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マーケティングデータマネジメントでは、基盤となるデータを適切に収集することが重要です。データ収集は、データ分析や意思決定のための情報基盤を構築するプロセスであり、収集されるデータの質はその後の分析結果の信頼性に直接影響します。低品質のデータは分析結果の信頼性を低下させ、ビジネスの意思決定に悪影響を及ぼすため、量だけではなく質にも注目し、高品質なデータの収集に努める必要があります。本記事では、データ収集に関する基礎知識から、代表的なデータの収集方法、収集後のデータ管理や活用方法について詳しく解説します。

データ収集の基本的な知識

データ収集の前提となる、データの基礎知識をいくつか紹介しましょう。
 

データ収集は継続が重要

ビジネスにおいて、継続的なデータ収集は非常に重要です。市場は常に変化しているため、新たに市場に参入する企業や消費者ニーズの変化を迅速に捉えて対応する必要があります。収集したデータを分析することで、マーケティングや製品開発の戦略を時代に合わせて最適化し、進化させることが可能になります。また、市場動向から将来のリスクを予測して対策を立てたり、顧客データから嗜好や行動パターンを理解し適切に対応したりすることができます。さらに、競合データと比較し自社の強みや弱みを把握することも。このように、ビジネスにおけるデータ活用は多岐にわたり、データ収集を怠ると、意思決定の遅れや機会損失、リスク顕在化につながりかねません。ビジネスの成長と存続には継続的なデータ収集が不可欠なのです。
 

定量データと定性データ

定量データと定性データは、それぞれ異なる性質を持つデータです。定量データは数値で表される客観的なデータであり、測定や計算が可能です。例としては、売上高、価格、在庫数、従業員数、生産数量などが挙げられます。一方で定性データは、質的な特性を示すデータであり、感覚、意見、印象などの主観的なデータを指します。これには顧客満足度、ブランドイメージ、製品の使い勝手などが含まれます。これら二つのデータは、データ分析や意思決定において異なる役割を果たし、それぞれ重要な情報を提供します。
 

定量データ定性データ
データの形態数値非数値
特性客観的主観的
分析方法統計分析質的分析
売上高、アクセス数顧客満足度、ブランドイメージ

 
定量データと定性データはそれぞれ異なる特徴を持ち、両者を組み合わせて活用することが重要です。定量データにより客観的な事実や傾向を捉え、定性データにより人間の行動原理や心理を理解することができます。このように、複数の視点からデータを分析し、より深い洞察を得ることが可能になります。
 

プライマリデータとセカンダリデータ

データマネジメントでは、プライマリデータとセカンダリデータという分類もあり、これらは入手源によって区別されます。
 
プライマリデータは、自社で直接収集したデータであり、特定の目的のために新たに収集されたものを指します。このタイプのデータには、自社の売上データ、顧客からのアンケート回答、実験や観測によって得られたデータなどがあります。セカンダリデータは、他の組織や個人によって収集された既存のデータで、特定の目的以外で収集されたものを含みます。政府統計データ、業界レポート、新聞記事などが該当します。プライマリデータとセカンダリデータはそれぞれ異なる特性を持ち、研究やビジネス分析における重要な役割を持っています。
 

プライマリデータセカンダリデータ
データ収集主体自社第三者
データ収集目的特定の目的あり自社の目的とは異なる場合あり
データ収集方法自ら収集既存のデータを利用
コスト高い低い
データの新しさ新しい古い場合がある

 
プライマリデータは収集目的が明確で新しい情報を提供しますが、その収集にはコストがかかるという特徴があります。一方で、セカンダリデータは比較的費用対効果が高いものの、収集された目的が異なるために直接的なニーズに合わないことがあり、また情報が古い場合もあります。
 
ビジネスにおいては、プライマリデータとセカンダリデータを組み合わせて活用することが一般的であり、非常に効果的です。たとえば、セカンダリデータを用いて市場の全体像を把握し、その上でプライマリデータを通じて自社のプロダクトやサービスに特化した詳細な分析を行うことにより、より深い洞察を得ることが可能になります。

代表的なデータ収集方法

データ収集には様々な方法があり、ここでは代表的なものを紹介します。
 

公開されているデータ

官公庁や自治体などが公開しているオープンデータをダウンロードして活用できます。人口統計、経済指標、地理空間情報など、様々な分野のデータが無料で提供されています。
 

API連携

WebサイトがAPIを公開していれば、プログラムを使ってデータをBIツールなどと自動的に連携・収集できます。SNSの投稿データや天気データなど、リアルタイムでデータを取得可能です。なお、APIとは、アプリケーションプログラミングインターフェイスの略で、ソフトウェア間でデータやサービスを連携するための規約や仕組みのことです。APIを利用することで、ある機能やデータを別のアプリケーションから利用できるようになります。
 

