5月9日-11日にサンフランシスコで開催されているMartechに参加しています。
Martechはまだ日本では馴染みのないイベントですが、2014年にボストンで始まったMartechは今年で4回目。マーケティングテクノロジーに特化したイベントです。多くのベンダーやユーザー企業が集まり、トレンドや事例を共有するイベントとなっています。
Martechは聞いたことがなくとも、「マーケティングテクノロジーランドスケープ」のカオスマップを見たことがある人は多いと思います。
マーケティングテクノロジーランドスケープ(Marketing Technology Landscape Supergraphic)は、マーケティングテクノロジー企業のロゴを1枚にまとめたスライドです。2011年には150程度の企業ロゴだったものが、この数年で指数的に増加し、昨年2016年バージョンではロゴの数は3,500にまで増えました。
このスライドを、Chiefmartechというブログ上で公表することを思いつき、毎年更新しているのが、ION(イオン)インタラクティブのファウンダーのスコットブリンカー氏であり、Martechの発起人です。
Martech初日のキーノートでは、ブリンカー氏が基調講演を行い、2017年版のマーケティングランドスケープが公表されました。
マーケティングテクノロジーは前年比で4割増加、5,000を超える
2017年版のマーケティングテクノロジーランドスケープでは、4,891のテクノロジー(前年比40%増)・5,381のソリューション(前年比39%増)となりました。既に、画面全体に図を拡大してもどの企業のロゴかが判別できなくなっています。
2016年と比較すると、240程度のテクノロジーが昨年のランドスケープから削除され(市場から撤退もしくは買収)、170程度のテクノロジーがサービス名やロゴを変更しているとの解説もありました。また、7%が大企業、44%が中堅・中小企業規模、49%がスタートアップ企業だとの統計も発表されました。
米国が中心ではありますが、多くのアジア・ヨーロッパ・オーストラリア・アフリカからの企業もまとめられており、年々グローバルの度合いが増しています。
マーケティングは顧客中心。企業によって大きく異なるのだからロングテールであるべき
年々増え続けるマーケティングテクノロジー業界はVCの積極的な投資も相まってますます増えていくように見えいます。大手ITベンダーによる買収も積極的に行われ、AdobeやOracle、Salesforceなどがスイーツとしてのプレゼンスを高めています。
いずれは多くのテクノロジーの統合・撤退が進んでいくのではないか、という意見もありますが、スコット氏は別の考え方を示しています。
スコット氏は講演の中で以下のように述べています。
これは非常に興味深い示唆だと思います。
マーケティングテクノロジーの選択において、市場シェアや顧客数の多さなど「メジャーな」テクノロジーを選ぼうという企業も多いと思います。しかし、それでは他社と同じになるだけなので、自社の顧客のニーズにフォーカスすべきだというのです。
特に日本企業においては、「みんなが使っているなら使ってみようか」という視点でツールを取り入れるケースが多くあると思います。
しかし、もう一度マーケティングの原点にたって、「顧客のニーズは何か」「カスタマージャーニーはどうあるべきか」「どのようなコミュニケーション・エクスペリエンスをどのチャネルで行うか」を見定め、自社の狙いを実現するテクノロジーを取り入れていくべきではないでしょうか。