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  • Customer Data Platformとは?8つの製品を比べてCDPを理解する。 | マ…

今、デジタルマーケティング界隈で頻繁に取り上げられているテーマのひとつがCDP(Customer Data Platform/顧客データプラットフォーム)ではないでしょうか。

AdobeやOracle、SAPなどの大手ベンダーからもCDPのカテゴリとしての新製品発表がリリースされるなど、CDPは今後もますます注目される領域となるでしょう。
しかし、CDPは具体的な施策の見え辛い部分でのソリューションであるため、各ツールの特性や機能差もなかなか見え辛い領域であり、どんな観点でCDPを比較・検討していけばよいのか判断に迷うケースも多いと思います。
 
そこで今回は国内で利用可能なCDPツールを中心に、機能/特徴の比較を行いながらCDPとはそもそもどのようなテクノロジーなのか、どのような選択肢があるのかを紹介していきます。

そもそもCDPとは?

CDPとはCustomer Data Platformを略したものであり、各所で様々な定義がされています。我々アンダーワークスでは、CDPを次のように定義しました。

「様々な顧客データを一元管理し、なんらかのキー・識別子で顧客(人)ベースでデータが統合されている仕組み。他のマーケティングツールと繋がりマーケターがマーケティング施策実行に活用できるテクノロジー」
ポイントは、「顧客(の中でも個人)」単位でデータ(属性データや行動ログ)を統合し、その上でデータをマーケターが自由に抽出し、広告やメール、分析などのマーティング施策に利用できることです。この点が従来のDWHや3rdPartyDMPとは異なる部分と言えるでしょう。

CDPテクノロジーは国内・国外で合わせるとすでに100近いテクノロジーが存在しているのですが、いずれにも共通している機能は以下となります。 外部テクノロジーからCDPへのデータ収集 CDP内での顧客IDベースの名寄せとセグメンテーション CDPから外部テクノロジーへのデータ連携 CDPの概念やDMPとの違いについては過去の記事でも詳しく解説しておりますので、こちらも参考にしていただければと思います。

カスタマーデータプラットフォーム(Customer Data Platform、CDP)とは?

CDPテクノロジーを導入することでどのようなメリットがあるのか?

結論から言うと、パーソナライズ精度の向上です。

デジタルマーケティングの発展は、言い換えれば顧客接点をテクノロジーの力を使って強化する営み。顧客接点をより手広く、より深めていく取組と言えます。
そこで、MAやCMS、DSPなどの顧客接点をより最適化するためのマーケティングテクノロジーが生まれ、そして発展してきました。MAやCMS、DSPなどの各テクノロジーは、各顧客接点を最適化するために顧客データを溜め、そのデータを用いて施策を実施していきます。
  
しかしながら、より顧客接点を手広く、より深めていく取組を実施すればするほど各テクノロジー自身に「その接点にまつわる」データが蓄積されていき、テクノロジー間のデータの「分断」が加速してしまいます。
結果として、この顧客への接点がテクノロジー間で分断されることで、自社が顧客ニーズを検知できる機会を阻害する要因となってしまうことも往々にして起こります。
 
だからこそ、これらの分断した顧客データを統合し、あらゆる接点の顧客のデータを集めて顧客理解を深める、そのデータを用いてパーソナライズにつなげるCDPが注目されているのです。
ちなみにこうした顧客のデータを包括的に統合した状態を「シングルカスタマービュー」や「360°顧客ビュー」と表現することもあります。

CDPテクノロジーの比較

ここからはCDPテクノロジーの比較をしていきます。
今回はCDP(もしくは1st Party DMP:こちらの詳細は上記過去記事を参照ください)と称し、現段階で国内での利用可能なサービスを中心に比較、特に各テクノロジーの強みとなる機能特徴を紹介していきます。

ただし、CDPというカテゴリの要件を満たすには、様々なチャネルのデータを収集して統合することが必要です。そのため、CDPの本質的な目的はどのテクノロジーでも満たすことが出来るとも言えます。つまりCDPと”言ったもん勝ち”な部分があるのが実情と前置きしておきます。
 
なお、CDPテクノロジーの各製品ごとに、外部とのデータ連携を簡易に実現するための連携コネクタを設けており、標準で繋がる・繋がらないといった細かい機能差が、大きく製品の特徴とも言えます。
 
そこで、筆者が感じるCDPテクノロジーそれぞれの強み・苦手なところをご紹介していきます。ただし、「横並びの比較ではなく」、同時に「記載がないから出来ないと直結するものではない」ことはご了承ください。まずは違いがあるんだな、という感覚を得てもらえればと思います。
 

Arm Treasure Data

おそらく国内のCDPでは最も知名度があり、数多くのエンタープライズに採用実績を誇るスケーラビリティ、セキュリティが強みです。
対応コネクタも幅広く、Salesforce系(Sales Cloud、Marketing CLoud)やMarketo、EloquaなどのMA、Google Anlytics、Domo、Tableauなど国内シェアの高いテクノロジーとの連携設定は簡易に実施できる点が導入・運用のしやすさに繋がります。
 
