マーケティングオートメーションの大事な機能:クッキー活用
マーケティングオートメーションツールには、クッキー(cookie)を利用してユーザーのWebサイト訪問履歴をトラッキングする機能が装備されているものが多い。
これによって「XXのページを最近3ヶ月以内に訪問した人だけにEメールを送信」といったキャンペーンが可能になる。
これは、ブラウザを特定するためのクッキーを利用しているが、クッキーには「1stパーティクッキー」と「3rdパーティクッキー」が存在する。この1stパーティクッキーと3rdパーティクッキーの違いを理解しておくことは、マーケティングオートメーションの選定・導入に重要だ。
1stパーティクッキーと3rdパーティクッキーの違い
1stパーティクッキーとは、クッキーの発行元がユーザーが訪問しているWebサイトのドメインから発行されるもの。一方、3rdパーティクッキーとは、ユーザーが訪問しているWebサイトのドメインとは異なるドメインから発行されているクッキーのことだ。
したがって、3rdパーティクッキーであれば、Webサイトのドメインが異なる複数サイトを運営していても、ドメインを跨いでユーザーのトラッキングが可能だ。
例えば3rdパーティクッキーを利用すると、dmj.underworks.co.jpというWebサイトへ訪問した際、sXXXXXX.eloqua.com というマーケティングオートメーションツールの(3rdパーティ)ドメインからクッキーが発行される。後日、ユーザーが、digitaluw.jpという別ドメインのサイトに訪問した際でも、同様にsXXXXXX.eloqua.comというクッキーによってトラッキングが可能となる。
一方1stパーティクッキーでは、クッキーは基本的にユーザーが訪問したWebサイトのドメインから発行されているもの。したがって、別ドメインにユーザーが訪問した際には、全く別の人物として訪問履歴がトラッキングされる。なんらかの方法でこれらのデータを紐付けを行わない限り同一人物としてのトラッキングはできない。
ドメインだけを考えれば3rdパーティクッキーが有利に思えるが・・
上記の例を考えると3rdパーティクッキーでのトラッキングにメリットが多く思える。大手企業となれば、複数のドメインのサイトを保有しており、サイト間の往来を一貫してトラッキングしたいというニーズが高いだろう。だがデメリットも考える必要がある。
3rdパーティクッキーは、ユーザーが訪問しているWebサイトのドメインとは全く関係のないドメインから発行されるものであり、セキュリティ上の問題からブラウザから拒否されるケースが多い。(そして、その傾向は今後増していくと思われる)
ブラウザには、クッキーの受け入れを設定する機能があり、3rdパーティクッキーの拒否は簡単に設定できる。Chromeであれば、設定→プライバシー→コンテンツの設定を開くと、「サードパーティのcookieとサイトデータをブロックする」というチェックボックスがあるはずだ。
Safariでは、3rdパーティクッキーをデフォルトでブロックしている。PCでSafariを利用している人はマイノリティだろうが、スマートフォンではどうだろうか。iPhoneユーザーの多くがSafariを標準で利用しているだろう。3rdパーティcookieを利用するとモバイルユーザーの多くをトラッキングできない、ということになってしまう。
複数ドメインをとるかスマートフォンをとるか
マーケティングオートメーションツールがどちらを(もしくは両方を)サポートとしているかはまちまちだ。例えば、Eloquaは3rdパーティクッキーが標準でオプションとして1stパーティクッキーを選択できる。Marketoは1stパーティクッキーだ。
Eloquaのようにどちらにも対応している場合でも、通常は初期設定時にどちらかを選ぶことになる。この場合、複数ドメインのトラッキングとモバイルユーザーのトラッキングのどちらを優先するかを議論するケースもよく見受けられる。
長期的なことを考慮すれば、3rdパーティクッキーは拒否されていく傾向にあるため、1stパーティを選びドメインを統合していく方向性が理にかなっているかもしれない。
いずれにしても、マーケティングオートメーションの導入時に、ユーザーのトラッキングに関して1stパーティと3rdパーティクッキーのどちらを利用するか、という議論があることを覚えておきたい。