デジタルマーケティングのトレンド「パーソナライズ」を簡単実践
データを活用し、顧客一人ひとりに合わせて施策を最適化(パーソナライズ)することが施策の効果を高めることは周知の事実です。 しかし、何を実施すればいいのか分からず、なかなか実現にこぎつけない、またはやってみたはいいが大量配信に比べて効果が出ない・・・という課題をお持ちの方も多いのではないのでしょうか。
今回は、非常に高い効果が期待できるにも関わらず、BtoBマーケターが比較的簡単に実施できる『メールマーケティングのパーソナライズ施策の第一歩』をご紹介します。
BtoBだからこそ出来る、「メール差出人のパーソナライズ」とは
『顧客の業種・業態、過去のアクションに合わせて送信するメール自体を変える』ということは、メールをその分だけ作成するという労力をかけさえすれば、実行出来ます。しかし、労力をかけて作ったメールも、読んでもらえなくては意味がありません。パーソナライズメールを頑張っても、結局大量送信にはかなわないという声も聞こえます。
例えば仮に以下のように算出してみましょう。パーセンテージは高いのに、総数での効果では低いというケースです。
頑張ってるパーソナライズメール
1000人送信>100人開封(10%)>5人クリック(0.5%)
大量送信
50000人送信>2500人開封(5%)>25人クリック(0.05%)
これでは、練りに練って労力をかけたメールも水の泡です。そのため、メール施策で真っ先に行うべきは、開封率を向上させる施策を打つことなのです。そこでオススメしたいのが『メール差出人のパーソナライズ』です。
自分自身の状況としてイメージしてみてください。出社後にはまずメールチェックをしますよね。まず何を確認しますか?おそらく大半の方は「誰から来たメールなのか」を見るのではないでしょうか?具体的には「名前を知っている個人」か「何らかの事務局」なのか。このチェック自体が、その一通を開封するかどうかの分かれ目になっているのではないでしょうか?
つまり、開封率を向上させる一つの解はメール差出人を、配信相手が認知している名前。すなわち知っている個人にするということなのです。これは、事業側と顧客側の人と人が直接の接点を持ち、名刺交換というお互いを名乗る場のあるBtoBビジネスだからこそ実現できる施策です。実際に、とあるクライアント様でこの取組みを実施した際には、通常配信と比べて開封率が約2.5倍、CTRが約8倍アップしたという成果も出ています。
但し、この施策をツール無しの気合で行うとしたらかかる労力が相当に高いです。もし手動で行うならば以下のフローになるでしょう。
・マーケティング部がメールの配信対象をリストアップ
・配信対象者と接点のある自社担当者が誰かをヒアリング調査し、突き合わせした一覧データを作成
・それぞれの自社担当者に依頼し、メールを配信対象者それぞれへ送ってもらう、あるいは一斉メール配信ツールがあるのであれば、担当者分に分けて、メール配信を行う
データ作成のためのエクセルワークが大部分を占めます。配信対象の取り違えのリスクも非常に高いです。正に地獄です。いくら効果が高くても、定常的に行うには、労力としての費用対効果が合いません。あまりにも非現実的な施策になってしまいます。
名刺管理ツール×MAで運用工数を最小化!
ところが、テクノロジーを活用することで、地獄のような運用工数を最小化する事ができます。ここで利用するのは名刺管理ツールとマーケティングオートメーションツール(以下:MA)です。
まず、メールの配信対象に対する自社担当者の関連付けに、名刺管理ツールのデータを利用します。名刺管理ツールはSanSanの普及が高いと思いますが、SanSanのみならず大抵の名刺管理ツールには名刺に対して「自社の誰が名刺交換をしているか」というデータをエクスポート出来るようになっています。
このデータを利用することで配信相手に対する自社担当者のデータを作成する工数を削減出来ます。「配信相手1人に対して名刺交換した」という限られた担当者の中から選択するので、差出人の取り違えのリスクはかなり軽減できますし、仮に取り違えたとしても少なくとも名刺交換はしています。配信相手は取り違えられたことに気付かないでしょう。
但し、Web問い合わせやホワイトペーパーのダウンロードだけという名刺交換をしていないというWeb接点のみの場合には、配信対象には名刺管理ツールによる紐付は実施できません。 こういった場合には、CV時のThank youメールを送る際の差出人を今後の担当者としておくことがおすすめです。この辺りの自動化は、MAの得意分野ですね。
そしてメール配信時にはMAの真価が発揮されます。MAはリードに関連する様々なデータの管理や、それらのデータを軸にしたメール配信時の条件分岐設定や動的なコンテンツ変更が得意なツールです。
すなわち、前段での配信対象に対する自社担当者の関連付けを実施出来れば、配信対象に合わせて自動で差出人の名前を変更することが可能になるのです。なお、MAツールの有名所のOracle Eloquaでは「署名ルール」という機能を利用して、配信先に合わせて動的な差出人の変更が可能です。
いかがでしたでしょうか。今回は開封率を上げるために効果的な手段であるメール差出人のパーソナライズと、そのパーソナライズを効率的に実現するための名刺管理ツールとMAの活用方法をお伝えしました。メールの開封率をもっとあげたいなぁとお悩みの皆様、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?