また、独自の機械学習機能であるHiveMallを用いて統合データを高度に分析することも可能です。
一方、データの収集やセグメンテーションの実施は簡易に出来るのですが、そのデータを元にした施策活用やダッシュボード作成は、セグメント作成→データの連携を実施した上で、連携先で毎度の設定が必要になります。そのため、単にArm Treasure Dataを導入しただけでは、設定などが楽になるわけではなく、むしろ運用負荷が増える可能性が高いという点は念頭においたほうが良いでしょう。(もちろんセグメントを絞る分、施策精度の向上は期待できます)
 

Ensighten

顧客データ管理とは切り離せないプライバシーマネジメント、とりわけWeb上での同意管理(コンセントマネジメント)に強みを持ちます。
GDPRを始め、各国法規制において個人情報の取扱いが、より一層厳しくなっていく中で、コンセントマネジメントも含め、CDPとして顧客データを管理・活用していくことを目指しています。
 
グローバル企業においては個人情報の観点での対応も不可欠です。CDPテクノロジーを攻めの施策活用として使う用途とは別に切り離し、個人情報を堅牢に取り扱うという守りのデータ管理ソリューションとしてEnsightenを検討することは一考の価値有りでしょう。
 

Rtoaster

レコメンドエンジンに強みを持ち、セグメント毎のコンテンツの出し分け、最適化のためのデータを提供することが得意です。
 
ただし、判定に利用するための1stPartyデータを収集するためのコネクタは少なく、CSVファイルでのデータメンテナンスの運用が必要になります。自社がWebパーソナライズを徹底的に実施したいと考える場合には効果が高いですが、簡易に実施してみたいと言う程度であれば過剰性能と言えるかもしれません。
 

Tealium AudienceStream™

Tealium AudienceStream™の強みは、タグマネジメントをベースに発展してきたリアルタイムアクションにあります。Web上での行動を収集し、興味・関心事項の測定を行い「バッジ」と呼ばれるフラグ付けを実施します。バッジごとのアクションをあらかじめ定義しておくことで、例えば「A商材関連のページをn回見たら関連コンテンツのポップアップを出す」などのシナリオを即時に実施できます。

またGUIでの顧客セグメンテーションなども実施できます。 しかしながら、あくまで重きはリアルタイムアクションに置いているため、膨大な静的なデータの管理(属性や取引実績)と、それを軸にしたセグメンテーションはパフォーマンス上あまり得意ではありません。
 

Segment

Tealium同様、Web上の行動を収集し、外部テクノロジーへのリアルタイムな連携を売りにしたテクノロジーです。
フリーミアムで利用できるプランもあり、簡易的なPOCの実施などには一番踏み切りやすいと考えます。近々日本への進出を実施するという話もあり、今後に期待のテクノロジーです。
 

アクティブコアマーケティングクラウド

顧客データ統合だけでなく、データ分析、レコメンド、MA機能まで包括して1プラットフォームで実現が出来る点が強みです。
前述のTreasure Dataのようにデータの蓄積後、施策連携の際は外部テクノロジー上での設定が必要なケースが多いCDPの中でも、施策連携までシームレスに実施できるのは魅力です。ただし、既存テクノロジーがある中では機能重複も起こり得るので、運用の切り分けには注意が必要です。
 

INTEGRAL-CORE

アドテクノロジー関連の開発に強いエバーライズ社が提供するCDPです。
パッケージソフトと侮るなかれ、提供元の強みが開発という点もあり、特に広告領域のカスタマイズ性に柔軟性があります。
なお、国産テクノロジーでは唯一米国のCDP Instituteという協会に所属していることもあり、今後の発展に期待が持てます。
 

Lytics

カスタマージャーニーを意識し、顧客のフェーズに対して施策を自動実行していく「データオーケストレーション」に重きを置いたCDPです。
セグメンテーションから施策への連携の難しさに課題が残るCDPのブレークスルーとなる可能性を秘めています。日本法人はまだないのですが、Martechのプラチナスポンサーを連続して務めるなど、USデジタルマーケティング界隈では非常に勢いのある注目テクノロジーです。
 



以上、注目のCDPを取り上げてみました。一点、注意したいのは、顧客データ統合をするだけ、ひいてはCDP導入だけでは「価値を生む」のは難しいということです。そのデータを利用してどのような施策を行っていくか、といったマーケティングビジョンと具体的な取り組みアイデアを先行して考えていくことが重要です。

競合やベンチマークが利用しているからという理由だけではなく、自社での具体的な活用アイデアとともに検討を進めることで、CDP導入を成功に近付けることが出来るでしょう。

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アンダーワークスでは、CDPの選定・導入・運用の実績がございます。 顧客の事をさらに深く把握出来るためのデータベースの構築を検討される方、導入したCDPの運用にお困りの方は、是非お気楽にご相談ください。

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