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  • AI搭載型スマートスピーカーはマーケティングにどんな変革をもたらすか

 
Googleの開発者向け会議「Google I/O」にて先日、音声アシスタント「Google Assistant」の日本語対応及びGoogle Assistantを搭載するスマートスピーカー「Google Home」の日本での販売予定が発表されました。
 
それに先行して、Amazonは全米で大ヒットしているAIのAlexaを搭載したスマートスピーカー「Echo」の次世代機、「Echo Show」(ディスプレイ搭載型スマートスピーカー)の発売を発表したばかりです。

こちらは正式発表はまだですが、今年中に日本語対応・日本発売がされるのではないかとの噂もあります。

普及期に入りそうな兆しのAI搭載型スマートスピーカー

米国では、2016年にすでに1,000万台近いスマートスピーカーが販売され、2017年には3,300万台にまで拡大するとの予測も発表されています。現時点での販売状況では、Amazon Alexa(Echo)が1歩リードするなか、Google、Apple、Microsoftなど大手ベンダーがしのぎを削っています。

スマートフォンの次は何か、という話題にまだ答えはでていませんが、どうやらこのスマートスピーカー(AI搭載型音声認識スピーカー)というのは本命の一つになりそうな勢いです。

音声でインターネットにつながり、あらゆる情報取得・アクションが可能に

スマートスピーカーのキラーアプリが何になるのかは、今まさに現在進行中で競争が始まったところです。AlexaのSkills(スマートフォンでいうアプリのようなもの)はすでに10,000近くになっており、有名ブランドから旅行会社・テレビ番組まであらゆるベンダー・企業がアプリケーション開発競争を始めています

こうしたスマートスピーカーによって、消費者のライフスタイルはどのように変わるか、皆が大きな関心を寄せています。私も米国でEchoを入手し使ってみましたが、今のところ以下のような使い方が便利だと感じました。
 
・「Headline News(今日のニュース)」と話しかけると、様々なソースの最新ニュースを伝えてくれる(CNNやBBC、Techcrunchなどから最新ニュースのストリーミングを抜粋してくれる)
・「Bossa Nova(ボサノバ)」などジャンル名やアーティスト名でBGMを流してくれる。(Amazon MusicやTuineInRadioなどから音楽を流してくれる)
・こんど買いたいものを音声で伝え、欲しいものリストにいれてくれる。
・今日の予定を聞くと、予定を伝えてくれる、また予定を声で登録できる。
・「行ってきます」と話しかけると、今日雨が降るかを教えてくれる。
・「お腹が減った」と話しかけると、最寄りのデリバリーフードに繋いでくれる
・赤外線デバイスと繋いで、TVやエアコンのON/OFFを音声でコントロールする
 
家電を始め、あらゆるデバイスがますますインターネットにつながるようになる中、こうした「話しかけること」で達成できる行動はどんどん増えそうです。(そして、違和感があるのは最初の何日かで、慣れてしまうと本当に便利に感じます)

スマートスピーカーがデジタルマーケティングに与えるインパクト

ではスマートスピーカーが世帯に普及した未来(がやって来ると仮定し)のデジタルマーケティングはどのようなものに変化しているでしょうか。
 
そこには、「音声で顧客とつながる」未来があるかもしれません
 

顧客の「検索」が「キーワード」から「音声」になると・・

「Webページへの集客」というものは現在でも非常に重要な領域です。検索エンジンからの流入を増やす「SEO」は15年以上の歴史をもち、お金をだして被リンクを稼ぐ手法が淘汰されるなど形を変えながら発展してきました。

また、ディスプレイ広告・キーワード広告・動画広告など様々な形態・手法のネット広告が存在し、潜在顧客へのリーチに重要な役割となっています。

こうした「ユーザーの検索行動」が「キーボードのタイプ」から「音声」に変わる社会では、いかにスマートスピーカーに正確にコンテンツを理解してもらっているかが大事になるかもしれません。また、Alexa Skillのようなアプリケーションの提供が現在のスマートフォンアプリ以上に重要になるかもしれません。
 

顧客の「購買」が「ECサイト閲覧・購入」から「音声」になると・・

検索同様、購買行動もスマートスピーカー経由になるものがでてくるかもしれません。

Amazonダッシュによって、ブラウジングをすることなく特定の商品を購入するようなライフスタイルは既に実現しています。

もし、スマートスピーカーで日常的な買い物を済ませる顧客が増えると既存のECサイトはどうなるでしょうか。Alexa/Echoのシェアが高ければ、ますますAmazonプラットフォームへの依存度が高くなる可能性も容易に想像できます

「シャンプーがもうなくなりそうだよ」といった日常会話をAlexaが拾って、Amazonから注文が自動的に行われ、1時間後には届いている。そんな世界がすぐにでも実現するかもしれません。
 

顧客とのコミュニケーションがスマートスピーカー経由になると・・

現在、チャット型の顧客コミュニケーションが大きく注目され、AIを活用したチャットボットなども実用化が進んでいます。と言いつつも、多くのビジネスでは、フリーダイヤル番号を通じたコールセンターをカスタマーサービスの中心に据えている企業はまだまだ多いでしょう。

スマートスピーカーを通じた顧客コミュニケーションが普通になる世界では、これはどう変化しているでしょうか。

スマートスピーカーとAIを介し、顧客とのQ&Aが行われることが実現していくのではないでしょうか。

顧客は、電話の有無・フリーダイヤル番号の検索・オペレーターの順番待ちなどから解放され、居間にあるスマートスピーカーに話しかけるだけで、様々な企業のカスタマーサポートを受けられるようになるかもしれません。

顧客行動に大きな変革があるからこそビジネスの機会がある。それがマーケティングの面白さ。

このような未来は2年後にはとっくに実現しているかもしれません。

これは、マーケティングに関わる担当者にとってある意味で大きな不安材料にもなるでしょう。今までやってきたことが突如として効果がなくなってしまう可能性があるからです。

しかしながら、これはマーケティングに従事する人たちにとって、とてもエキサイティングな事でもあります。

つい10年前まで、スマートフォンは全く普及しておらず、多くに人がガラケーの公式サイトのこを考えることがモバイルマーケティングだと思っていました。また、7-8年前まで、顧客認知やコミュニケーションがSNS経由でダイレクトに行われることは、(予想はされていたものの)ほとんどされていませんでした。

「顧客のライフスタイルの変革をマーケティングに取り入れて行くことこそが、マーケティングの重要な役割」だと理解する企業が、大きな成功を収めて行くのだと思います。

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