能です。
従来であれば、自社Webサイトにアクセスしてきた顧客の閲覧ページやDLコンテンツを元に推測することでしかこうしたデータを得ることは出来なかったのですが、外部のWeb行動(メディアサイトの閲覧)を元にした「企業の興味・関心」の情報を販売するベンダーが徐々に現れ始めています。後者のデータが、冒頭に挙げたグローバルで注目されるインテントデータ、正確に言うと3rdPartyインテントデータになります。
もう少し分かりやすくすると、例えば「デジタルマーケティング」「マーケティングオートメーション」と言ったカテゴリに対する関心や、より製品ピンポイントな「Eloqua」「Marketo」などの特定キーワードに対して興味・関心を持つ企業リストが手に入るとイメージを持っていただけると良いと思います。
裏側の仕組みとしてはIP to Companyの技術(アクセス元のグローバルIPから企業情報を特定する)がこのデータ生成を可能にしています。 インテントデータベンダーが提携している数多のメディアサイトや商品比較サイトなどにこの技術を適応させることで、どの企業が、何のコンテンツを閲覧しているかのデータを蓄積出来るようになります。例えば、アンダーワークスという企業に所属している私やメンバーが社内セキュリティの見直しを検討する中で「情報セキュリティ」関連の事例記事に毎日のようにアクセスしていれば、裏側ではインテントデータとして「アンダーワークスは直近情報セキュリティの分野に関心がある」という判定される、といった具合です。
情報収集の段階からいち早くアプローチをすることで、競合他社よりも早く接点を持てる可能性は高まるでしょう。
インテントデータを提供するベンダー
グローバルでは最近Marketoとの連携が発表されたbomboraやAberdeenが主要ベンダーとして挙げられます。また、ツールレビューサイトのG2Crowdが、掲載するツールの閲覧者データを元にしたツールに関するインテントデータの提供を実施するなど、よりトピックを絞ったデータなども出てきています。国内では昨年7月からサービスローンチしたIntimate Merger社が提供するSelect DMPが現状国内で利用できるインテントデータの唯一の選択肢となっています。
インテントデータ単体よりも自社データと組み合わせた活用を
魅力的なインテントデータですが、このデータは自社の他データと組み合わせて考えるべきです。なぜなら、特定キーワードに興味・関心のある企業リストが定期的に上がってきたとしても、それだけではそのデータをもとにどうアクションを取るべきかの判断がつかないからです。リスト一覧に電話を掛けてみても、必然的に代表電話からのアプローチとなってしまい、せっかくの興味・関心の情報が受付止まりとなってしまう可能性が高いです。
一方で、自社データとインテントデータを組み合わせると、以下のような使い方が出来ます。
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如何でしょうか。自社のデータと照らし合わせることで、狙いたい企業に対する打ち手のバリエーションが広がり、施策の精度の向上が見込めます。なお、自社データと3rdPartyインテントデータを組み合わせる際には、異なるデータ同士の『何』をキーに名寄せするのか、『どこ』でデータを管理するのかといった点も合わせて考えていくと良いでしょう。
昨年のMartech BostonでのBtoB関連の講演で頻繁に耳にしたワードの1つがインテントデータです。これまでは既存顧客の分析や業種・規模といった属性、ないしは経験や勘から推測するしか術がなかった「自社サービスに潜在ニーズのある企業」を対象企業(の担当者)の実際の行動から特定できることはBtoBマーケターの必需品になるはず。ぜひ最新トレンドとして動向をウォッチしていきましょう。