スクレイピング

Webサイトに掲載されている情報を自動で収集する手法です。価格情報や製品レビューなど、構造化されていないデータを効率的に収集できます。ただし、サイト側の許可が必要な場合があります。
 

アンケート

直接顧客などの対象者にアンケートを実施し、回答データを収集します。メール、Web、対面といった様々な方法があり、顧客の意見や生の声を集めることができます。
 

インタビュー

少人数の対象者に対して質問し、自由回答形式で詳細なデータを収集する方法です。製品の使用感や改善点などの深い洞察を得られます。
 

WebブラウザのCookie

Cookie によってWebサイトを訪れたユーザーの行動履歴などのデータを収集できます。Cookie にはユーザーID、訪問経路、滞在時間などの情報が含まれ、マーケティングに活用されています。しかし、Cookieによってユーザーの個人情報が不当に収集されるリスクがあるため、多くの国や地域でCookieの使用に関する規制が設けられています。利用目的の通知義務や、利用の承諾を得るなどの措置が求められています。
 

あわせて読みたい! 改正個人情報保護法の下でのCookieの取扱い 〜正確に対応の要否を判定し、対応方針を決定する道筋を示す

データ収集後のフロー、管理・活用

データを収集した後、そのデータをただ保持しているだけでは、何の価値も生み出すことはできません。重要なのは、収集したデータを効果的に分析し、ビジネスにおける意思決定や戦略立案に活用することです。データの管理と活用のプロセスについて説明します。
 

データ収集後のフロー

収集したデータにはノイズや欠損値、重複、不整合などの問題が含まれている可能性があるため、その後のステップであるデータ分析に適した状態に整えるための前処理作業が不可欠です。また、異なる源泉から収集した複数のデータセットを一つの分析用データセットとして結合する作業も必要です。この際に、データ形式の統一やキー項目による紐付けなどが行われます。
 
さらに、分析目的に合わせてデータを加工・変換することで、新たな付加価値を生み出します。これには単純な集計や計算、新しい指標の算出などが含まれます。加工済みのデータは、アクセスしやすく安全な環境で保管し、二次利用できるように管理することが重要です。
 

データ管理ツールを使用する

膨大なデータを管理する際、人手による作業では時間がかかり、間違いも生じやすくなります。特に複数のデータソースを扱う場合、その整理や分析は非常に労力が必要になります。
 
顧客に関する膨大なデータ管理の課題を解決するために、CDP(Customer Data Platform)ツールが非常に役立ちます。CDPツールは、異なるデータソースから収集したデータを統合し、一元管理することができるソフトウェアです。
 
また、企業にはユーザーのプライバシー保護という重要な責任を果たすことが求められています。Cookieなど個人情報に関わるデータを収集する場合、ユーザーからの同意が法律で義務付けられていることが多くあります。この同意を得るプロセスを管理するのが、CMP(Consent Management Platform)ツールです。CMPツールを使うことで、企業はユーザーからの同意を適切に取得し、その同意状況を効率良く管理することができます。これにより、データの収集と利用が法規制に適合していることを保証し、ユーザーの信頼を得ることができるようになります。
 

あわせて読みたい! 【CDP完全ガイド】CDPの種類や選び方、導入、活用の方法など

収集したデータを活用する

収集したデータを適切に活用することで、様々なビジネスの場面で大きな効果を発揮することが可能になります。たとえば、顧客データや売上データを基に、ターゲティング広告の実施、新商品の開発、効果的なキャンペーンの企画と実施ができるようになります。また、売上、コスト、市場動向などの経営データを分析することにより、経営陣はより的確な判断と戦略の策定が行えるようになります。
 
ユーザーの行動データや満足度調査の結果を利用して、ユーザー体験の改善や長期的な利用を促進する施策の立案も可能です。さらに、業務改善、リスク管理、製品やサービスの改善、需要予測、最適化や自動化など、ビジネス運営のあらゆる側面でデータを活用することができます。
 
これらのデータを適切に分析し、活用することで、マーケティング施策から経営判断、ユーザー体験の向上に至るまで、迅速かつ的確な施策の立案が可能になります。データは貴重な経営資源であり、その有効活用は企業の競争力を強化し、持続的な成長を促す鍵となります。

まとめ

データは企業の重要な経営資源です。データマネジメントによって適切なデータ収集と管理、分析を行うことで、マーケティングから経営判断、業務改善、新商品開発など、ビジネスのあらゆる場面で施策の最適化が図れます。しかし、データ収集・管理・分析には高度な専門性が求められます。企業内に十分な知見がない場合は、外部の専門家に相談し、良質なデータの確保と適切な管理・分析体制の構築を図ることが賢明です。データを最大限に活用することで、競争力を高め、持続的な成長を目指しましょう。

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